私たちは日々さまざまなストレスを抱えながら生きています。ストレスが蓄積したままだと、心はどんどん疲弊し、ポッキリと折れてしまうことも。
そうなる前に試してほしいのが認知行動療法です。
認知行動療法とはうつ病などの治療やカウンセリングでも使われているものですが、ストレスフルな日常を過ごしている私たちにとっても、前向きに生きるための手助けになってくれます。
自分で自分の心を癒す認知行動療法とはどんなものか、ご紹介します。
誰でも日々ストレスを抱えている
「何をやっても面白いと感じない」「そういえば最近、心から楽しいと思ってないかも」と感じる人、それは心が疲れているせいかもしれません。
体の疲れは「仕事が忙しかった」「久しぶりに運動した」などとその理由がはっきりしていますが、心の疲れははっきりした理由がないまま、どんどん蓄積してしまいます。
心の疲れが溜まってくると、何かひとつ悪いことが起きたときに「私はいつもダメなんだ」「何をやってもダメな私」と自分に自信がなくなり、悪いループにハマっていくことがあります。
これは心にマイナスの暗示をかけている状態。一度この暗示にかかってしまうと、全ての物事を悪いほうにばかり捉えてしまうようになります。
例えば、緊張しているときや落ち込んでいるとき、なんとか気持ちを切り替えようと思えば思うほど、心が空回りしてうまくいかなかったという経験はないでしょうか?
「緊張」というひとつを取っても、それをバネにして最高のパフォーマンスを残せる場合もあれば、心にマイナスの暗示がかかっていると、それが仇となって失敗してしまうこともあります。
この悪循環を抜け出すために活用してほしいのが「認知行動療法」です。 認知行動療法とは、ものの見方や考え方(認知)に目を向けて気持ちをコントロールし、心のストレスを軽くしていく方法です。
心の“警報”に気づきましょう
難しそうと思われるかもしれませんが、特別な技術は必要ありません。ものの見方や考え方は、少し意識するだけで変えることができ、気持ちも変わってくるのです。
まずはあなた自身に、“心の警報”が鳴っていないか気がつくことが大切です。
心が悪循環にハマっているとき、自分の考えや行動が自分自身を苦しめ、心や体に変調をきたします。
例えば、落ち込みや不安、怒りなどの気分の変化や、趣味や人付き合いが億劫になる、集中力がなくなる、いつもしていた作業が一日でこなせなくなるなどの行動の変化はありませんか?
また熟睡できない、食欲がわかない、頭痛やめまいがするなどの体の変化はないでしょうか。
これらの心と体の変調は、何か自分自身の身体に何か問題になるようなことが起きているというメッセージ。
これ以上がんばり過ぎないようにと、心が警報を鳴らしてくれているのです。
心の警報が鳴ったときは、少し足を止めて、何が起きているのか、まず振り返ってみましょう。それが第一のステップです。
大きな問題でなければ安心できますし、問題があれば、大きくなる前に認知行動療法を使って早めに対応できます。
こうした警報に気づき、考え方を柔軟にしていけば、日々のストレスを軽くしていくことができるのです。次回からは具体的な認知行動療法のやり方を解説していきます。
マスターして、心にかけられたマイナスの暗示を解いていきましょう。
出典元:『マンガでわかりやすい うつ病の認知行動療法』大野裕監修(きずな出版)、『今日から使える認知行動療法』福井至、貝谷久宣監修(ナツメ社)、『悩み・不安・怒りを小さくするレッスン「認知行動療法」入門』中島美鈴著(光文社新書)
──この記事は、2019年5月17日の記事を再編集して掲載しています。
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取材、文/大場真代、image via shutterstock