アーモンドミルクの3大メリット
健康意識の高まりや菜食ブームに伴い、植物性ミルクの定番として認知されつつあるアーモンドミルク。乳白色の見た目から「アーモンドの入った牛乳」と誤解されることもありますが、原料はアーモンドと水からなる植物性飲料です。
その特長は、牛乳とくらべると低カロリー、低糖質、コレステロールゼロであること。200mlあたりの成分比較では、普通牛乳が134kcalであるのに対し、無調整豆乳は92kcal、アーモンドミルク(砂糖不使用)は30kcal。
糖質は普通牛乳の9.6gに対し、無調整豆乳は5.8g、アーモンドミルク(砂糖不使用)は1.0g。牛乳の脂肪分が気になる人、ダイエット志向の人にはぴったりのドリンクです。
アーモンドミルクは乳糖のようなアレルギー物質を一切含まないので、牛乳を飲めないアレルギー体質の人でも安心して飲むことができます。
アメリカのカフェでは牛乳の代替飲料として、低脂肪乳や豆乳と同じくらいポピュラーな存在になっているとのこと。日本でも早く広まってほしいところです。
モーツァルトとアーモンドミルク
アーモンドの原産地は、アジア西南部から中国の天山山脈にかけた地域。ギリシャ神話や旧約聖書にもたびたび登場しており、古くから貴重な食べ物でした。
ローマ時代に地中海に伝わったとされ、中世のヨーロッパでは薬代わりにアーモンドミルクを使ったスープを作り、修道院では乳製品の代替品として飲まれていたそうです。
じつは音楽家モーツァルトがザルツブルグで通っていたカフェの人気メニューがアーモンドミルク。
当時は、アーモンドに水を少量ずつ加えながら細かくつぶし、その濾液に砂糖を加えて冷やしてから、香りづけにダイダイの花びらを浮かせたドリンクだったと言われています。
モーツァルトが愛飲していたかまでは定かではありませんが、あの流麗なメロディの誕生には、栄養満点のアーモンドミルクがひと役買っていたかもしれませんね。
トップクラスのビタミンE含有量で抗酸化
ビタミンE、オレイン酸、食物繊維、ミネラルなどの栄養成分を豊富に含むアーモンドは、「天然のサプリメント」とも呼ばれます。
そのまま粒で食べても美味ですが、アーモンドミルクとして摂取するとさらなるメリットが。植物の細胞には、細胞膜の周りに硬い細胞壁があります。
アーモンドの栄養素も細胞のなかにあるため、硬い細胞壁を砕いて壊し、液状のアーモンドミルクとして摂ることで、栄養素をより効果的に吸収することができるのです。
『食べても痩せるアーモンドのダイエット力』(小学館)などの著書で知られる井上浩義先生(慶應義塾大学医学部科学教室教授 医学博士、理学博士)によると、アーモンドのビタミンE含有量は、全食品中でもトップクラス。
ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、酸化ストレスから体を護ってくれます。また、抗酸化作用の結果、血行促進など若々しさを保つためのさまざまな作用が期待できるそうです。
アーモンドの継続摂取で抗糖化作用に期待
そしてもうひとつ、井上先生が注目するのがアーモンドの抗糖化作用です。
「酸化」が「サビ」なら、「糖化」はいわば「焦げ」。体内の糖がタンパク質と結びつくことにより、終末糖化産物(AGEs)ができて糖化が進行します。
AGEsはコラーゲンなど肌の組織をボロボロにしてシワやたるみの原因をつくるほか、黄褐色をしたAGEsが肌に蓄積することで、肌色を黄色くくすんでみせてしまいます。
井上先生によると、糖化は糖を摂りすぎる事でも進行しますが、食べ物などの外部要因はおよそ10%前後。残りの90%は、何もしなくても体内で糖化が進んでしまいます。
いつまでも若々しくすごすためには、糖化を防ぐ食品を摂取することと、できてしまった糖化物質(AGEs)を最終的に蓄積させないことが重要なのです。
そして、このAGEsを減少させてくれる貴重な食材こそがアーモンド。1日25gのアーモンドを半年間食べ続けることで、AGEsが20%以上も減少したことが明らかになったといいます(※1)り。
糖化を防ぐ研究は未解明な部分も多く、世界中で競って研究が進められている状況。アーモンドの抗糖化作用はおおいに注目されており、抗酸化と抗糖化のダブルのエイジングケア食材として期待されているのです。
スポーツ中や疲労回復にもアーモンドミルクを
井上先生いわく、アーモンドミルクは栄養バランスがよく、少量でエネルギー補給できるため、スポーツ中や後に飲む飲料にぴったり。
はちみつを加えて飲むとスポーツで失われた糖質も補給され、疲労回復につながります。夏場は水分と一緒にミネラルが摂れる飲料として、熱中症対策にもよいとのこと。
飲んでおいしい天然のサプリメント、アーモンドミルク。ヘルシーコンシャスなミランダ・カーのように、自宅の冷蔵庫に常備する人が増える日も遠くなさそうです。
(※1)井上浩義著『アーモンドを食べるだけでみるみる若返る!』扶桑社(2014年)より
──この記事は、2018年5月10日の記事を再編集して掲載しています。
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