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日本人に圧倒的に足りない「亜鉛」。不足すると生理不順の原因に!?

2020/02/10 06:00 投稿

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「あなたに足りない栄養素はなんだと思いますか?」

そう聞かれたとき、「亜鉛」と答える人は多くはないかもしれません。しかし熟年期障害の治療に取り組むマイシティクリニック院長・平澤精一先生によると、亜鉛はエイジングケアの基礎になる栄養素。日本人は潜在的に亜鉛が不足している「亜鉛欠乏状態」である割合が高く、多くの疾患や心身の不調の原因になっているといいます。

今回は医師の間でも注目度が高まっているという「亜鉛」について、平澤先生に基礎から教えていただきました。疲れやすい、風邪をひきやすくなった、肌や髪が衰えてきた……そんな悩みも「亜鉛チャージ」で解消できるかもしれません。

そもそも亜鉛とは?

泌尿器科の専門医であり、20年前から男性更年期をはじめとする「熟年期障害」のケアに取り組んできた平澤先生。その過程で“生きる力を高めるミネラル”としての亜鉛の重要性に気づいたと話します。

平澤先生 :

亜鉛は人間の体内では生成できない必須ミネラルのひとつです。骨や筋肉、肝臓や腎臓、膵臓のほか、血液中の赤血球や目の網膜、脳、皮膚、毛根などに存在しその機能を維持していて、体内で驚くほど多方面にわたる活躍をしているんですよ。

平澤先生によると、亜鉛の主な働きは次の6つです。

1.細胞の新陳代謝を促す
細胞のDNAの複製、タンパク質の合成を促し、疲労回復や若さの維持に役立つ。

2.活性酸素を除去する(抗酸化力)
活性酸素を除去する酵素の働きを助け、細胞の老化やがん、生活習慣病を防ぐ。

3.免疫力を高める
免疫細胞の働きを助けて免疫力を高め、がんや脳梗塞を防ぐ。

4.骨を強くする
骨代謝に重要な役割を果たし、骨粗しょう症を防ぐ。

5.記憶力を高め、精神を安定させる
記憶や学習を司る脳の海馬などの働きを高め、うつ病や意欲の低下を防ぐ。

6.太りにくい体をつくる
血糖値の上昇を抑制して安定化させ、代謝を活性化することで太りにくくなる。糖尿病の予防にも。

なぜ日本人は亜鉛が不足しやすいの?

「亜鉛不足が解消されれば、弱った身体は修復され、健康長寿につながる」と平澤先生。しかし、日本人の認識は非常に低いと警鐘を鳴らします。

平澤先生 :

亜鉛は日本人に不足しがちな栄養素のなかでも、とくに日常的に摂取しにくい栄養素です。日本は先進国で唯一、人口の10~30%が亜鉛欠乏状態と報告されています。

原因のひとつは、食生活。ヘルシーさで人気の和食ですが、じつは全体的に亜鉛の含有量が低いのです。茶碗1杯の白米や、半丁の木綿豆腐に含まれる亜鉛は0.9mgほど。いっぽう、赤身肉100gには5.7gもの亜鉛が含まれています。肉や乳製品をよく食べる欧米型の食生活とくらべると、和食はどうしても亜鉛不足になりがちに……。食が細くなる高齢者は、とくに注意が必要です。

さらに、欧米とくらべて日本の土壌には亜鉛が少なく、そこで育つ野菜や穀物に含まれる亜鉛の量も少ない傾向があるとのこと。

平澤先生 :

加工食品を食べる機会が増えたことも問題。加工食品には、リン酸塩やポリリン酸ナトリウムなど、亜鉛を体外に排出してしまう添加物が多く含まれているからです。

もうひとつの要素はストレス。亜鉛は主に十二指腸で吸収されますが、十二指腸はストレスによるダメージを受けやすく、ストレスを受けると亜鉛の吸収率が低くなってしまいます。

現代日本の社会構造も、“隠れ亜鉛不足”増加の一因になっているんですね。

亜鉛が不足するとどうなる?

心身の健康に欠かせない亜鉛。亜鉛不足による不調には、たとえばこんな例があります。

肌荒れや湿疹、皮膚炎、口内炎が起こりやすくなり、爪が割れやすくなる 傷が治りにくい 髪のコシがなくなり、抜け毛が増える 骨が弱くなり、骨折しやすくなる 唾液の分泌量が減り、食べ物の味がわからなくなる(舌の味蕾細胞の代謝が悪くなるため) 赤血球が減り、貧血を起こしやすくなる 血管が弱くなり、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高まる 体に脂肪がつきやすくなる 性機能が衰える 子どもの発育が悪くなり、身長が伸びにくくなる

平澤先生 :

倦怠感がひどい、一気に老け込んだ、イライラしやすくなったという患者さんの血液検査をしたら、血清亜鉛値が著しく低かったというケースはたくさんあります。

亜鉛不足はさまざまな影響を及ぼしますし、原因不明の「ちょっとした体の不調」の大元であることも少なくありません。

女性にも亜鉛が必要なのはなぜ?

平澤先生が亜鉛の研究を始めたきっかけは、男性更年期に悩む患者の多くに、亜鉛不足という共通点があったことでした。亜鉛は男性ホルモンの一種であるテストステロンの生成に不可欠なミネラル。しかし、「亜鉛は女性にとっても必須」であると平澤先生は指摘します。

平澤先生 :

女性の場合、亜鉛が不足するとホルモンや卵巣の働きが悪くなり、生理不順などの原因になると考えられています。

妊娠中の女性が亜鉛を十分に摂取していないと、子どものアトピー性皮膚炎のリスクが高まるという報告もあります。

亜鉛が肌や髪、爪の新陳代謝を促し、見た目の若さや美しさに大きな影響を及ぼすことも見逃せません。みずみずしい肌やツヤのある髪、丈夫な爪をキープするためには、亜鉛の摂取が必要不可欠。

「アンチエイジングをはじめるなら、まずは亜鉛から」という平澤先生の言葉にも納得です。

平澤精一先生に聞く、知らなかった「亜鉛」基本のキ。後編では亜鉛不足を簡単にチェックする方法や、上手な摂り方をうかがいます。

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平澤精一(ひらさわ・せいいち)先生
医師。日本医科大学卒業。日本医科大学大学院医学研究科にて、医学博士号取得。日本医科大学付属病院、三井記念病院などの勤務を経て、1992年に「マイシティクリニック」を開業。2014年から東京医科大学地域医療指導教授として医学生の教育にも関わる。
現在では新宿区医師会会長をつとめ、東京都医師会、新宿区医歯薬会、新宿医療行政関連の委員、役員を兼任。所属学会・医学会は日本泌尿器科学会、日本性感染症学会、日本メンズヘルス医学会、日本抗加齢医学会等多数。健康寿命に深くかかわる「テストステロン」の研究者として、「熟年期障害」の治療、高齢者の健康を守る取り組みを数多く実践。新聞ほか、多くのメディアにその活動が取り上げられている。

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