トランス脂肪酸は認知症リスクを上昇させる!?

トランス脂肪酸を多く含む食事は認知症ーー特にアルツハイマー病のリスクを上昇させる可能性があることが、九州大学と神戸大学の共同研究で示されました。血液中のトランス脂肪酸濃度が高い人では低い人に比べて、後に認知症を発症する率が約1.5倍高かったということです。

今回の研究は、認知症のない60歳以上の日本人1,628人(平均年齢70歳)を対象としたもの。研究開始時に対象者の血中トランス脂肪酸濃度を測定し、特定の種類の食品の摂取頻度も調査しました。

トランス脂肪酸の血中濃度が高いと認知症になりやすい?

平均10年の追跡期間中に認知症を発症したのは377人でした。血中トランス脂肪酸の濃度に応じて4つのグループ(群)に分け、高血圧、糖尿病、喫煙などの認知症のリスク因子を調整して分析したところ、濃度がもっとも高かった群では、もっとも低かった群の1.5倍、2番目に高かった群では1.6倍認知症(すべてのタイプ)になりやすいことがわかりました。

また、アルツハイマー型認知症のリスクは、もっとも高かった群ではもっとも低かった群の1.4倍、2番目に高かった群では1.6倍でした。脳血管性認知症については、有意な関係は認められませんでした。

研究グループは、血液中のトランス脂肪酸濃度を上昇させる食品についても検討しました。

その結果、もっとも濃度を上昇させる食品はペストリー類(ケーキなどの甘い菓子類)で、続いてマーガリン、飴やキャラメル、クロワッサン、乳成分を含まないクリーミングパウダー、アイスクリーム、せんべいの順に血液中のトランス脂肪酸濃度を上昇させていたことがわかりました。

研究結果を受け、研究チームのリーダーは「トランス脂肪酸を避けるべき理由がさらに増えました」と語っています。

米国では、2018年に食品へのトランス脂肪酸の使用が禁止されました。それでも、含有量が0.5g未満の食品は「トランス脂肪酸ゼロ」と表示してもよいため、一部の食品には依然としてトランス脂肪酸が含まれているということです。同氏はこの現状を踏まえて、「米国では、ごく少量のトランス脂肪酸の添加が許容されていますが、そのような食品をたくさん食べれば摂取量は増えます。

また、その他の多くの国では今もトランス脂肪酸の使用が認められているのです」と懸念を表明しています。

一方、世界保健機関(WHO)が2023年までにトランス脂肪酸を全世界から排除することを呼び掛けていることについても話し、「こうした公衆衛生活動は、どこの国においても、心疾患をはじめとするトランス脂肪酸に関連したさまざまな疾患を減らすだけでなく、認知症予防に役立つと考えられます」と期待を語っています。

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HealthDay News 2019年10月23日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock

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