更年期に向けて、今からできる食事対策
女性は閉経前後(40~50代)になると、女性ホルモンのバランスが乱れ、イライラや焦燥感、のぼせ、急に汗が出る、ほてり(ホットフラッシュ)など更年期障害とよばれる不調が現れやすくなります。
30代で若年性更年期障害が出る場合もあり、過激なダイエットや偏った食生活が関係することも。仕事にプライベートに多忙かつ悩みを抱える時期と重なることも、症状を悪化させる一因に。
ストレスは血行不良にもつながるため、体(特に下半身)を冷やさないようにすることも大切です。気分をリフレッシュし、リラックスできる食べ物やお茶、アロマなども試してみましょう。
また、女性ホルモン(エストロゲン)の減少により骨密度が低下しやすいため、骨粗鬆症の予防も早めに取り組む必要があります。
今回は、更年期を見据えた今からできる、またはすでに不調が気になる人にもおすすめの食のアプローチ法をご紹介します。ただし、すでに不調を感じている場合は、まずは婦人科を受診してみてくださいね。
摂りたい栄養素
タンパク質……体を作るもとになる。免疫力アップ、疲労回復。冷えを改善し血流を促す。 ビタミンB1……糖質の代謝を促し、疲労回復。自律神経を整える。 ビタミンB6……エストロゲンの代謝を助け、ホルモンバランスを整える。 ビタミンB12……赤血球を作り貧血を予防。自律神経を整える。 ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール……抗酸化作用が強く、細胞の老化を遅らせ、血流を促す。 亜鉛……タンパク質の合成を促す。生殖機能を正常に維持する。 カルシウム……骨を丈夫にし、骨粗鬆症を予防。ビタミンDでカルシウムの吸収アップ。 食物繊維……腸内環境を改善し、便秘を予防、自律神経のバランスを整える。 イソフラボン……女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きで不足を助ける(※過剰摂取に注意)おすすめ食材
鶏肉、豚・牛赤身肉、ラム肉、レバー、マグロ、カツオ、サバ、サンマ、ヨーグルト……タンパク質、ビタミンB群、亜鉛 大豆(大豆製品)……タンパク質、ビタミンB群、カルシウム、亜鉛、食物繊維、イソフラボン あさり、かき、しじみ……タンパク質、ビタミンB群、亜鉛、カルシウム れんこん、キャベツ、白菜、春菊、ピーマン、パセリ、セロリ、きのこ、海藻……ビタミンC、カルシウム、食物繊維 柑橘類(みかん、ゆず、レモン)……ビタミンC、香りでリフレッシュ かぼちゃ……ビタミンA・C・E、食物繊維 アーモンド、ごま、松の実、落花生、アボカド……ビタミンB1・E、カルシウム、食物繊維 高カカオチョコレート、ココア……亜鉛、食物繊維、ポリフェノール(赤ワインもポリフェノールが豊富) 緑茶……ビタミンC、E。体内にこもった熱を冷まし、すっきりさせる作用も しそ、パクチー、しょうが、シナモン……体を温め、血行促進。香りでリフレッシュ更年期対策におすすめのレシピ
以上をふまえた「一汁一菜レシピ」をご紹介。旬の野菜で手軽に作れる、おすすめメニューです。
撮影/中村美穂鶏とセロリ、れんこんのソテー
低脂肪・高タンパクの鶏むね肉に、歯ごたえも楽しいセロリとれんこん、アーモンドをあわせます。
セロリは肝臓によいとされ、イライラ・のぼせ・目の疲れの改善に役立つ食材。アーモンドはビタミンEが豊富。ヨーグルトやサラダなどに振りかけるのがおすすす。
<材料:2人分>
鶏むね肉 1/2枚(120g) セロリ 50g セロリの葉 10g れんこん 50g スライスアーモンド 20g 白ワイン 大さじ1 米粉(小麦粉、片栗粉でも可) 大さじ1 オリーブオイル 大さじ1 しょうゆ 小さじ1 塩 適量 こしょう 少々<作り方>
鶏むね肉はひと口大のそぎ切りにして塩こしょう、白ワイン、米粉をまぶす。セロリ、れんこんは薄切り、葉は細切りにする。 フライパンにスライスアーモンドを入れ、軽く色づくまで煎り、取り出す。オリーブオイルを入れ、1の鶏肉を並べて色づくまで焼いて返し、セロリとれんこんを入れ、火が通るまで炒める。セロリの葉、スライスアーモンドを加え、しょうゆを振り炒め、塩こしょうで味をととのえる。あさりの豆乳チャウダー
米粉のとろみがやさしい豆乳スープでイソフラボンが摂れて、身も心も温まります。缶詰のあさりや冷凍枝豆など常備品で手軽に。
<材料:2人分>
あさり水煮缶 1個(130g) あさりの汁+水 150ml 玉ねぎ 80g にんじん 50g セロリ(下の方) 20g 塩ゆで枝豆(むき) 30g オリーブオイル 小さじ2 米粉(小麦粉、片栗粉でも可) 大さじ2弱 豆乳 300ml 塩 適量 こしょう 少々<作り方>
玉ねぎ、にんじん、セロリは1cm大ほどに切る。 オリーブオイルを熱した鍋に1を入れ炒める。あさりの缶の汁と水を加え火が通るまで煮て、あさり、枝豆を入れ、米粉を混ぜた豆乳を加えとろみがつくまで煮て、塩こしょうで味をととのえる。おまけ:薬膳の知恵も活用してみて
白きくらげとゆり根のホットデザートスープ 撮影/中村美穂薬膳の知恵で更年期障害をケアする、おすすめの一品です。
体を潤す白きくらげや精神を安定させるゆり根、腎を丈夫にしむくみも予防する黒豆、肝を丈夫にし、目や血にもよいクコの実をシロップ煮に。作り置きして、温めて飲むとリラックスできます。
今が旬のゆり根は、ほくほくとして甘みもあり、鶏のソテーや豆乳チャウダーに加えてもおいしく食べられます。
<材料:4人分>
白きくらげ 8g ゆり根 1/2個(60g) クコの実 大さじ1 黒豆甘煮 適量 水 200ml 粉寒天 小さじ1/2 はちみつ(てん菜糖など好みで) 大さじ2程 白ワイン 大さじ1 塩 少々 ゆずの皮の細切り 適量 ゆずの絞り汁 適量<作り方>
白きくらげ、クコの実はそれぞれ水で戻す。ゆり根は1枚ずつはがし黒い部分は除く。 小鍋に水、粉寒天を混ぜて煮立たせ、白きくらげをちぎって入れ、ゆり根、はちみつ、白ワインを加え、やわらかくなるまで煮る。クコの実を戻し汁入れ、ゆずの汁と皮、塩、黒豆甘煮を混ぜる。食でアンチエイジングを
更年期の不調をケアする食事を摂ることは、アンチエイジング対策にもなります。元気に美しく生きるために、ぜひ試してみてください。不調や更年期も、気分が前向きになる食事や運動などを取り入れて、乗り越えたいですね。何事もがんばりすぎず、適当(ほどほど)にいきましょう。
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中村美穂(なかむら・みほ)さん
管理栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく身体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や、保育園栄養士としての給食作り・食育活動・食事相談等の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍・雑誌へのレシピ提供も多数担当している。公式サイト
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