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1万円と500円では何が違うの? 薬学博士に聞くサプリメントの選び方

2019/12/19 22:00 投稿

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巷に出回っているさまざまなサプリメント製品。上手に活用できたらいいけれど、実にいろんなサプリメントが揃っていて、選び方に悩みます。

帝京平成大学薬学部教授、薬学博士 井手口直子先生に、かしこいサプリメントの選び方について、教えていただきました。

自分の状態とフィーリングを大切に

ードラッグストアやインターネットには、実にさまざまな種類のサプリメントが出回っていますが、まず、自分に合うサプリメントを選ぶときのポイントを教えてください。

井手口先生 :

サプリメントは食品ですから、みなさんそれぞれのフィーリングで、自由に選んでいいのでは、と思います。

サプリメントには、たとえば「ビタミンB2」「ビタミンC」というように、単体の成分でできているものと、「マルチビタミン」「マルチミネラル」のように、いくつもの成分がミックスされているものがあります。

いずれも、どんな人におすすめのサプリメントなのか、お肌の調子が気になる、太りやすい、といった体の調子や、食べ過ぎの日が続く、睡眠不足になりがちなど、どんな人に合うサプリメントなのかということが示されているので、それが自身の状態と合致しているものであればいいと思います。

いま話題になっているから、というきっかけでもいいと思います。どんなサプリメントなのかな、とインターネットで調べてみて購入、というケースもあるでしょう。

まだ一般的ではないかもしれませんが、医療機関や研究機関で血液検査を受けて、客観的に足りない栄養素、補充するとよい成分を判断してもらうのもひとつのやり方ですね。

ーまずはどんな種類の成分のものを選ぶかを決めて、それから、どんな商品にするか、ですね。

井手口先生 :

そうですね。実際に飲んでみて調子が悪いようならすぐにやめるべきですし、薬のように飲んですぐ効くというものでもないので、しばらく飲んでみて、判断してもよいと思います。
どのサプリメントがどんな変化をもたらしたか、できたら1種類ずつ試していくのがいいと思います。

価格=品質? その違いはどこに?

ーそれにしても、サプリメントの価格はさまざまですね。1か月分で500円から1万円を超えるものまであって……。

井手口先生 :

高いほうがいい、と一概に言うことはできません。価格が極端に高い場合は、容器や広告にかなりのコストをかけているケースも多いように思います。

逆に、あまり安すぎるのも心配ですね。摂りたい成分がほんの少ししか入っていない、という場合もあります。1mgでもその成分が入っていれば、その成分名を掲げることができてしまうのです。

ですから極端に高いものと極端に安いものについては、少し考えてみたほうがいいかなと思います。

原料のキロあたりの相場を調べてみて、1mgあたりの値段を割り出せば、その価格が適正かどうか推測することはできますが、そこまでしなくても、まずは商品のパッケージに記載されている、成分の含有量はチェックしたほうがいいと思います。

成分表示もしっかりチェック、見るべきポイントは?

ーたしかにサプリメントの製品には成分表示の一覧がプリントされていますが、何がどのように記載されているのか、よくわかっていませんでした。

井手口先生 :

成分表示の一覧で、ぜひ確認していただきたいことがいくつかあるんです。まず、原材料名ですが、これは含有量の多いものから順番に表記されています。

「食品区分」と「添加物区分」の2種類が記載されていますが、ほしい成分、必要とする成分が入っているか、逆にあまり欲しくない成分、サプリメントを固めるための賦形剤についても、これを見ればわかります。セルロース、二酸化ケイ素、デンプンなどがこれに当たります。

カプセルの原料についてもここでチェックできます。ソフトカプセルはゼラチンで作られたものが一般的ですが、海藻やとうもろこし由来で作られた植物性ソフトカプセルもあります。ソフトカプセルの場合は、オイルも重要です。サーモンオイルやオリーブオイルを使った上質なもの、また米油を使った比較的安価なものなど、さまざまだということがわかります。

オイルによっては胸焼けを起こすものもあるので、注意が必要です。ハードカプセルの原料も、植物性のものと、動物性のものとがあり、植物性のものには、臭いが抑えられていたり、溶解が早くて飲みやすいものがあるようです。

それから、栄養成分表示もありますね。ここを見れば、目的の成分が一日の推奨摂取量と照らし合わせることができます。推奨摂取量を大幅に超えた飲み方は避けるようにしてください。

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そのカタチにも意味がある?

ー商品によってその形状もさまざまですね。

井手口先生 :

成分によりますね。脂に溶けやすい脂溶性の成分、たとえばビタミンA、ビタミンE、コエンザイムQ10、ルテインなどは、ソフトカプセルのほうが吸収率が上がります。

ビタミンBをはじめとする水溶性の成分は、ハードカプセルが最適、また、ビタミンCやアミノ酸は、一度にたくさん飲める顆粒状が合っています。

タブレットがもっとも安価で作ることができるのですが、どうしても賦形剤を必要とするので注意が必要です。

素材に適した形を採用しているかどうかも、商品を選ぶときの基準になります。

お客様相談室を利用したり、ホームページもチェック

ーより信頼できるメーカーのサプリメントを選びたい、と思いました。見極めるポイントはありますか?

井手口先生 :

信用できるメーカーなのかどうか、まずは、製品のパッケージに「お客様相談室」の電話番号が明記されているかどうかを確認してみてください。

さらに、メーカーのホームページに成分に関連するデータや、原料の原産国、加工国が掲載されているか、といった点も重要なポイントです。

また、気になるときはお客様相談室に問い合わせることをおすすめします。成分の原料の原産国や成分の詳細について尋ね、しっかり回答が得られるようなら安心できるでしょう。

サプリメントと薬との飲み合わせは

ー持病がある人はより慎重に選ぶべきでしょうか。

井手口先生 :

ぜひ薬剤師さんに相談していただきたいです。お薬との飲み合わせで避けたほうがいいサプリメントもありますので、持病をお持ちの方は、薬局で薬をもらうときに薬剤師さんに聞いてみてください。妊婦さん、アレルギーがあるという方も同じです。

いずれにしても、まずは食事で栄養状態をよくする、ということを考えていただきたいのです。

人工的に抽出したものと違って、天然物にはそれぞれが補い合うさまざまな成分が含まれていますから、まずは食事、サプリメントはそれを補うもの、と考えてください。

サプリメントを上手に活用するためには、自分の体調、条件に合った商品と出会えるかどうかがカギ。成分表示を見たり、メーカーのホームページを調べたりと予備知識を増やして、楽しく付き合っていきたいですね。

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井手口直子(いでぐちなおこ)さん
帝京平成大学薬学部教授、薬学博士。株式会社新医療総研顧問。帝京大学薬学部を卒業後、望星薬局勤務、日本大学薬学部専任講師などを経て現職。ラジオNIKKEI「井手口直子のメディカル・カフェ」でパーソナリティを務め、医薬に関する最新の話題を発信。

Photo by Getty Images

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