その方法とは、子どもの頃から言われてきた「ゆっくり噛んで食べる」こと。これだけでなぜ食べすぎを予防できるのか、管理栄養士の藤井歩さんが解説します。
たくさん食べなくても「満腹」になれる
「最近の調査で、早食い習慣のある人には肥満が多いという事が分かってきた」と語る管理栄養士の藤井さん。その理由は「満腹感」のメカニズムにありました。
実は満腹感を感じているのはお腹ではなく脳です。脳が満腹感を感じるまで、20分程度かかると言われていますので、早食いをしてしまうと脳が満腹感を感じる前にたくさん食べてしまい、結果として食べ過ぎにつながります。
(「DietPlus」より引用)
食事をすると血液中のブドウ糖の濃度が上がり、その情報が約20分かけて脳の視床下部にある満腹中枢に伝わります。よく噛むと食事に時間がかかり、適正量で満腹感のサインが出るので、ラクに食べすぎを防ぐことができるのです。
食後の消費カロリーがアップする
さらに、ゆっくり噛んで食べることで、身体が余分にカロリーを消費してくれるといううれしいメリットもあります。
よく噛んで食べる方が食事誘発性熱産生が高まると言われており、エネルギー消費量アップにつながります。
(「DietPlus」より引用)
「食事誘発性熱産生」とは、食事から栄養を消化・吸収するために体内で消費されるカロリーのこと。よく噛んで食べるだけで食後の消費カロリーを高めることができるとは、かなりお得な情報ですよね。
ゆっくり噛んで食べるためのポイント4つ
とはいえ、いつの間にか「早食い」が身についてしまった人にとって、ゆっくり噛んで食べることを習慣化するのは意外に難しいものです。
藤井さんが提案するのは、次の4つのポイントを取り入れること。
歯ごたえのある食材を取り入れる 食材はあえて大きめにカットする お肉や魚は骨付きをチョイス 「ながら食い」はやめる(「DietPlus」より部分引用)
歯ごたえのある食材とは、根菜類やキノコ、こんにゃく、海藻類など。大きめに切ったり骨付きのまま出したりすれば、食べにくさが逆にメリットとなって「早食い」を防いでくれます。
さらに、食べた量を把握しにくくなる「ながら食い」も禁物と藤井さん。食事の際はスマホやテレビ、仕事をひと休みして食べることに集中し、ゆったりと楽しむことも大切です。
藤井さんいわく、食べるペースとしては「一口30回程度噛んで食べるのが理想的(「DietPlus」より引用)」とのこと。これが難しい場合には、いつもの回数+5回を目標にするとよいといいます。おいしいイベントが増えるこの季節、ぜひ参考にしてみてください。
ダイエットに必要なのは知識です
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藤井歩(ふじい・あゆみ)さん
管理栄養士。大学卒業後、給食委託会社・健康関連企業での勤務を経て、現在はフリーランスの管理栄養士としてオンラインでの栄養指導業務、特定保健指導、コラム執筆など栄養関係のさまざまな業務に携わっている。
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