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「朝食を摂らないと、体脂肪が増えて確実に太ります」肥満の意外な原因は?

2019/12/05 05:30 投稿

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京都大学名誉教授の森谷敏夫先生は、毎日7時間の睡眠をとり、毎朝しっかり食べてから出勤。筋肉のエキスパートが実践する「睡眠」と「食」の習慣には、きっと学ぶべき理由がありそうです。

第3回 まとめ

筋肉は、寝ている間に育つ 朝食を抜くと、確実に太る! タンパク質はしっかり。脂質は摂りすぎに注意

筋肉は寝ている間に育つ

――「睡眠」って、筋肉に関係するんですか?

森谷塾長 :

もちろん、大いに関係があります。寝ているときに放出される「成長ホルモン」は、筋肉のタンパク質合成を促進します。

筋肉は寝ている間に育つ。だから筋トレをするなど、筋肉を傷つけた日はとくに、しっかり睡眠をとらなければなりません。筋肉を効率的に鍛えるには、栄養と同じくらい睡眠は大事。

睡眠時間は7時間が理想だといわれていますが、いま世界で一番睡眠時間が短いのが、日本人の若い女性です。運動しない、十分な栄養も摂ってない、睡眠も足りてない……。これではよい筋肉が育つわけがない。

筋肉が減れば、体脂肪率が増えていき、隠れ肥満へまっしぐら

――睡眠不足が、肥満につながるんですね。

森谷塾長 :

それだけじゃないですよ。睡眠不足は日本人女性が要介護になる最大の要因「認知症」も引き起こしてしまう

脳内の老廃物には、アルツハイマー型認知症の原因物質「アミロイドベータ」というタンパク質が含まれています。アミロイドベータは、脳が休んでいるとき、つまり睡眠時にしか浄化できません。なのに、十分な睡眠時間がとれないと、どうなるか。

――脳内に、老廃物のアミロイドベータがどんどんたまっていきます。

森谷塾長 :

すると、認知症の発症リスクが高くなる。睡眠が足りていない人は、すぐに生活習慣を改める努力をしてください。

朝食を抜くと、確実に太る!

森谷塾長 :

あとは食事ですね。毎日、朝ごはんを食べていますか?

――毎日はちょっと……。前の日が遅いときは、食べないこともあります。

森谷塾長 :

あのね。朝食を摂らないと、体脂肪が増えて確実に太りますよ

人間の身体は1日3回以上食べないと、代謝が落ちるようになっている。なかでも大事なのが朝食で、何も食べないなんて信じられません。

脳は寝ているときも糖質をエネルギーとして使います。朝起きたときは、血糖が足りない飢餓状態なのに朝食を抜いてしまうと、身体は自動的に「省エネモード」にシフトします。エネルギー不足なんだから仕方がない。代謝は上がらず、体温は低いまま。

そしてお昼にドカ食いをすると、ここぞとばかりにエネルギーをたくわえようとして、脂肪を大量につくる。だから、朝食を抜くと太るんです。

――せっかく筋トレをしても、睡眠不足だったり朝食を抜いたりしたら、台無しなんですね。

森谷塾長 :

そう。睡眠と食事は、ある意味、筋トレよりも重要なことかもしれません。

あと、筋肉をキープするという観点でいうと、簡単に済ませがちな朝食は、タンパク質不足になりやすいので、気をつけたいところです。毎食、最低20gのタンパク質を摂らないと、いまある筋肉を維持できませんから。

筋肉を効率よく育てるためには、「炭水化物60%、タンパク質20%、脂質20%」の食事を3食に分けて摂る。その上で筋トレするのがベストです。

タンパク質はしっかり。脂質は摂りすぎに注意

――ダイエットをするときも、「炭水化物60%、タンパク質20%、脂質20%」の食事バランスは、崩さないほうがいいんですか?

森谷塾長 :

そうですね、基本比率は変えないほうがいいでしょう。ただし、日本人はタンパク質の摂取量が圧倒的に足りていないので、意識的にタンパク質を摂るようにすることと、揚げ物や洋菓子など、脂質の多い食べ物は食べすぎないように心がけてください。

脂質そのものは私たちの身体にとって必要不可欠な栄養素ですが、現代人の食生活は、ほうっておいても脂質過多になっていますから。

炭水化物(糖質)は減らさず、タンパク質を多めに、そして極力、脂質は減らす。このことを忘れずにいてください。

――第1回の宿題は「お腹」、第2回は「下半身」の筋トレを教えていただきました。それぞれ、気がついたときにやっているだけですが、なんだか少しだけ効いてきた気がします。

森谷塾長 :

よし。習慣になってきてるようで、いいですね。では今日は「上腕三頭筋」みなさんが気にする“二の腕”にしましょう。姿勢に気をつけながら、しっかり二の腕を引き締める。壁を使えば、初めての人でも楽にできます

【今日の宿題】二の腕が引き締まる「トライアングル・プッシュアップ」

イラスト/高村あゆみ 壁に向かって立ち、両足を肩幅に開きます。両手を前に出し、両手の親指と人差し指で、壁に小さな三角形をつくります。 息を吸いながら、両ひじをゆっくり曲げて、身体を壁に向かって倒します。息を吐きながら、両手で壁を押して身体を起こします。 ポイント:身体は板のようにまっすぐ。腰をそらせるのはNGです。 目安:10回×1セット

第1回:ダイエットの勘違い。ぽっこりお腹は体重を減らしても解消されません!
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森谷敏夫(もりたに・としお)教授
1950年、兵庫県生まれ。1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給費留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授等を経て1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年から京都大学名誉教授。専門は応用生理学とスポーツ医学で、生活習慣病の温床になる肥満のメカニズムに関する研究や運動ができない人々のための骨格筋電気刺激研究などを精力的に進めている。

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