【働く40代 A美さん】「疲れたー」とすぐにつぶやいてしまいます
A子さん :
最近、仕事が忙しいせいか、疲れがなかなかとれません。
残業が多く、生活は不規則になりがちで、朝、起きたときに疲れが取れていないんです。
上符先生 :
疲れの原因がわかっているのだったら、まずその原因を取り除きたいところですね。
A子さん :
睡眠不足がよくないと思うんです。1日最低6時間くらいは眠りたいのですが、仕事の〆切前などはそうもいかず。
上符先生 :
睡眠についてはいろんな説がありますが、長ければいいということでもないんですよ。睡眠には、ノンレム睡眠とレム睡眠という2種類の眠りがあります。
ノンレム睡眠は深い眠りで、レム睡眠は眠っていても眼球が動いている、いわゆる浅い眠りです。
人は一晩の間に、これを3回ほど繰り返しますが、眠りに落ちてから最初の1時間のノンレム睡眠が実に深く、この時間に成長ホルモンがたくさん分泌され、疲れが回復する、というわけなんです。
この最初のノンレム睡眠をしっかり取ることが疲労回復のカギ。だから、寝ようと思ったら、電気を消してパソコンやスマホもやめて真っ暗にして、音も遮断して寝る! そうすると朝、起きたときの疲労度は全然違うと思います。
A子さん :
わかりました! サプリメントの力も借りたいな、と思っているのですが──。
上符先生 :
まずはビタミンCをたっぷり摂ることをおすすめします。ビタミンCには優れた抗酸化作用がありますから、疲労回復に効果があるといわれています。
人間関係のストレスが気になるときも、ビタミンCを摂るといいでしょう。コエンザイムQ10も疲労回復を助けるスタンダードとして知られていますね。
コエンザイムQ10は、体内の細胞の一つひとつにある、栄養素をエネルギーに変換する器官、ミトコンドリアの中に存在する成分。
イワシやサバなどの青魚、牛肉などに多く含まれています。もともと体の中にある物質ですが、加齢とともに減少してしまうので、補充が必要となります。
コエンザイムQ10の不足はエネルギー不足になり、疲れやすさにつながるというわけです。
もともと私たちの体の中にあるのですが、年齢とともにどんどん減っていき、日々の食事からは取りにくいので、サプリメントで補充してあげるといいでしょう。
【子育てに忙しいB子さん】肌トラブル、いろいろ悩んでいます
B子さん :
子育て中の35歳です。最近、目尻のシワやしみ、たるみが気になるようになってきました。
どうにかしてキレイな肌をキープできないでしょうか。
上符先生 :
とにかく、肌への影響が大きいとされているビタミンCは必須ですね。私たちの体は、ビタミンCを圧倒的に多く消費します。
体の中でコラーゲンを作り出すのに必要不可欠な成分ですから、健やかな肌を維持していくためには、ぜひサプリメントで補充することをおすすめします。
ビタミンCは、私たちの体を作るベースとなる栄養素のひとつで、抗酸化作用を持つため、老化を防いだり、免疫力を高めたり、また肝臓や血液内細胞にも影響を及ぼすなど、とてつもなく広範囲にわたって利用されています。
体の中でどんどん消費される栄養素なので、食事だけで摂取しようとしても不足してしまいがち。ですから、肌荒れ、シワやしみ、たるみが気になる方は、より多くのビタミンCを摂るとよいでしょう。
B子さん :
紫外線も肌によくないと聞いています。日焼けはできるだけ避けようと思います。
上符先生 :
年齢を重ねると、紫外線を浴びてダメージを受けた肌が復活するまでに、より多くの時間が必要になってきます。
外出の際は、日焼け止めを塗る、日傘を使うなどで紫外線を防ぐ対策をし、できるだけメラニンを拡げないようにすることが大事です。
最近はハーブ由来のサプリメントで、“飲む日焼け止め”も注目されています。また、睡眠不足も肌荒れを引き起こす原因となるので、ぜひ、規則正しい生活をこころがけてください。
【40代主婦C子さん】以前に比べて、やせにくくなってきました…
C子さん :
私はダイエットで悩んでいます。40代も半ばを過ぎて、なかなかやせにくくなってきました。もうちょっとスリムでいたいと思うのですが──。
上符先生 :
年齢を重ねると、ホルモンバランスの乱れによって代謝が悪くなり、どうしてもやせにくくなりますね。日常的に運動をすることも大切ですよ。
C子さん :
はい、少しがんばろうと思います。食事制限もがんばったほうがいいでしょうか。
上符先生 :
無理な食事制限は禁物です。が、いまいちど、自分の食事を振り返ってみるべきかもしれません。
忙しいとつい、コンビニエンスストアのおにぎりやお弁当などに頼ったり、外食ばかりになってしまいがちですが、その結果、どうしても炭水化物や揚げ物が多くなったり、野菜が足りなくなったりして、栄養が偏る傾向に。
忙しいときも、適量でバランスのよい食事をこころがけてくださいね。それから、フードアレルギーで腸内環境が乱れている可能性も少し疑ってみるといいかもしれません。
日本人はもともと乳製品、卵や小麦粉を食べ慣れていませんから、体に合わないという人が多いんです。が、小麦粉に含まれるたんぱく質であるグルテンなどは強い依存性があるので、パンやパスタばかり食べ続けてしまい、それによって遅延型フードアレルギーが引き起こされ、太りやすくやせやすい体になってしまうケースがあるんですよ。
C子さん :
いずれにしても、偏った食事や食べ過ぎには気をつけなければいけませんね。
上符先生 :
サプリメントの力も借りてもいいと思います。基本的なビタミン、ミネラルで、食事で摂取しきれない栄養素を補充し、体の土台をととのえることが大切です。
とくに、ビタミンB群が不足すると代謝が低下するといわれています。そのうえで、ダイエットにいいといわれるサプリメントをプラスしてみては。
たとえば、白いんげん豆のサプリメント。これにはファビノールという成分が含まれてい炭水化物などから摂った糖質の分解を抑制して、吸収を抑える効果があります。便秘の解消にも効果があるといわれていますね。
【働き盛りのD美さん】めまいや立ちくらみも。貧血に悩んでいます
D美さん :
バリバリと働く30代です。たまにめまいや立ちくらみがあり、いつもだるくて調子が悪く、動悸も気になることもあります。通勤途中に症状が出て、困ることもしばしば。
健康診断で貧血の可能性を指摘されたこともあります。どんなことに気をつければいいですか。
上符先生 :
たとえば、食事制限、過度なダイエットは貧血の原因となるので注意が必要です。基本的に、食事の内容をいま一度見直して、栄養バランスにもっと気を遣うといいと思います。
貧血で多いのは鉄欠乏性貧血で、食事で十分な鉄が摂れていないと、血液中の赤血球の中にあるヘモグロビンの量が少なくなり、貧血が引き起こされます。月経のある女性に多い症状でもあります。
やせ型の女性、アスリート系の方は貧血の方が多いんです。やせているとその分、鉄の貯蔵庫となる筋肉の量は少なくなりますから、すぐに消耗されて貧血になってしまうのです。
過度な運動は避けるべきですが、適度な運動を続け、筋肉を付けるといいでしょう。筋肉量を増やして代謝を上げていけば、血液量が増え、ヘモグロビンも増えて貧血は解消されます。
D美さん :
食事でたくさん摂るべき食品などはありますか。
上符先生 :
たとえば、牛肉でも豚肉でも羊肉でも構わないので、赤身のお肉は鉄分が豊富なのでおすすめです。サプリメントでヘム鉄を摂るのもいいですね。
ヘム鉄は、動物性食品に多く含まれる鉄で、植物性の食品に多く含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高く、鉄分の過剰摂取で心配される、胃のむかつきや胃もたれもありません。
鉄分はビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高まるといわれていますので、同時に摂ることをおすすめします。
ただし、鉄欠乏性貧血ではない、別の原因による貧血の可能性もありますから、症状が続く場合は医療機関で受診されたほうがいいでしょう
【デスクワークが多いE代さん】眼精疲労は改善できますか!?
E代さん :
30代、会社員です。毎日、長時間パソコンでの仕事を続けているので、目が疲れたり、かすんだりすることが多くなりました。改善できますか?
上符先生 :
パソコンのお仕事が多くなると、どうしても、目を酷使してしまいますよね。スマホを使う時間を少なくしたり、ブルーライトをカットする眼鏡を着用してみたり、いろいろと工夫してみてください。
夕方になるとピント調節がうまくいかなくなるという人もいると思いますが、その場合は少し休んで遠くを見たり、目をつぶったりしてみては。
デスクワークを長時間続けると肩周辺の僧帽筋がかなり緊張した状態になるので、時々肩を回したり、横になってみたりするのもいいと思います。
人の集中力が続くのは、だいたい45分くらいかと思うんです。サッカーの試合も前半後半それぞれ45分だし、ヨガのクラスも短めだと45分。だから、45分仕事を続けたらいったん休むようにしたらいいのではないかと思います。
E代さん :
眼精疲労にいいというサプリメントもありますが。
上符先生 :
そう、たとえばルテインは、目の網膜や水晶体に存在して、そこで活性酸素を発生させる原因となる紫外線や可視光線を吸収し、網膜と水晶体の酸化を防いでくれます。
ドライアイにもいいといわれていますね。ブルーベリーに多く含まれるという色素のアントシアニンや、海藻やサケ、エビ、カニなど魚介類に含まれるアスタキサンチンなども、眼精疲労の緩和に役立つと注目されています。
どんなお悩みも、食生活、生活スタイルの見直しは必須。そのうえでサプリメントの力を借りるのが、改善の道への近道のよう。自分に合ったサプリメントを探して、より健康で快適な日々を実現してみては。
栄養について考える
野菜嫌いな編集者の1日3食を大公開。管理栄養士が食事をチェックしてみた
「栄養療法外来」の医師に聞く、摂りたいサプリメント3種と摂り方のコツ
上符正志(うわぶ まさし)さん
銀座上符メディカルクリニック 院長。1960年、山口県下関市生まれ。九州大学工学部在学中、医師が社会で果たすべき役割にめざめ転身、産業医科大学医学部に入学。卒業後、横浜市民病院外科、北里大学医学部救命救急センター、益子病 院内科などで治療に携わりながらも、病気の早期発見・早期治療の方法に限界を感じていた。そんななかでアンチエイジング医学と出会い、発症を未然にふせぐ患者本位の医療の可能性を見いだす。米ニューヨークのザ・サレーノ・センターで行われている最先端治療プログラムを習得し日本に導入。
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