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ダイエットの勘違い。ぽっこりお腹は体重を減らしても解消されません!

2019/11/20 20:30 投稿

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毎年のように「もっとも受講したい講義」に選ばれている「京大のキンニク先生」こと、森谷敏夫名誉教授。なかでも、美しくありたいと願う女子学生から、絶大な人気を集めています。

ときに、歯に衣着せぬ物言いになることもある森谷教授ですが、それは最新の運動生理学に基づいた正しい理論と実践法を広めたいという“熱い思い”があってのこと。この秋冬も、MYLOHAS読者の疑問と悩みに答えていただく「森谷筋肉塾」(全5回)はじまります!

第1回は、「ぽっこりお腹は、どうすれば解消されるのか」。早速教えていただきましょう。

第1回 まとめ

体重を減らしても、お腹ぽっこりは解消できない。 身体にある糖の7割は、筋肉が使う。 お腹をへこませて、キープするだけ!

筋肉は、自前の「矯正下着」

――頑張ってやせたのに、お腹のぽっこりが解消されません(涙)。

森谷塾長 :

ははーん。さては、食事制限だけのダイエットをしたな。そもそも、「体重が減れば、下腹部のたるみも解消できる」と思っているのが大間違い!

――えっ⁉ お腹が出るのは、太ったからじゃないんですか? だからダイエットしたのに……。

森谷塾長 :

お腹が出てしまうのは、下腹の筋肉が衰えているから

極端な例ですが、アフリカの紛争地域などで飢餓にさらされている人たちを思い浮かべてみてください。彼らはガリガリにやせているのに、お腹はふくらんでいる。栄養状態が悪くて、筋肉がむしばまれた結果、内臓を支える筋肉がなくなってお腹が出てきてしまうんです。

――そういえば。温泉に行ったとき、とても細いのに、お腹だけがぽっこり出ている年配の女性を見たことがあります。

森谷塾長 :

おそらく、その人もお腹まわりの筋肉が衰えて、内臓を支えられていないのでしょう。

筋肉がなくなるにつれ、重力のままに内臓が垂れ下がる。太っている人は、その垂れ下がったお腹の上に、さらに脂肪がついているわけです。

いくらコルセットやガードルで締めつけても、脱いでしまえば“元の木阿弥(もくあみ)”。

お腹まわりのMRI画像を比較すると、下腹が引き締まっている人は、筋肉が太く発達しているのに対し、お腹が出ている人の筋肉は決まって細い。しっかりと筋肉で支えていないと、内臓は垂れ下がってしまうんです。

――ぽっこりをなくすには、お腹の筋肉を鍛えないといけないんですね。

森谷塾長 :

そういうこと。筋肉を鍛えておけば、コルセットやガードルを買うお金もかからないし、脱いでも美しいボディラインをキープできる。筋肉は、いわば自前の「矯正下着」です

ぽっこりお腹だけでなく、二の腕やお尻など、たるみが気になる部分は、体重を落としただけではダメ。筋肉を鍛えないと、引き締まった身体には絶対になりません。

内臓や脂肪が垂れ下がらないはたらき。それだけじゃなくて、私たちの身体のなかで、糖と脂肪を大量に燃やしてくれるのも、筋肉なんです。

身体にある糖の7割は、筋肉が使う

――大量って、どれくらいですか?

森谷塾長 :

身体のなかにある糖の70%を筋肉で使うよう、人間の身体はプログラムされています。筋肉が衰えていくと、本来燃えてなくなるはずの糖が、身体のなかに残ってしまう。それが肥満をはじめ、さまざまな生活習慣病の温床になるわけです。

無茶なダイエットをして筋肉を減らすのは、どんどん理想のボディラインから離れていくこと。そろそろみんな自覚してほしいんだけど、まだダメですね。

「筋肉を鍛えろ」というのは、なにもムキムキになれと言っているのではありません。身体を引き締めたいなら、筋肉量を増やす。とくにやせる必要がないスリムな人も、筋肉量は維持しておかないと、いずれボディラインは崩れていきます

――怖ろしい……。でも、最近忙しくて、ジムに行く時間がとれないんです。

森谷塾長 :

そんな人のために、ラクに続けられて、いつの間にかキレイになれる「おさぼり筋トレ」「ちょこまか筋トレ」を考案しました。

短い時間に効率よく筋肉を刺激できるので、仕事や家事の合間にできますし、いい気分転換にもなりますよ。〈宿題〉として毎回ひとつ紹介することにしましょう。さて、何からはじめましょうか。

お腹をへこませて、キープするだけ!

――ぜひ、「ぽっこりお腹」を解消できる筋トレから、お願いします!

森谷塾長 :

オッケー。では、いつでもどこでもできる、究極の「おさぼり筋トレ」からはじめましょう。

お腹をへこませてキープするだけ。「腹横筋」という腹筋の深層を鍛えられるので、ぽっこり解消だけでなく、姿勢もよくなるので腰痛肩こりにも効果的です。さぁ、やってみて。

――(お腹をへこませて息を止めている)く、苦しい。

森谷塾長 :

息は止めなくてよろしい(苦笑)。お腹をへこませた状態をキープしながら、呼吸は自然にしてください。

立っているときだけでなく、イスに座りながらでもできるので、お腹をへこませるクセを身につけましょう。

【今日の宿題】ぽっこりお腹を解消する「ツーフィンガー・スクイーズ」

イラスト/高村あゆみ 背筋をまっすぐ伸ばし、姿勢よく立ちます。 お腹を2cmほどへこませて、その状態をキープ。 ポイント:お尻の穴も締めれば、「骨盤底筋群」も鍛えられるので、尿漏れ防止に。 目安:30秒×1セット

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森谷敏夫(もりたに・としお)教授
1950年、兵庫県生まれ。1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)。テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給費留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授等を経て1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授、2000年から同科教授。2016年から京都大学名誉教授。専門は応用生理学とスポーツ医学で、生活習慣病の温床になる肥満のメカニズムに関する研究や運動ができない人々のための骨格筋電気刺激研究などを精力的に進めている。

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