もともと村山さんは、「超合金のような」と自称するほど硬い身体の持ち主だったそう。ところが27歳で柔軟性の研究に目覚め、独自のメソッドを体系化。現在は人気柔軟トレーナーとして活躍しています。村山さんの身体を変えた脅威のストレッチの秘密を、その著書を元に語っていただきます。
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世界最速で体をやわらかくするストレッチ
ストレッチをテーマにした本はたくさん存在します。現在の主流は、無理なく時間をかけて行う「じんわりストレッチ」。しかしこれだけでは、柔軟性を獲得するまでに長い時間を要します。
そこで村山さんが体系化したのが、「筋膜リリース」と「RNFストレッチ」を組み合わせ、トップスピードで体をやわらかくする「トップギアストレッチ」です。
RNFはリハビリの世界で発達したもので、脳の運動系の神経を刺激し、短時間で筋肉や関節の可動域を覚醒させる手法。筋膜リリースは全身を覆う筋膜の歪みを正常に戻すことで、筋肉や関節が正しく動けるようにしていく手法です。
身体が硬くなる原因は加齢自体ではなく、ストレッチ不足。筋膜アプローチ(筋膜リリース)と脳科学アプローチ(RNFストレッチ)を両輪とするトップギアストレッチなら、何歳からでも安全に、自分史上最高の柔軟性を手に入れることができるといいます。
「ストレッチでやせる」は本当?
しなやかで柔軟な筋肉をつくるためには、筋トレも欠かせません。単純化すると「筋肉の収縮=筋トレ」で、「筋肉の弛緩=ストレッチ」。運動前には体をほぐし、温めるダイナミックストレッチを短めに行い、体が温まっている運動後は柔軟性を高めるために、トップギアストレッチをしっかりめに行うとよいでしょう。
また、静的ストレッチは同じポーズで長くキープしても効果はあまり変わりません。開脚を180秒間キープするよりは、「12秒の脳科学アプローチ+30秒の筋膜アプローチ+30秒間キープ」を2セット行うことをおすすめします。
よく聞かれる質問ですが、ストレッチ自体にやせる効果はありません。ただし各関節の可動域が広がることで動きやすくなるため、意識しなくても普段の運動量が上がり、代謝が増えるためにやせるという副次的な効果は期待できます。
「ながらストレッチ」を増やせばうまくいく
まるで歯磨きのように、ストレッチをしないで寝るのは気持ち悪い、そう感じるくらいストレッチを習慣にしたいものです。毎日たった3分であっても、新しい行動というのは長続きしにくいのが難点。おすすめは、普段必ずやっている動作にストレッチをプラスするだけの「ながらストレッチ」です。
歯磨きしながら、首を横に倒して首の側面を伸ばす 横開脚でテレビを見る オフィスで、肩甲骨を動かしたり、つま先を上げ下げしたりする オフィスで、振り向くときに上体をねじる つり革につかまり、ぶら下がるように体を預ける。電車が動き出すと進行方向の反対側の体側部がグーッと伸びる。 電車内で、つま先を上げてドアに押し付け、足裏からふくらはぎ、ひざ裏を伸ばす。このように、普段の生活にプラスできるアイデアはたくさんあります。ストレッチは「一日1mm、一年36.5cm」。継続できればさらなる効果が得られるので、きっとあなたの習慣になるはずです。
ストレッチの効果を最大化させるために、準備運動が必要です。 ここでは、体のコアとなる体幹部、股関節、肩甲骨を、軽く反動をつけて大きく動かす「ダイナミックストレッチ」を紹介します。
01. 体幹部
前後に動かす:上体を前に倒す時には、尾てい骨を真上に高く突き上げ、 体がふたつ折りになることを意識すると、もも裏が伸びるのを感じるはずです。 左右に倒す:高いところにあるものをつかむイメージで 行います。目線は遠くへ向けて、背伸びしながら手が遠くを通ることを意識してく ださい。伸ばした側の腰が上がらないように意識します。 体幹をひねる:なんとなく体をひねるのではなく、まずお尻だけが回転し、へそ、みぞおち、胸、肩、顔と下から上に回転面が上がっていくことを意識すると、可動域が広くなるのを感じられます。02. 股関節
前後に振り上げる:背骨が上に引っ張り上げられているように意識します。特に前に振り上げる際 には腰が丸くなりやすいので注意します。 足を上げることだけを意識すると上体が上に伸びる意識がなくなり、お尻からもも裏にかけてのストレッチが効きません。 外に振り上げる:上げる時は股関節から外旋、下でクロス する時は内旋させます。上げる時はガニ また、下でクロスする時は内またと覚えるとよいでしょう。 大きく回す:足が体の外側を通る時は股関節から外旋、体の前側を通る時は内旋します。つ まり、外側を通る時はつま先が外、前側を通る時はつま先が反対を向きます。外回し、内回しとも行います。03. 肩甲骨
肩を回す:肩を大きく回します。ひじが常に遠くを通ることを意識します。内回し、外回しをそれぞれ左右行います。 腕を開く:腕を大きく斜めに開きます。腕を伸ばし、手が遠くを通るように意識します。胸の筋肉もストレッチされます。 腕を上下にふる:左右の腕を交互に上下に振ります。腕を伸ばして手が遠くを通ることを意識します。後編では、ピンポイントに柔軟性を高めるストレッチのやり方をご紹介します。
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村山巧(むらやま・たくみ)さん
柔軟美トレーナー。27歳の時に趣味で始めたアイススケートをきっかけに柔軟な体を手に入れようと決意。ヨガや解剖学を含め、国内外の様々な書物・セミナーに触れ、自分自身の体を通じて柔軟性の研究を重ね、驚異の柔らかさを手に入れる。2016年に柔軟美トレーナーとして活動を開始し、銀座や渋谷のスタジオを拠点に少人数のセミパーソナル指導による柔軟クラスを全国で開催。プロフィギュアスケーターやチアダンサーの指導経験も持つ。これまで指導してきた人の数は延べ2万人。
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1日1mm、1年で36.5cm。
つまり、10年後には体中の関節が1回転しているはずだ!