脳の若さはパソコンやゲームで維持できる?
加齢に伴う記憶力の低下は、アルツハイマー病などの認知症の前段階にみられる軽度認知障害(MCI)の兆候の一つです。しかし、年齢を重ねても、パソコン操作やゲーム、社会参加などを通じて脳を働かせ続けることにより、MCIになるリスクを下げられるかもしれないという研究結果が報告されました。しかも、この効果は年齢に関係なく得られるということです。
パソコンを使っていると、MCI発症リスクが48%も低くなる
この研究は、開始時にMCIでなかった70歳以上(平均年齢78歳)の男女2,000人を対象としたもの。研究参加者は、50~65歳時(中年期)および66歳以降(高齢期)に行っていた脳を刺激する活動(読書、パソコン操作、社会活動、ゲーム、クラフト活動)に関する質問に回答しました。
そして、5年間(中央値)の追跡期間中、15カ月ごとに思考力と記憶力の検査を受けました。追跡期間中にMCIを発症したのは532人でした。
これらのデータを解析した結果、中年期にパソコンを使用していた人では使用していなかった人に比べ、MCIを発症するリスクが48%低いことが分かりました。同様に、66歳以降にパソコンを使用していた人ではMCIリスクが30%低く、中年期および高齢期にパソコンを使用していた人では37%低いことも示されたのです。
また、友人と交流したり、映画を観に行ったりするなど社会活動の機会がある人や、ゲームを楽しむ機会がある人では、MCIリスクが20%低く、クラフト活動では、高齢期でのみMCIリスクが42%低下していました。
そのほか、こうした頭を使う活動の種類が増えるほどMCIを発症するリスクが低下することも示されました。例えば、頭を使う活動の機会が全くない場合と比べて、2種類の活動で28%、3種類の活動で45%、4種類の活動で56%、5種類の活動で43%のリスク低下が認められました。
何歳になっても頭を使うことが大切
なぜ、頭を使っていれば認知機能が低下しにくくなるのでしょうか。
現時点でその理由は不明ですが、研究グループによれば「頭は使えば使うほど脳がポジティブに反応するようです」とのこと。ただし、「頭を使う活動の機会が多い人は、運動習慣を持っていたり食習慣が健康的であったりする場合が多いのかもしれず、これが認知機能の低下を防いでいることも考えられます」とも話しています。
以上から、研究グループは「70歳以上になっても頭を使う活動に取り組むことは有益です。こうすることでMCIが予防できることを証明したわけではないにしても、今回の研究で、何歳になってもこうした活動を始めるのに遅すぎることはない、ということが示されました」と話しています。
いつまでも脳を若々しく
アルツハイマー病改善!? 脳のレプチンが記憶力の鍵になるかも
HealthDay News 2019年7月10日/Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved. /(参考情報)Abstract/Full Text/image via shutterstock
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