そもそもクレンジングは肌負担になるの? というところから、化粧品メーカーでの美容コンサルタントとして多方面で活躍する、ビューティサイエンティストの岡部美代治さんに伺いました。
「クレンジング不要」という文言は信じていい?
ナチュラル系のメイクアップブランドから出ているファンデーションに多い「クレンジング不要、洗顔料だけでオフできます」という表記。これ、本当に信じて大丈夫なのでしょうか?
「心配な方は、もちろんクレンジングを使ってもいいです。ただ、メーカーは自社製品をきちんとテストした上で販売していますから、洗顔料だけで落として問題ないですよ」(岡部さん)
では、洗顔料だけで落ちるファンデーションと、クレンジング必要なファンデーションは何が違うのでしょう。
「ファンデーションには、発色を表現する粉体原料が入っています。これがどんな処理をされているかで変わってきます。
落ちにくいものは、肌にフィットして崩れないように、粉体の表面を肌に密着しやすいオイル成分などでコーディングしていることが多いです。肌表面には皮脂成分が存在しますので、その成分となじむことで崩れにくくなるのです。
一方、洗顔料だけで落ちるものには、そういった処理が強力に施されていませんので、肌の上に緩やかに付着しています。そのぶん崩れやすさは否めないと思います」(岡部さん)
強いクレンジングは肌に負担…それって本当?
ハードなメイクでもしっかり落とせるクレンジングは、それだけ洗浄力が強いということ。
肌のうるおいなど、必要なものも落としてしまったり、肌に負担をかけてしまったりすることはないのでしょうか。
「昔は、メイクはすべて洗顔料でオフすることができました。しかし年々化粧品が進化し、崩れにくい=落ちにくいものが開発され、洗顔料だけでは落とすことができなくなった。そこで開発されたのがクレンジング料なんです。
クレンジングは、肌に負担をかけずにメイクをしっかりと落とすためのもの。使うことで肌に負荷がかかることはありませんから安心してください」(岡部さん)
無理に洗顔料でゴシゴシ落とそうとするほうが、肌には負荷がかかってしまう。だから、クレンジングが必要なものについては、クレンジングを使ったほうがよいのだそう。
「世の中には、オイルやクリーム、リキッド、ミルクなど、さまざまなタイプのクレンジングがあります。
どんなタイプであっても、肌に負担のかかるクレンジングなんてものはないのです。それは化粧品の範疇を超えているので、市場に受け入れられるはずがありませんから」(岡部さん)
自分に合うクレンジング、どうやって探す?
それでは、自分のメイクや肌質にぴったり合うクレンジングは、どのように選べばいいのでしょうか。
「いちばん手っ取り早いのは、使っているファンデーションと同じブランドのものを選ぶこと。メーカーはクレンジングの洗浄料について、必ず自社商品を使ってテストしていますからね」(岡部さん)
とはいえ、目的に合っていれば何を選んでも大丈夫。それよりも大切なのは、メーカーの使用方法をきちんと守ることだそう。
「洗い流すタイプのものをふき取りで使ってしまうと汚れが落ちきらなかったりします。自分で勝手に解釈せずに、きちんと使い方を確認してから使いましょう」(岡部さん)
また、「○○成分不使用だから肌にやさしい」などの表現には注意が必要です。
「たとえば『一日中つけっぱなしでOKのファンデーション』といううたい文句があるとすると、それ以外のファンデーションは一日中つけっぱなしにしてはいけないんだな、というネガティブな印象が生まれる。
少し脅しをかけるような文言も冷静に判断できるリテラシーが大事になります」(岡部さん)
例えば肌荒れひとつとっても、基礎化粧品やベースメイク、睡眠時間や食生活、ストレスなど、その要因はさまざまです。
「○○不使用だから肌にやさしい」などの文言を鵜呑みにせず、いろいろな情報に触れてみることが大切です。
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