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老化がこわくなくなる方法とは? 筋肉、脳、骨、漢方のエキスパートに聞いた

2019/09/11 05:30 投稿

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エキスパートの先生たちに取材

いつまでも若々しく健康でいたい、趣味だってずっと楽しみたい! そう思っていても、誰しも年齢を重ねていくうちに壁にぶつかるもの。イラストレーターの上大岡トメさんがその壁を感じたのは、「50歳」の手前のことでした。それまで病気という病気にはかかっていなかったそう。

上大岡トメさん :

ある日突然、咳が止まらなくなって病院に行ったら喘息と診断されてしまって……。ずっと健康には気をつけてきて、風邪だって引いたことないのに。このままだと仕事も大好きなバレエもできなくなるんじゃないかと落ち込みました。

誰かに言いたくなってSNSに投稿すると、同世代の人で50歳前後に体調を崩している人が多いことがわかり、中には早逝した人も。

「50歳には何かある」ーーそう考えて、老化を研究している医師をはじめ骨、筋肉、脳、漢方それぞれのエキスパートの先生たちに取材し、コミカルなストーリーに仕上げたのが『老いる自分をゆるしてあげる。』です。

P4から

50歳からは別のステージ

『老いる自分をゆるしてあげる。』では、トメさん本人を反映した主人公がアンさんという不思議なおばあさんに出会い、老化の先輩としていろいろなアドバイスを受けるというスタイルになっています。

上大岡トメさん :

アンさんは、私が憧れている80代の女性を何人かミックスして作ったキャラクター。こんなふうに歳をとりたいな、と思わせてくれる女性がいて、見た目はおばあさんなんだけど中身は違うっていう。描いていたら、ファッションがゴスロリになってしまいました(笑)。

P6から

アンさんが語る「老い」は、簡単に言うと、人間の寿命は元々50歳くらいなのだから体の中にはそこまでのプログラムしかないということ

ほかの生き物の多くは繁殖できなくなると生命を終えますが、閉経しても人生が続くのだから、50歳以降は「特別な時間」となるわけです。

上大岡トメさん :

30歳半ばくらいまでは何にもしなくても大丈夫でも、そこから先は、運動習慣のあるなし、食べ物に気をつける人とそうでない人、どんどん差がついてくるんです

50歳になると、それが「老化」という言葉でのしかかってきますね。白髪、たるみ、シワ……思わず抗いたくなりますね(笑)。

「知ること」がいかに大切か

老化はそれぞれの現象として感じ取れても、なかなかその全体像が見えないもの。

それを象を知らない人が触ったとしたという例えでイラスト化して見せられると、なるほど! と唸らされます。絶妙なたとえがこの本のわかりやすさにつながっているのです。

P25から

今回の本では、近藤祥司先生、桜木晃彦先生、田中尚喜先生、池谷裕二先生、木村裕子先生の5人の先生から違った観点でお話を聞いているのも大きな特徴です。

上大岡トメさん :

先生方に伺ったお話をどう表現するか、というのがいちばん悩んだところです。体のしくみの解説や老化防止のためにやるべきことは、正論が多くて、誰でも知ってるように思われがち。

でも知っていても実際はやってないでしょってことも多い。まずはアンさんという存在に語らせると同時に、納得しやすいたとえにこだわって描きました

アンさんは後ろ歩きをしたり、筋トレをしたり、夜にでかけて麻雀をしたり、エキセントリックな行動でトメさんを驚かせつつ、その意味を語ってくれます。

説明の中でも筋肉の組成をスパゲッティに見立てる、骨の中のカルシウム残量をATMにたとえるなど身近でわかりやすくユーモアを交えたイラストが満載。

P53から P70から

全体のトーンを楽しく彩っているのは、老化への向き合い方へのひとつの提案になっている感じもします。

上大岡トメさん :

老いると歩けない、食べられない……というふうに人生の楽しみが失われていくイメージがあると思うんです。だから老いるのは怖い。でも知っていれば怖くないんですね。まずは知ることが大事なんです。

トメさん自身も、かつて仕事で更年期障害についていろいろ調べ、友達からも話を聞いていました。現在、少しずつ更年期障害と思われる症状が現れてきているが、知識があるゆえに落ち込むことはないそうです。

上大岡トメさん :

ホットフラッシュや不眠といった症状が自分を襲ったときも、これが更年期だなと思って冷静に受け止められたんですね。

もともと閉経後にホルモンバランスが崩れて不調が出るのはイソフラボンがなくなるから、というのは知識として知っていたので、大豆類をたくさん食べるようにしていました。

何事にも凝り始めると徹底するトメさん。大豆を食べ続けるための情報収集もたくさんしたそう。

上大岡トメさん :

おいしく食べることが一番たくさん食べられて、続けていけることが秘訣だと思うんです。

納豆、豆腐、豆乳などいろいろなものを試しましたが、おすすめなのは蒸し大豆。水煮だと味が落ちるけど蒸し大豆はふっくらして味がしっかり残っているのでおいしくいただけるんです。

豆類を摂ると繊維が多いからお通じがよくなるなど目に見える効果はありましたし、更年期の症状が怖くなくなります。

筋肉アップ大作戦!?

撮影/村井康彦

いろいろな知識を得ることに貪欲で、いいと言われたことはとにかくやってみるというトメさん。趣味として続けている「踊ること」もいろいろな興味が連鎖してきたもの。

上大岡トメさん :

夫の仕事の都合で初めて地方で暮らすことになり、移動が車中心だから運動不足になって肩こりと腰痛がひどくなって、近所のスタジオでエアロビクスとHIPHOPを習い始めました。それまでダンスなんてやったことなかったのに、HIPHOPは大会にも出ました、30代で最年長でしたけど(笑)。

ジャズダンス、クラシックバレエも習い始めました。バレエに夢中になって、長く踊り続けるために心と体の連動も学びたいと考えて、ヨガを始め、インストラクターの資格を取りました。その途中で、取材をきっかけにおもしろそうだからと柔道も始めて黒帯をとってます(笑)。

何という挑戦力! 年齢を理由に諦めずに、興味をもったものにどんどんチャレンジしていくパワフルさを感じます。

上大岡トメさん :

実は、若くても筋肉は貯金できないから、日々使っていくしかないんです。私の場合は踊ることでそれが保てました。
今回、本に描いた筋肉の話は30代、40代の人や男性にも実感できて役立つ内容になっているのでぜひ読んでほしいですね。

この本を書いてからもさらに貪欲に知識を吸収し、元気に50代を過ごす努力をしているトメさん。読者へのアドバイスを!

tome :

本に描いた骨・筋肉・脳のほかにも「歯」は大切です。私は顎関節症が原因で不調をきたした際に、50歳で歯の矯正にチャレンジしました! 厚生労働省が80歳までに自分の歯を20本残す8020運動を提唱してますが、私もそれを目指すための前段階として矯正して、胃の調子もよくなったし、本当によかったと思ってます。

老いる自分をゆるしてあげる。 (幻冬舎単行本)

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歳を重ねるなか、やっておきたいこと

予防医学博士 石川善樹さんに聞く「未来を考えても不安にならない方法」

筋肉博士が伝授。「筋肉」を鍛えたほうがいい理由

撮影/村井康彦

上大岡トメさん
イラストレーター。東京生まれ、山口県在住。大学では建築学を専攻。趣味は神社さんぽ、バレエ、ヨーガ。特技はいい姿勢を保つこと。著書に『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』『子どもがひきこもりになりかけたら』『縁切り神社でスッキリ! しあわせ結び』など多数。ウエブサイト「トメカミカメト」http://tomekami.com/

取材・文/神田法子

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