野菜はどれくらい食べるべき?
Q1.野菜はたっぷり食べたほうがいいと思うのだけれど、量がわかりません。
野菜は体の調子をととのえるビタミン、ミネラル、食物繊維を含んでいて、栄養バランスのよい食事に欠かせない食品といえます。
厚生労働省が推進する健康作り運動「健康日本21」では、健康増進の観点から1日350g以上の野菜を食べることを目標としています。前回ご紹介した「4つの食品群の身体活動レベル別食品構成(参考表)30〜49歳女性の場合」でも、身体活動レベルにかかわらず、1日の野菜の摂取量は350gと設定。
また緑黄色野菜にはβ-カロテンだけでなく、そのほかのビタミンも豊富に含まれているので、350gのうち、120g以上を緑黄色野菜でとるように心がけてください。生野菜なら両手で山盛り1杯、加熱した野菜は片手山盛り1杯が目安です。
1日に350gの野菜を摂る、7つのコツ
Q2. 毎日続けられる方法はある?
野菜350gを実際に測ると、意外と多く感じられるかもしれません。朝、昼、夜の3食に分けて、ちょっとした工夫をしながら取り入れることで、無理なくおいしく食べることができます。
野菜350gを摂るための7つのコツ
01.野菜の「小鉢5杯分」を目安に
小鉢1杯分の野菜がおよそ70g、5杯で350g! 主菜の付け合せや汁物に入れた野菜も換算すれば、意外と簡単に達成できます。
02.主菜や汁物にも野菜をちょこっとプラス
主菜の肉、魚と一緒に調理したり、付け合わせにしたり、汁物に入れたり、「ちょい足し」することで種類と量をプラス!
03.加熱するとたっぷり食べられる
生野菜だけで350g食べるのはけっこう大変。茹でる、煮る、炒めるなどの手を加えると、かさが減ってたくさん食べられます。加熱したときの目安は片手山盛り1杯。
04.手軽にとれる野菜を常備
生ですぐ食べられるトマト、キュウリが重宝します。ブロッコリーやいんげん、ほうれん草などを茹でた状態で冷蔵保存しておくのも◎。
05.冷凍野菜、カット野菜もじょうずに活用を
手軽に短時間で料理できて便利です。ビタミンなどの損失は、それほど心配しなくてもOK。
06.外食の日は、ほかの食事で野菜をとりましょう
外食では野菜は不足しがち。残りの2食(または1食)でたっぷり野菜をとりましょう。
07.たくさんとれるお助けメニューを知っておこう
煮物や鍋料理は野菜たっぷり! スムージーや野菜ジュースもぜひ利用して。
Q8. 350gの野菜、その内容は? 組み合わせはどうしたらいい?
野菜の摂り方は、1日350g以上、緑黄色野菜を120g以上、淡色野菜(海草、きのこ30〜40gを含む)230gで合計350g。
緑黄色野菜の代表は、ほうれん草、ブロッコリー、ピーマン、アスパラガス、オクラ、かぼちゃ、小松菜、トマト、にら、にんじんなど。淡色野菜は、キャベツ、だいこん、はくさい、きゅうりなど。いろんな栄養をバランスよく摂ることができます。
忙しくてこれだけ揃えることができないときは、トマトやきゅうりなどの生のまま食べられる野菜や、短時間で茹でることができるブロッコリーやアスパラガスなどを活用しましょう。
【バランスのよい組み合わせの例】
緑黄色野菜:トマト70g(半分)+ほうれん草40g(2 束)+にんじん30g =合計140g
淡色野菜:キャベツ40g(1枚)+なす80g(1本)+玉ねぎ50g=合計170g
きのこ、海藻:えのきたけ20g+わかめもどし20g=合計 40g 全部で合計 350g
【忙しいときの組み合わせ例】
緑黄色野菜:ミニトマト120g(6個)+ブロッコリー100g =合計220g
淡色野菜:きゅうり100g(1本)レタス40g (1枚)=合計 140g 全部で合計 350g
Q9. 便秘気味のときは何を摂るのがよい?
食物繊維をしっかり摂りたいところ。モロヘイヤ、ブロッコリー、かぼちゃ、枝豆、ごぼう、きのこや海藻を揃えるとよいでしょう。また、緑黄色野菜を優先的にたっぷり食べれば、β-カロテン、ビタミンC、Eといった抗酸化ビタミンを豊富に摂ることができます。
【食物繊維を豊富に摂る組み合わせ例】
緑黄色野菜:ブロッコリー100g+モロヘイヤ30g+かぼちゃ100g=合計230g
淡色野菜:ごぼう40g+枝豆20g=合計60g
きのこ、海藻:生しいたけ30g+ひじき(ゆで)30g=合計60g 全部で合計350g
【抗酸化ビタミンたっぷりの組み合わせ例】
緑黄色野菜:ほうれん草60g+かぼちゃ100g+にんじん40g=合計200g
淡色野菜:きゃべつ80g+れんこん70g=合計150g 全部で合計350g
Q10. 1品で野菜をたっぷりとれるメニューはありますか?
煮物や蒸し物、鍋料理は、さまざまな野菜を一度にとれて超優秀! 1品で150gもの野菜を一度に食べることができておいしいメニューをご紹介します。
【鍋料理】なら、タイのあら鍋がおすすめ。白菜、春菊、ねぎ、しめじ、にんじんを使用。タイのあらの出汁で旨味アップ!
【煮物・蒸し物】なら、トマト味の野菜の蒸し煮。トマトがソース役も果たす、シンプルな一品。キャベツ、玉ねぎ、かぶ、マッシュルームなどを使用してみて。また鶏と根菜のポトフもおすすめです。鶏肉の骨の出汁で根菜の美味しさを際立たせます。大根、れんこん、にんじん、ねぎもしっかり入れて。
毎日の食事を考えるときに、この四群点数法、野菜350gの摂り方をぜひ参考にしてみてください。栄養バランスのよい食事を習慣化していきましょう!
実践で学ぶ女子栄養大学のバランスのよい食事法―四群点数法による献立づくりの基本
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野菜のとり方早わかり (FOOD&COOKING DATA)
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第2回 【実践編】栄養バランスよく! 毎日の献立を考える方法
食べ方のヒント
毎日のみそ汁でぐっすり眠れるように? 医師考案のおすすめ具材レシピ
川端輝江(かわばた・てるえ)教授
女子栄養大学教授。栄養学博士、管理栄養士。1986年女子栄養大学大学院栄養学研究科栄養学専攻修士課程修了。2007年より現職。著書に『しっかり学べる!栄養学』(ナツメ社)、『基礎栄養学ーー栄養素のはたらきを理解するために』(共著,アイ・系コーポレーション)、『なにをどれだけ食べたらいいの?』(共著、女子栄養大学出版部)ほか多数。
竹内 冨貴子(たけうち・ふきこ)さん
女子栄養大学栄養学部卒業。カロニック・ダイエット・スタジオ主宰。管理栄養士。女子栄養短期大学講師。生活習慣病の食事や健康的ダイエットなど、幅広い栄養指導、講演活動を行っている。
参考著書:『実践で学ぶ 女子栄養大学のバランスのよい食事法(第3版)』(女子栄養大学出版部 第3版 / 2016年) 、『野菜のとり方早わかり (FOOD&COOKING DATA) 』(女子栄養大学出版部 / 2019年) image via shutterstock