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「疲れたら休む」ために、さっそく実践したい2つのこと

2019/08/16 20:30 投稿

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ボディチューニングメソッドを考案した内田あやさんに、前回は、本当の「REST」を知っていますか? と題して、休むとはどういうことなのか? そのためにできるメソッド「One Thing At A Time」などを伺いました。

後編では、その「One Thing At A Time」をさらに進化させた「感じる練習」の実践編をお届けします。

【後編 】回復するための「感じる練習」。実践編

──前回は、One thing at a time を教わりました。三位一体型脳モデルについてもう少し教えてください。動物脳を使うことで、何が起きるのでしょう?

内田さん :

前回の話の続きから。まずトイレの張り紙「人間はヒトである前に動物」を思い出してください(笑)。

私たちの脳は、古い脳に新しい脳が乗っかっていく形で進化していった。動物脳という土台がしっかりしている上で、人間脳も有効に使えるということです。

動物は、お酒を飲んだり、寝ないでずっと走り続けたり、体に悪いことや無理をかけることはしないはずです。人間がそれをしてしまうのは、人間脳の部分が肥大化して、私たちの野生、動物脳の部分が圧迫されてしまっているからです。

回復を狙うなら、頭でっかち、人間脳からのトップダウンの指令を減らしたい

──人間脳からの指令が減ると、回復していくってことですか?

内田さん :

そうなんです。なぜかというと、回復とは自然治癒力を活用することだから。

動物を見れば一目瞭然ですが、彼らは自分で自分の傷を癒す方法を知っています。自ら何もしなくても、勝手に開いた傷がかさぶたになったり、上がった熱が下がったりするこの自己調整システムは、私たち人間にもそもそも備わった力です。

──問題点は何なのでしょう?

内田さん :

疲れることは別に悪いことでもなんでもない。

問題な点は、疲れが回復しないこと。生物に本来備わっている自然治癒力を発揮できないこと。そしてこの力は、動物脳が司っているということに気づけていただけたでしょうか? そして、身体感覚を感じることでその動物脳は活性化できます

疲れたら休むセンスの磨き方とは?

──その身体感覚を、日本人は感じることができるのでしょうか?

内田さん :

「感じる」力は高いはずですよね。カルチャーだって料理だって、日本の素晴らしい繊細さは「感じる」力なくして成り立たないはず。

ただ、休むことに“guilty〜罪の意識”を感じているのかも。これは環境や文化ですかね。これはもちろん人間脳の仕業です。疲れたら休む、これもセンスだと思うんです。このセンスを磨くべき。

──そのセンス、磨きたいです! そのためには何をしたらいいでしょう?

内田さん :

それには、自分の体をまず知ることですよね。そのときその瞬間の状態を、そして体力の限界を。ここまでは大丈夫! だとか、これ以上はキケンとか。

いつでもどこでも誰にとっても、いいことなんて世の中にはない。なぜなら、それはみんな体の個性も状況も異なるから。だから、自分の体を知って自分に必要な体を手に入れればいい。世の中の風潮的に理想の体ばかり求める傾向があるけど、実はそれでは何も得られない。って、これも動物脳と人間脳の関係だってわかりました?

大切なのは、理想な体よりも必要な体を手に入れることだと思うのです。

自分の体の状態を知る方法とは?

──では、具体的に実践できることはありますか?

内田さん :

はい、あります! ひとつめの実践方法がアイバックを使うことです。レッスンでは、シャバアーサナ(屍のポーズ)やリラックスポーズのときに、少し重さのあるアイバッグを使用します。一般の方でも、寝る前に目や額に乗せると深く眠れると好評です。レッスンではなく、日常に取り入れるなら、10分から20分くらいの心地いい範囲で使用するのがよいと思います。

実はこのほどよい重さがリラックスのトリガーになるんです。私たちの脳神経は12対あり、そのうちのひとつに迷走神経があります。頸部から胸部、腹部の内臓は血管などを支配し、主に嚥下や発声、消化管の蠕動運動などに関係する働きをします。

自律神経のひとつであるリラックスのための副交感神経と深く関係していて、まぶたの上から眼球に心地よりプレッシャーがかかると、アシュネル反射(眼心臓反射)を誘発して、心拍と血圧が下げるという仕組みです。光をシャットダウンするだけのアイマスクより、心臓や内臓にも影響を与えることができる、優れものです。

実践編2.ボディスキャン、やることはただひとつ!

──あともうひとつの実践方法をぜひ教えてください。

内田さん :

もうひとつお教えするのは、ボディスキャンです。

このボディスキャンは、昼寝でもなく、無になることでもなく、やることはただひとつ。自分の体を体で感じること。人間脳ではなく、動物脳で体を感じるトレーニングです。いつも横になってやる必要もなく、座ってやってもいい。いつでもどこでも日常生活に取り入れることができます。

──自分の体を、自分の体で感じることはむずかしそうですね。

内田さん :

多くの人が自分の体に対して、何かしらの思考や感情を持っています。好きだとか嫌いだとか、お腹が出ている、硬い、やせたい、坐骨神経痛がいつもあるけどこれはもう治らない、もっと健康になりたいとか。

しかし、思い込みをちょっと片隅に置いておいて、自分の体を頭ではなく、体で感じることをしていくと、いろいろな変化が起きてきます。目の前にある体との関わり方が変わるので、その結果、動きが変わるかもしれないし、外見も変わるかもしれないし、そもそも自分が求めていた結果の執着さえ手放せるかもしれない。

まるで科学者のように自分の体を客観的に観察できた人がそのギフトを手にします。言うまでもなく、動物脳が活性化して回復のプロセスが起こるでしょう。

──最初は頭で考えてしまいそう……。いろいろ浮かんできたり……。

内田さん :

注意の妨げとなるものは、さまざまな形で現れます。たいていひとつのことに気を取られると、三段論法ばりに発展していきます。判断して、解釈して、誰かと比較して、それを未来に投影して……と大変なことに!

たとえば、「寝ちゃった!私ってなんてヘマなの!」

「隣の人はちゃんとできてる。っていうか私だけできていない!」

「こんなんだからきっと明日のオーディションも失敗するんだわ」

「って、こんな事考えてるからイライラするし。もはや残りの人生ずっとイライラしっぱなしなのかも」

──なんと激しい負のスパイラルですね……。

内田さん :

もはや不幸へダイブの三段論法と名づけたくなりますが、他人事ではない気がしませんか? きっと誰の中にもこんな思い込みトラップはあるはずです。

考えが浮かぶことは自分でコントロールできません。だから、自分の考えを責めるのは時間とエナジーの無駄。私たちにコントロールできるのは、浮かんだ考えをどう処理するのかということだけです。善悪の判断を下さずに、ただ、客観的に眺めて正しく認識する。「ただそのことに気づいていればいい」これのみ

──「ただそのことに気づいていればいい」。これをくりかえすだけでよいのですか?

内田さん :

ボディスキャンは究極は何もしないトレーニングなんですね。これをくりかえすことによって頭の中の回転数が減ってきて、普段感じられなかったインナーピースに出会うかもしれませんよ!

「ボディスキャン」3つのポイント

01.Comfortable Place &Time(いい場所といい時間)

床の上に寝てもいいし、椅子に座っても胡座でも。自分が心地よくいられる場所と時間を確保して。五感の刺激をできるだけ閉じた方が内側に集中しやすいので、お気に入りのブランケット(触覚)や、騒音のない場所(聴覚)、そして目は軽く閉じた方が(視覚)初心者ほどやりやすい。

02.Breathing(呼吸)

大きな呼吸をした方が集中しやすかったら、まずはそれから始めて。体全体から大きく息を吐き出して、そして体全体に大きく吸い入れる。十分にできたら、だんだんとその意識的な呼吸を小さくして、いつかは鼻の穴にただ呼吸が出入りしているという程度に無意識でできる呼吸を感じられるようになることを目指して。

03.Scanning(スキャンする)

頭のてっぺんからつま先までパーツに分けてもいいし、途中で折り返してもいいし、自分のやりやすい方法で、感覚でスキャンしていく。どこももらさぬように、くまなく体の各部分を感覚で観察する。長時間やりたい人はくりかえしてもよいですし、初心者の方は全身の体を観察したらOK。

寝苦しい夏の夜やなんかイライラしたとき、心身疲れたとき、この「感じる練習」、ぜひトライしてみて!

【前編】ボ〜ッとしていても脳は疲れている!? 神経から休ませる方法とは?

「ゆるめる練習」もしてみませんか?

2017年は副交感神経の時代?! 「ゆるめる」具体的な方法。

ファッショナブルに鍛えるためには、まずは「ゆるめること」

内田 あや(うちだ・あや)さん as・i・am/apartment代表。ボディチューニング®創設者。『25ans』『Figaro Japon』で女性誌の編集を手がけているときにジャイロトニックに出会い、パーソナルトレーナーに転身。ヨガ、呼吸法、リストアティブヨガなどを学んだのち、独自のボディチューニングメソッドを考案。やみくもに鍛えるのではなく、心身をしなやかに保つ理論で女優やモデル、俳優、編集者、ファッション関係者にも多くのファンが。著書に『エグゼクティブ・ボディ・チューニング』(講談社刊)。Instagramはこちら
http://bodytuning-assoc.com

文/内田あや、写真提供/ボディチューニング®協会、image via shutterstock

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