15万人を超えるTwitterフォロワーに向けて、わかりやすいストレッチを日々発信している人気のストレッチトレーナー・中田雄大さんに、下半身の悩みに効く「1分間ストレッチ」を伝授していただきました。
根本的に治したいなら、3か月続けること
前回、「ストレッチは筋肉そのものを動かすので、いわば筋トレと同じようなものだ」と伺いました。ということは、継続してやらないと効果はないのでしょうか。
中田雄大さん :
いいえ、1回だけでも効果がないわけではありません。
ただ、筋トレを続けていくと3か月目から筋線維が太くなるように、ストレッチもしっかり筋線維をやわらかくするには、本当は3か月かかる、ということです。
「頭が痛くなったときだけ、“肩甲骨はがし”のストレッチをする」というやり方では、ダメなんですね。
中田雄大さん :
不調が出てからやっても十分効果はありますし、ダメではないですよ。でもやらなくなると、そのうちまた頭痛や肩こりになってしまいます。根本的に治したい、予防したいと思う人は、できるだけ続けるよう心がけてください。
筋トレにしろ、ストレッチにしろ、やはり続けることが大事なんですね。続けられるかどうかはさておき……、つらいときの対処法は知っておきたいところ。腰痛、むくみ、足の疲れなど、下半身の切実な悩みに効くのは、どんなストレッチなのでしょう。
下半身の悩みに効くストレッチ3選
【腰痛】硬くなったお尻をほぐして、腰痛予防!
人体でいちばん大きい筋肉ってどこか知ってますか?「大臀筋」というお尻の筋肉です。
— なぁさん|ストレッチトレーナー@10月に本出すよ (@nst_nakata) June 11, 2019
この大きな筋肉は立ったり走ったりする動作でも活躍し、股関節の動きには特に大切な部位です。
筋肉は使いすぎか、使ってなさすぎで硬くなってくるので、デスクワークのひとは仕事の前にまずは伸ばしてください pic.twitter.com/laH7TSijLL
お尻の筋肉「大臀筋(だいでんきん)」を伸ばすと「股関節」の動きがスムーズになり、腰の骨「腰椎」への負担が少なくなって腰痛が軽減されます。
イスに座って片方の足(足の甲か足首)をももの上にのせる。前かがみになって上半身を脱力すると、自分の体重がかかるので大臀筋がしっかり伸びます。
大臀筋は、使いすぎても使わなさすぎても硬くなってしまう筋肉なので、朝仕事を始める前にここを伸ばしておけば、腰痛予防になります。
【むくみ】ふくらはぎ伸ばしで、老廃物もスッキリ!
足がむくんてるひとはぜひ「腓腹筋」を伸ばしましょう。
— なぁさん|ストレッチトレーナー@10月に本出すよ (@nst_nakata) April 20, 2019
そもそもむくみとは、余分な水分や老廃物がたまってる状態。
ストレッチすると毛細血管が圧迫されて、伸ばし終わると同時に水分と老廃物を流してくれるのでむくみ解消につなかります。
タオルがあれば硬いひとでもカンタンにできますよ pic.twitter.com/zXV9oVCcf5
そもそも「むくみ」とは、血流が悪くなり、余分な水分や老廃物がたまっている状態のこと。ふくらはぎの筋肉「腓腹筋(ひふくきん)」を伸ばすことで毛細血管が圧迫され、伸ばしおわると同時に余分な水分と老廃物が流れていくので、むくみ解消につながります。
一般的な、立って後ろ脚を伸ばすストレッチだと、アキレス腱は伸びるけど腓腹筋は伸びないという人が多いので、片足をイスにのせ、足先にタオルをかけて手前に引くやり方がおすすめです。
【足の疲れ】立ちっぱなし、よく歩いた日は足裏ストレッチ!
歩きすぎて足裏が痛いひとには「足底筋膜」のストレッチがおすすめです。
— なぁさん|ストレッチトレーナー@10月に本出すよ (@nst_nakata) May 1, 2019
五指とかかとにつながっている筋膜で、ここが硬くなるとバランスが悪くなる扁平足になる恐れも。
ポイントは、正座をした状態でかかと側がよく伸びるように腰をまっすぐ立てること。帰宅後にぜひ pic.twitter.com/vJbd0Vzh8e
土踏まずのクッションとしての役割を果たしている「足底筋膜(そくていきんまく)」は、足裏のかかとから5本の指につながっている筋膜です。立ちっぱなしだったり、よく歩いたりした日は、ここがピンと張っている状態。とくにヒールや革靴は靴のクッションがない分、足裏への負担が大きいので疲れやすいんです。
正座をしてからかかとを上げる。上半身は腰を立てて背筋をしっかり伸ばすこと。痛い人は中腰でもOKです。くれぐれも無理のない範囲でやりましょう。
※紹介したストレッチはすべて、“イタ気持ちいい”ことと、ひとつの部位につき20秒×3セット=1分間伸ばすことが目安です。
習慣にできなくても、大丈夫
中田雄大さん :
「ストレッチを習慣にしてください」と言っても、ほとんどの人が痛みや“こり”など具体的な不調が出ない限り、まずやりません。
耳が痛いですが、おっしゃるとおり。習慣化するには、よほどの覚悟が必要です。
中田雄大さん :
「どうせ習慣にできないから」とあきらめるのではなく、いつでもいいので、気づいたときに気になるところだけ伸ばせばいい。ゆるーい感じで生活にストレッチを取り入れてもらえたらと思います。
なるほど、少し気がラクになりました。頭痛には肩甲骨はがし、腰痛予防にはお尻の筋肉を伸ばすなど、今回習ったストレッチをいざというときにできるよう、自分に必要なストレッチは、ときどきやるようにしましょう!
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中田雄大(なかた ゆうだい)さん
1988年、大阪府生まれ。パーソナルストレッチ専門家、ストレッチ専門店「Nストレッチ」代表。中学から大学まで少林寺拳法に打ち込み、高校時代には型(かた)の大会で日本一に。大学卒業後は会社員となるが、パーソナルストレッチの施術に衝撃を受けたことをきっかけに、「ドクターストレッチ」でストレッチについてイチから学び、ストレッチ専門家の道に進む。現在は「Nストレッチ」で施術のかたわら、「なあさん|ストレッチトレーナー」(@nst_nakata)として、15万人を超えるTwitterフォロワーに対し、動画つきでわかりやすいストレッチを日々紹介している。
取材・文/山本千尋、企画・構成/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock