実は逆効果な頭痛対策について、vol.1、vol.2に引き続き、東京女子医科大学病院脳神経センター頭痛外来客員教授の清水俊彦先生に伺いました。
痛みを増長してしまう! やってはいけない4つのこと
片頭痛や脳過敏症候群を持つ人の場合、脳の血管が拡張し、その周囲の神経を刺激することで 頭痛や頭重感が起こります。つまり、脳の血管を緩めると痛みを助長させてしまうことも。
痛みがひどいときは、つい横になったり、リラックスできる方法を取りがちですが、それが痛みをさらに悪化させてしまっていることもあるのです。頭痛対策に良さそうで実は逆効果なリラックス法を紹介します。リラックスの際もポイントを抑えて、痛みを悪化させない対策をしていきましょう。
01.【NG】頭が痛くなったときはすぐに寝る
「なんとなく頭が痛いので少し寝よう」とすぐに寝ると、目が覚めたときに頭がより痛くなっていて、吐いてしまったり、という経験を持つ人もいるのではないでしょうか。
片頭痛の場合、頭痛の起こり始めに寝てしまうと、一気にリラックスモードを司る副交感神経が優位になり、血管の広がりに拍車がかかります。またそこに空腹が重なると、血糖値が下がった状態が、さらに血管を拡張させます。
少しでも「頭が痛いな」と思ったら、飴やビスケットなどを口に入れて、頭痛薬を飲んでから休むようにしましょう。
明け方、頭痛を感じて目が覚めてしまったときは、そのまま起きて一度、甘いものを口に入れてから頭痛薬の服用を。血糖値が低下した状態での短時間の二度寝は、一気に脳血管が広がってしまうのでNGです。また短時間の昼寝も頭痛を誘発しやすいので注意しましょう。
02.【NG】休日には寝だめをする
忙しい平日が終わると、どっと疲れが出て、休日はダラダラと過ごしてしまうことも多いのではないでしょうか。しかし、頭痛持ちの人は、日常生活のちょっとした変化や刺激に過敏に反応しやすく、それによって頭痛を招いてしまうことが少なくありません。
休日に寝すぎて頭が痛くなるという経験がある人もいると思いますが、たくさん寝ることで脳の血管はゆるみ、脳血管周囲の痛みの神経を刺激して頭痛やめまいが起こることも。
休日はがんばりすぎない程度に、決まった時間に起きて、好きなことを楽しむようにしましょう。朝寝坊するよりも、 昼食後にゆったりとした昼寝のほうがおすすめです 。
03.【NG】好きな映画やテレビで大笑いや大泣きする
感情の起伏も頭痛に大きな影響を与えます。
大笑いしたり、大泣きしているときは、交感神経が優位になるので、脳の血管はギュッと縮まっていますが、気持ちが安定してくると、一気に副交感神経が優位になり、脳血管が急激に広がり、頭痛が起きやすくなります。
楽しいイベントの翌日に頭痛で寝込んだり、お通夜やお葬式で大泣きした翌日に頭痛がして寝込むのは 疲れではなく、まぎれもなく片頭痛なのです。 頭痛持ちの人は、平穏な日常を心がけるようにしましょう。
04.【NG】心を安らげるためにクラシック音楽を聴く
クラシック音楽は、さまざまな音楽のジャンルの中でも心が安らぐイメージがあり、頭痛にもよさそうな印象を受けがちです。しかし、クラシックは、突然転調したり、テンポが早くなったり、激しい打楽器の連打があったり、曲調が大きく変わることがよくあります。変化に過敏な頭痛持ちの人の脳には意外にも悪影響なのです。
頭痛を起こさないときの音楽として適しているといわれているのが、ヘビーメタルやハードロック! はじめから激しい緊張感を持って聞き入ることで、頭痛が起こりそうなまでに広がっていた血管が縮まり、頭痛が起きにくくなるのです。ただし、頭痛が起こってからでは、脳の興奮状態を悪化させるので避けましょう。
清水俊彦先生
東京女子医科大学病院脳神経センター脳神経外科 頭痛外来 客員教授、獨協医科大学脳神経内科 臨床准教授(兼任)。日本脳神経外科学会認定医、日本頭痛学会監事や幹事を歴任、認定専門医。東京女子医科大学本院や同東医療センターの他に、汐留シティセントラルクリニック(東京都)、脳と心のクリニック(茨城県阿見町)、小山すぎの木クリニック(栃木県小山市)、獨協医科大学脳神経内科(栃木県)マミーズクリニック(東京都)、伊豆大島医療センターの頭痛外来を担当。学会活動をはじめテレビ、頭痛関連の著書も多数執筆。『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス刊)『頭痛は消える。』(ダイヤモンド社)『マンガでわかる 頭痛・めまい・耳鳴りの治し方』(新紀元社刊)など。
(ID:10182863)
リラックス状態だと頭痛が増すのは実感あるなあ。職場よりも自宅にいるときの方が明らかに痛い。