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その頭痛やめまい、原因は「天気」かも。自律神経との関係は?

2019/06/13 20:00 投稿

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いよいよ梅雨の季節到来。天気が悪くなると頭痛がする、雨が降ると昔ケガをした部位が痛む、などの経験はありませんか? 気象と体調不良は、関係があるのでしょうか。

痛みのメカニズムを研究してきた佐藤純先生に、その原因やメカニズムをお聞きします。

どんより、もやもや、梅雨の憂鬱

どんよりした天気が続く梅雨の時期は、それだけで気分が晴れないような気がします。気分だけならまだしも、痛みや気持ち悪さ、うつ症状などを感じる人も少なくないようです。

天気と関連するそれらの疾患を、医療の現場では「気象病」と呼んでいるそうですが、なかでも痛み、うつ、不安といった体調不良、心にまつわる症状を、佐藤先生は「天気痛」と名付けました。

「私は自律神経と痛みの関係を専門に、研究と臨床を行ってきましたが、あるパターンをもつ患者さんたちを診るうちに、ひとつの仮説にたどりつきました。それは、人間の痛みや心の病は天気と連動するのではないか、というものです。天気による自律神経の乱れから痛みや障害を起こすというパターンを持つ患者さんたちがいるのです。それが『天気痛』です」

体調不良は気圧と密接な関係があった!

なぜ自律神経と天気が関係するのでしょうか。

「人間にはホメオスタシス(恒常性維持)機能が備わっています。わかりやすいのは体温です、常にだいたい37度弱を保っています。血圧や血糖値も一定の範囲にあります。このホメオスタシスのはたらきを担っているのが自律神経です。実は、自律神経は天気と密接に関係しています。そのカギを握るのが『気圧』です」

気圧とは空気の圧力のこと。高気圧は空気の圧力が高い状態で、低気圧は圧力が弱い状態を指します。

高気圧から低気圧に『気圧が下がる』ときに天気が悪くなるのですが、人間の体はこの気圧の変化をストレスと感じ、それに適応しようとするときに自律神経の乱れが生じるのです。

自律神経には、身体活動を活動的な方向へ促す『交感神経』と安静の方向へ促す『副交感神経』がありますが、気圧への適応は「交感神経」の仕業。外部ストレスを跳ね返そうと交感神経が活発になり、心拍数や血圧が上がり、痛みが強くなったりめまいを感じたり、頭が重くなったりするのです。自律神経は、気圧の低下だけでなく、上昇時も同様にストレスになります」

どんな人が発症しやすいの?

人間の体は思った以上に気圧に影響されているようです。では、体のどこでその気圧をキャッチしているのでしょうか。

自律神経を混乱させる器官は、耳です。耳の奥にある内耳と呼ばれる部分に、体のバランスをとるための前庭と呼ばれる部位があります。私の研究によれば,この前庭が気圧の変化も感じ取っているようです。この内耳が低気圧を感じると、脳に情報が伝達され、自律神経の乱れが生じると考えられています。

天気痛を発症しやすいタイプは、ひとつは耳が敏感な人車や船に弱い人も、内耳が揺れに弱いタイプの可能性があります。しかし耳だけではありません。自律神経が乱れやすい人、体や心の感覚や感性が繊細な人は、天気痛になりやすいと言えます」

天気痛のメカニズムと主な症状は?

では、具体的にはどのような症状があるのでしょうか。

一番多いのは頭痛です。気圧の変化が、片頭痛や緊張型頭痛が悪化する要因になっています。次に首の痛みや肩こり。自律神経が通る場所で、気圧を感知する内耳にも近い場所なので、首や肩と天気痛は密接な関係にあります。そしてめまい。なかでも激しい症状を訴えるメニエール病は、内耳のリンパ液の異常により起こります。

耳にも不快な症状を感じるケースがあります。耳鳴りや、耳の奥がツーンとする、聞こえにくくなるなども天気痛の一種といえます。気管支喘息も天気と関係しています。とくに季節の変わり目に起きる場合は、自律神経が乱れやすい時期でもあるので注意が必要です。

また、うつなどの心の不調も気圧の変化が大きく影響します。うつはさまざまな要因がありますが、春から梅雨にかけて、気持ちが落ち込んで立て直せないという人が少なくありません。気圧変動が激しい時期と重なりますから、影響を受けているのでしょう」

古傷が痛むという人もいます。これは、脳が痛みを記憶し、気圧の変化が痛みスイッチを押してしまうことで、痛みの再現を繰り返してしまうのだそうです。

天気痛チェックリスト

あてはまるものが多いほど、天気痛の可能性があります。

□昔から天気には敏感なほうだ
□体調の変化で「雨が降る」「気圧が変化する」のがなんとなくわかる
□乗り物酔いしやすいほうだ
□どちらかといえば、天気によって気分の浮き沈みがあるほうだ
□学生時代など、過去にスポーツで骨折などのケガをした経験がある
□「台風が来る」というニュースが妙に気になりがちだ
□春や秋、梅雨など、季節の変わり目に弱いほうだ
□暑い季節にはのぼせやすかったり、寒い季節にはひえやすかったりする
□雨が降る前に眠気やめまいなどを感じることがある
□雨が降る前に頭痛がすることがある
□今まで、あまり運動してこなかった
□最近、体を動かす機会が減っている
□仕事はデスクワーク中心で、前かがみの姿勢になることが多い。もしくは猫背ぎみだ
□肩こりになりがちだ
□どちらかといえば几帳面な性格だと思う
□首を痛めたことがある
□耳鳴りがしやすい、耳抜きをするのが苦手、新幹線や飛行機に乗ると耳が痛くなりやすいなどの自覚症状がある
□片頭痛持ちである
□ストレスを感じやすい性格である、もしくはストレスの多い生活を送っている

地球環境が変化しつつある今、気候の変動も激しさを増しています。現代人の自律神経はかつてないレベルで環境ストレスに対応しなければならなくなっているのです。後編では、天気痛の対応策と、日常でできる予防についてお伝えします。

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佐藤純(さとう じゅん)先生

医師/医学博士。東海大学医学部卒業後、名古屋大学大学院研究科で疼痛生理学、環境生理学を学ぶ。名古屋大学教授を経て中部大学教授、愛知医科大学客員教授。2005年より愛知医科大学病院・痛みセンターで日本初の天気痛・気象病外来を開設。2018年からは東京都千代田区の竹橋クリニックでも専門外来を担当。気圧医学の第一人者。日本疼痛学会理事、日本運動器疼痛学会理事、日本生気象学会幹事、日本ペインクリニック学会評議員等を兼任。天気痛ドクターとしてメディアでも活躍中。

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