01.更年期になると、誰もが更年期障害になる?
更年期というのは、思春期、性成熟期、老年期と同じように、世代を表す言葉です。更年期=更年期障害ではありません。
事実、日常生活や仕事に支障が出るような重い症状が出て、更年期障害と婦人科で診断されて、本格的な治療が必要になる人は、更年期世代の女性の全体の2割~3割程度と言われています。
また、以前は、更年期の世代に起こる症状のすべてを「更年期障害」と呼んでいましたが、今は、日常に支障があるほどのつらい症状を「更年期障害」と呼び、更年期世代だからこそ起こるさまざまな症状を「更年期症状」と呼んでいます。
なんらかの軽い更年期症状は、多くの女性が経験しますが、全ての更年期世代の女性が更年期障害を経験するわけではありません。
ですから、更年期という時期を必要以上に不安に思わなくても大丈夫です。体の声に耳を傾け、体の変化を実感しながら、自分にあった対策やケアを考えることが、更年期の先の人生を健康で楽しく生きるきっかけになります。
更年期は、人生の第2ステージの始まりです! 前向きに捉えていきましょう。
02.多忙な人ほど、更年期の症状が強く出やすい?
仕事に家事にと忙しいからと言って、更年期の症状が強く出るとは限りません。もちろん、時間に余裕があるからと言って、症状が軽くて済むこともありません。
専業主婦の女性のほうが症状が出やすい、と思っている人もいるようですが、専業主婦だから、働く女性だから、という条件で更年期に起こる症状に違いはありません。
確かに仕事を持つ女性は、仕事に取り組むことで気持ちを切り替えやすいと言うことがあるかもしれません。しかし、働く女性ならではの悩みやストレスもあります。
症状が強く出るかどうかに影響するのは、忙しいうんぬんより、その人の体質やストレスを感じやすい性格や環境であるかどうかのほうが影響するかもしれません。
更年期の症状は、「卵巣機能の衰え方の差や体質的な要因」「ストレスに対する抵抗力」「ストレスの大きい環境に置かれているかどうか」などの要素が複雑に絡み合って起こると言われています。
03.初潮が早かった人は、早く閉経する?
初潮(初経)が早かったからと言って、閉経が早くくるとは限りません。初潮から閉経までの年数も人それぞれ違います。また、妊娠や出産の経験の有無とも関係しません。あくまでも個人差です。
閉経時期の参考になるのは、母親の閉経時期と言われています。あくまで参考までで、もちろん、生活環境やライフスタイルによっても変わります。しかし、母親とは体質が似ていることが多いので、閉経時期も近いことが少なくないと言われています。
04.生理や出産が重かった人は、更年期の症状が重くなる?
生理(月経)や妊娠時のつわり、お産が重かったからと言って、更年期の症状が強く出るわけではありません。
また、妊娠、出産の有無や回数、妊娠中絶との関係もありません。
更年期の症状が強く出るかどうかは、先ほど説明したように、卵巣機能の衰え方の具合いや体質、ストレスへの抵抗力、またその人の性格、取り巻く環境などが関係しています。
05.病気の治療で子宮をとっていると更年期の症状は出ない?
病気の治療のために、子宮を手術で摘出していても、卵巣がひとつでも残っていれば、エストロゲンが分泌されています。
更年期の症状は、卵巣の働きが衰え、エストロゲンの分泌が減ることで起こるものです。子宮の有無は、更年期の症状とは関係しません。
子宮を摘出して生理(月経)がないために、閉経の目安がわからない場合は、婦人科で女性ホルモンの状態をチェックしてもらうとよいでしょう。
女性ホルモンの状態は採血でチェックできます。女性ホルモンの値で、ある程度は、卵巣機能が低下しているかどうかがわかります。
また、基礎体温を測って、排卵の有無を調べることも、閉経の手がかりになります。
知っているようで意外と知らない更年期の正しい知識。誤解して理解していることも少なくありません。正しい情報を得て、思い込みに惑わされないようにしましょう。更年期が来るのが怖い…… という女性もいますが、正しく知れば、怖くないし、有効な対策も立てやすくなります!
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増田美加・女性医療ジャーナリスト 予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/