現在、パリ近郊在住の筆者。この10年でますます日本食がフランス人から支持を受けているのを肌で感じています。
特に豆腐は、植物性プロテインが豊富で低カロリー。そのうえ、気になるコレステロール値も下げてくれると言われ、ベジタリアンや食生活に気をつけたい人にとって、肉にとって変わる大切なタンパク質源として浸透しつつあるようです。
今回は、フランスで浸透しつつある豆腐について探ってみます。
本物の豆腐は「味がしなくてイマイチ」
image via shutterstockフランス人がそんな「Tofu」を知っているのは、日本食レストランでの付け合わせのお味噌汁であることがほとんどです。外国人が経営する日本の寿司レストランでも、お味噌汁に豆腐が少なからず入っています。そこで本物の味に近い豆腐を味噌風味で食べ、おいしいと感じることが多いようです。
ただ、フランスで絹豆腐や木綿豆腐を買うのであれば、日系、中国系、韓国系の食品店へ行く必要があります。そこまでして本格的に豆腐を食べたいというフランス人は、よほどの日本食好きに限られてきます。
一般的に、「本物」の豆腐を買ってみて、味噌汁の具以外として味わい、それをおいしいと感じるフランス人は少ない様子。何よりも、味がしないものが苦手な人が多いのです。
「Tofu」はチーズのかわりにサラダに入れる?
ただ、フランスでも「豆腐=健康食」という認知はされており、健康に気遣うフランス人がオーガニックコーナーに売られたフランス流の「Tofu」を買うこともあります。
保存期間が通常の豆腐よりも長いフランスの「Tofu」は、箱に入って常温で売られています。そのパッケージのイメージ写真には、決まって洋風の料理におさまった豆腐が。
上の写真でサラダの中に見え隠れする豆腐は、いかにも「フェタ・チーズ」のかわりをしています。実際、「consoglobe」のレシピページでは、以下のように「Tofu」の食べ方を記載。
「おそらくフェタ・チーズをサラダに混ぜて食べる習慣があると思いますが、Tofuはフェタ・チーズのかわりにサラダに入れられます。ただ、Tofuはチーズのように味がないため、事前に味付けしておくこと」
「consoglobe」より翻訳引用
箱を開けると、プラスチックに密閉された、固くて黄味がかった、少し薄い「Tofu」がお目見え。日本人から見たら「これが豆腐?」と驚くような外見です。取り出して切り始めてみると、やはりフェタ・チーズのような、より固いものを切っているような感覚です。
フランスの一般的な料理サイトで「Tofu」の食べ方を検索すると、必ずといっていいほど「フライパンでオリーブオイルと一緒に炒める」と書いてあり、それからサラダと混ぜるとあります。ただ事前に、しょう油、ハーブ、にんにくなどで一時間味つけしておくとよりおいしい、というアドバイスもあります。
日本人が食べる、口当たりが柔らかく、うっすらと甘みすら感じられる豆腐とは、かけ離れた食べ方をしていることがわかります。
大豆を使った「Soja(ソジャ)」も
フランス流の「Tofu」が存在していることがわかりましたが、フランスでより浸透しているのは、豆腐の原材料である「大豆」=「Soja(ソジャ)」を使った製品です。
フランスは乳製品が非常に豊富ですが、牛乳のかわりにソジャを使用したデザート「ソジャ・チョコレート(soja chocolat)」や、牛乳がわりに飲めるバニラやチョコレート風味のソジャ飲料、シリアルと混ぜたカレー風味のソジャの揚げ物などがあります。
左バニラソジャ、右上ソジャコロッケ、右下チョコレートソジャまた、フランス家庭の台所に欠かせない、料理からお菓子にまで大活躍する生クリームのかわりに、「ソジャクリーム」なる商品も幅をきかせつつあります。
日本人から見たらこれらユニークな大豆系商品が、スーパーのオーガニック・コーナーにずらりと並び、フランス人の食卓に着々と浸透しているのです。