「飲み会の前に牛乳を飲んでおくと、胃の壁に膜のように広がってアルコールの吸収をおさえるから悪酔いしない」と聞いたことはありませんか?
牛乳にはタンパク質が多いので、胃に入ると胃酸でドロドロになり、アルコールの刺激が多少和らぐことは期待できます。
しかしアルコールの分子は非常に小さく、牛乳の「膜」の隙間を難なく通り抜けてしまいます。しかもアルコールは大部分が小腸で吸収されるため、胃に膜を張っても悪酔いを防ぐ効果はなさそうです。
では「お酒の前に」とよく宣伝されているウコンはどうでしょう。ウコンを飲むと肝臓がしっかり働いてアルコールの分解がはかどるイメージがありますが、厳密な研究に限ってみるとウコンが肝機能を高める証拠は見当たりません。
それどころか、ウコンが逆に肝臓を障害するおそれがあるのです。問題はウコンに鉄が多く含まれていること。肝臓はもともと鉄が多く、ウコンの過剰摂取で肝臓に鉄がたまると、酸素と結びついて強い毒性物質が作られます。この物質が肝臓の細胞を傷つけて、肝炎や肝硬変、さらには肝臓がんを招くことがあります。
またウコンは胃酸と胆汁の分泌を増やします。少量なら心配ないものの、胃潰瘍や逆流性食道炎、胆石を指摘されている人は要注意です。
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