現代社会はかつてないほど人と簡単につながれるようになりました。ビデオ通話アプリなどで、パートナーや友達と話したり、休日の予定を決めたりすることはたやすいこと。
でも、とある調査によると、アメリカ人の半数近くがほぼいつも孤独を感じているのだそう(世界的な健康サービス会社シグナが、2018年に2万人を対象に行った調査)。これは一体、どういうことなのでしょう?
「さみしいという孤独感は、主観的な感覚、体験です」と話すのは、マサチューセッツ州ニュートンにあるメンタルヘルス機関『Behavioral Health and Wellness Center』の創設者で臨床心理学者のサリ・チャイトさん。
人とのつながりが感じられなかったり、そのために悲しい気持ちになったりするのは、その人がどう感じるかで変わります。「新しい町に引っ越してまだ知らない人ばかりのときには、その状況のせいでさみしくなるもの。それは短い間だけかもしれませんが、場合によっては長引くこともあります」(チャイトさん)。
さみしさは、ひとり暮らしや独身だからとか、あまり友だちがいないせいだからとも限りません。「周りに人々がいるかどうかにかかわらず、さみしさを感じることはあります」と話すのは、マサチューセッツ州ボストンにあるマサチューセッツ総合病院の精神科医、ジャクリーン・オールズさん(『The Lonely American』著者)。
孤独で死亡リスクが高くなる!
さみしさが長引けば、身体にまで影響が現れてきます。研究者の間では、蔓延する公衆衛生の問題として、孤独感を大きな問題としてとらえ始めています。孤独でさみしさを感じていると、死亡リスクが高くなるという研究結果もあります。
ある研究によれば、さみしさを感じている人の免疫システムの働きは通常とは変化し、身体のストレス反応を活性化して、炎症を強めてしまうそう。孤独感が、うつ病や心臓の病気、認知機能の低下など多くの慢性的な病気に関連することも考えられるようになっています。
「さみしさは、人生のほとんどあらゆる側面にマイナスの影響を与えます」と、チャイトさん。
しかしご安心を。幸せを感じられ、しかも健康にもつながる対処法を取ることはできるのです。「社会的なつながりを増やしていくことで、たばこをやめるようなよい効果が現れますよ」と、オールズさんは強調します。
では、具体的にどうやって孤独に対処するのか? つながり、全体感、幸せをもっと感じるための方法をご紹介しましょう。
1. 社交的になるよう努力する
さみしさを感じていると、外に出て人と会う気にはなかなかならないもの。それは普通のこと。「多くの場合、さみしい気持ちを感じることで、ますます孤独感を増してしまうのです」と、チャイトさん。
「でも、それでは悪循環。さみしさの気持ちから抜け出すことができません」(チャイトさん)。この悪循環を打ち破るには、友だちと集まって料理教室を開いたり、職場の同僚と運動のクラスに出たり、近くの図書館やコミュニティセンターなどに行ってみてはどうでしょう。
「決まりきった日常を変えることで、家の外に出ることができます。さらに、興味を持てる活動に時間を使うことで、同じ趣味を共有する人と心と心で(そして深く)つながれるようになります」とチャイトさん。
結局、それが孤独感の克服につながるわけです。
2. パートナーとふたりだけの時間を作る
結婚生活でも、恋愛関係でも、パートナーがいても、さみしさを感じることは珍しくありません。実際、アメリカの研究機関「ピュー研究センター」の調査によると、家庭生活に満足していない人のおよそ28%が、いつも(または、ほぼいつも)孤独感を感じているとのこと。
「たとえつながりを感じていても、自分の気持ちが満たされておらず、さみしさを感じるときがあります」と、チャイトさん。
結婚生活や恋愛関係は幸せなのに、何かが欠けているような気がするとか、気持ちが離れつつあるような気がすることがあるかもしれません。「だとしたら、毎週、パートナーとふたりだけの時間を作って(ロマンチックなディナーや楽しい外出など)、気持ちを確かめ合い、本当につながりましょう」と、オールズさんは提案。
「気持ちが離れつつあるときに、何か手を打つように気をつけること。それは結婚を長続きさせるための大切なポイントで、つながりを再確認できます」(オールズさん)。手始めとして、パートナーとの夜のデートがよいかもしれません。
3. ひとりでできる好きなことを見つける
さみしさが増す気がして、ひとりになるのが怖い?そんなときは、「ひとりで楽しめることを見つけて、ひとりでいるのがどういうことなのか、とらえ直すとよいです」と、チャイトさん。
「読みたかった新しい本を読みながらくつろいだり、毎週のヨガ教室に通ったり、ひとりの時間を楽しむすべを学ぶ。社会的な交流がなかったとしても、心を満たしてくれる何かに出会える可能性があります」(チャイトさん)。
4. 親しい人とのつながりを再確認する
一日中、人々に囲まれていても、さみしさを感じないとは限りません。先ほどのシグナ社の調査によると、気のおけない人とめったに(あるいは一度も)過ごせたことがないと答えたアメリカ人は、27%にも上るのです。友だちや家族と有意義な関係を保てていると日常的に感じている人も、わずか半数。
「こうした状況は問題です。表面的なおしゃべりで日々を過ごしたり、心の通じない人に囲まれていたりするばかりでは、深い関係を築けずに終わりかねません」とオールズさん。
「遠くに住む友だちに会いたいと伝える(そして、会う時間を作る)、姉妹とランチするなどの行動が、自分を本当に知る人との距離を近づけてくれ、さみしい気持ちを軽くしてくれます」(オールズさん)
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Cassie Shortsleeve/Effective Ways to Deal With Loneliness, According to Therapists
訳/STELLA MEDIX Ltd.