誰かと恋愛関係にあるということは、ある程度はお互いを頼りにしているということですが、なかにはそれが度を越して、いわゆる“共依存”と言われる関係になってしまっているカップルもいます。
「共依存の関係性は健全ではありません。なぜなら、それぞれの感情や行動にふたりで責任を負うのではなく、どちらか片方だけが相手のために責任を負おうとするからです」と話すのは、夫婦・家族療法士で『Blueprint for a Lasting Marriage』の著作もあるレスリー・ドアリーさん。
共依存関係にあると、あなたのアイデンティティがパートナーのアイデンティティとごっちゃになってしまうため、パートナーなしでは本当の自分がわからなくなってしまう、とドアリーさんは説明します。
また、共依存の関係では、大切な相手と非常に親密であるように見えますが、実際にはそうではありませんと話すのは、心理学者のカリン・アンダーソン博士。
人間関係を専門としている博士いわく、「真に親密な関係といえるのは、完全に成熟していて、それぞれ自立しているふたりの人間が一緒にいることを選ぶこと。心の隙間を埋めるために相手を必要としたり、人生に目的を持つためにお互いを求めたりするのは、それとは対照的です」
そんな共依存の関係に陥りたくはないはず。でも気づかないうちにあなたも共依存の関係になっているかもしれません。それを確かめる方法を紹介します。
「パートナーの気分に、自分の一日が左右される」など前編7つは、こちらの記事で。
1. 相手のニーズを、自分のことよりも優先している
臨床心理学者で『Should I Stay or Should I Go?』の著者、ラマニ・ダーバスラ医学博士いわく、これは共依存関係における大きな問題だとのこと。
「共依存の人は、相手にどうしても依存してしまうことをしばしば悩んでいて、単にひとりになることに耐えられないからという理由で、自分のことよりも相手のニーズを優先してしまうのです」
相手のニーズが最優先になってしまうので、パートナーが大丈夫じゃなければ自分も大丈夫じゃないと感じてしまうことも、とドアリーさんも話しています(デートの相手がソシオパスだったときの兆候と、そこから抜け出す方法についてはこちら)。
2. 自分の気持ちをはっきり知ることが難しい
ほとんどの人は、すぐにたやすく自分の気持ちを把握できます。でも共依存関係に陥っている人は実際にはそれがなかなかできません。
「ふたりの間の境界線が曖昧で、自分の感情が容易に混ざってしまうので、ここまでが自分の気持ち、ここから先はパートナーのものと切り分けることが難しくなっている可能性があります」とラマニ・ダーバスラ医学博士。
アンダーソン博士はこれを共依存の「証(あかし)」と呼んでいます。「あまりにも相手にアンテナを合わせてしまっているために、自分自身の感情に触れることすらできないんです。自分を小さく抑え込んでしまっているのです」
3. まずパートナーに確認しないと何もできない
すべての人間関係にはパワーバランスがつきものですが、自分が何かをする前にいつも相手に確認するのは、相手に多くの力を与えてしまうことになる、とアンダーソン博士は注意しています。
「自分をしっかり持っていれば、ふたりの関係に多くをもたらしていることを理解できているのですが、しょっちゅう相手に確認してくる人は、自分の力に疑問を抱いているのです」
4. パートナーに「ノー」と言うのが難しい
ふたりの間の境界線は大切。健全な関係にある人は、パートナーに対して、どこかの時点で自分ができないこと、自分はやらないことについて話すことがあるはず。
でも、共依存関係にある人にしてみれば、それが深刻な悩みです。「相手を失望させたり、相手に反対されたりすることに対処できない」のが原因で、最終的には自分がやりたいことも、どんどんできなくなってしまいます、と夫婦・家族療法士で『Blueprint for a Lasting Marriage』の著作もあるレスリー・ドアリーさんは言います。
5. 言い争いを避けるために、ずっとだまってしまう
人と言い争うのが苦手で、避けたほうが無難だと感じている人もいるかもしれません、とドアリーさんは言いますが、それだけでは、共依存関係にあるかどうかの手がかりにはならないとはいえ、明らかに逃げているだけでは何事も解決しません。
「共依存関係にある人は、自分に対して怒っているパートナーに対処できないので、ケンカを避けるためにベストを尽くすほかないのです」(アンダーソン博士)
ある人はただ言い争いに対処できなくて、避けたほうが無難だと感じているのかもしれません、とドアリーさんは指摘します。
これだけでは、共依存の関係にあるかどうかの手がかりにはなりませんが、明らかにこれは役に立ちません。「共依存関係にある人は、自分に対して怒っているパートナーに対処できないので、喧嘩を避けるために最善を尽くすしかないんです」とアンダーソン博士。
6. パートナーにあわせるために、自分の予定をキャンセルしてしまう
これは、ときには健全な関係であっても必要なことです。しょっちゅう会っている友人と食事をする予定だった夜にしか、パートナーが休みを取れないこともあるし、どうしてもその日にあなたの助けが必要だという状況になることも考えられます。
「そうしたことはたまに起こるでしょう」とアンダーソン博士。「でも、これがいつものことになってしまっているなら、よくないですね。あなたが自分自身を大切にできていない証拠だし、あなたの人生における他の人たちとの関係を尊重できていないことにもなります」
7. そんな気分じゃないときでも、常に楽観的であろうとしてしまう
共依存関係になっていると、感情的に疲弊します。ふたりの関係を明るいものにするのが自分の役目だとあなたが思っているなら、特にそう。
その結果、パートナーの気分が落ち込んでいるなら、その状況を改善するのは自分の役割だと感じてしまう、とドアリーさんは指摘しています。「相手の感情について責任を感じてしまうのが、共依存のひとつの兆候ですね」
8. ふたりの関係に大きな不安を感じている
これが付き合い始めたばかりなら、物事の立ち位置がまだはっきりわからないかもしれないので、普通のことです、とアンダーソン博士。
でも、しばらく一緒に過ごしているのに、いまだにたくさんの不安を感じているのであれば、健全ではありません。
「あなたはそばにいて、とても心地よいと思える人と一緒にいたいのです。それなのに不安を感じるのは何かがおかしいと、心のアンテナがあなたに伝えようとしているのかもしれませんよ」
心地よい関係を築きたい
Korin Miller/Are You in a Codependent Relationship? Therapists Reveal the Warning Signs
訳/Maya A. Kishida