巣鴨駅前胃腸内科クリニックで、日本初の胃弱外来が開設されました。胃の不快感は、日々の生活の質にかかわってきます。また、大きな病気が隠れている心配も。
気になる胃弱や、専門外来で行われている診察や治療とはどんなものでしょうか? 院長を務める神谷 雄介先生にさまざまな質問をぶつけてみました。
Q3. 潰瘍などの異常は見つからないのに、胃痛や胃もたれなどの不快感がある=「機能性ディスペプシア」ってなに?
image via Shutterstock機能性ディスペプシアとは、潰瘍やがんなど器質的な病変が認められないけれども、胃もたれ、胃痛、お腹の張りなど、胃の不快症状がでてしまう病名のことです。
根本的な原因には、ストレス、睡眠不足、高脂肪食などがあげられています。概念自体は以前からあったものですが、2013年になって保険診療名として通った病名なので、最近になって一般的な認知度があがってきました。
診断では、胃に炎症や潰瘍、がんがないことが前提なので、まず器質的な異常がみられないことを確認します。問診と病変がないかどうか内視鏡検査を行い、胃の中の状態を把握します。
機能性ディスペプシアは、痛みを感じるパターンと腹部膨満感という張りを感じるパターンのふたつがあります。まれにですが、どちらも感じる人もいます。発症する原因は人によって違い、自律神経の影響などがあげられていますが、まだはっきりとは特定されていません。
機能性ディスペプシアは、そのまま放っておいてもヘリコバクター・ピロリ菌のように胃がんのリスクがあがるものではありません。もちろん、合併症などもありません。
あくまでも胃の機能異常の問題なので、あまり症状で悩んでしまうと、レアケースではありますが、うつ症状に進行してしまう可能性があります。機能性ディスペプシアと診断されても、大きな病気に発展することはほとんどないので安心してください。
神谷雄介(かみや ゆうすけ)先生
巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長。国立佐賀大学医学部卒業。板橋中央総合病院にて内視鏡的胆管膵管造影を大井至先生に師事。その後、卓秀会平塚胃腸病院にて胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。年間3000件弱の内視鏡検査、早期がんの治療・内視鏡手術を施行。2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニック開業。内視鏡検査や胃腸症状専門外来、がんの予防・早期発見に力を入れ診察を行っている。理想の医師の姿は「患者さんの相談役のような形でずっと傍に寄り添う主治医」。