3つ目のお悩みは、「マンネリ化してしまったパートナーをその気にさせる方法は?」というもの。
【お悩み】
もともと性欲が低めの夫。結婚年数が長くなるにつれ、どんどんセックスが減って焦っています。夫はひとりでは処理しているようで、それにもイライラ。パートナーをその気にさせる有効な手立てはあるのでしょうか?
「何が夫の“したくなさ”を形成しているのか、それを探ることがひとつのポイントになります。空気みたいな存在とか、家族になってしまったからできないとか、本質と異なることを言ってくる場合もあるでしょう。
これは、夫が自分の内面を隠している、自分のなかで何が起こっているかを見ようとしないときに、よく口に出す言葉でもあります。
経験上すごく大胆な仮説を言うと、一見理由のないセックスレスの原因は、相手に対して怒っているか、怯えているか、無関心かの3つに1つ。どれかに当てはまると、相手を性の対象として見られなくなるようです。
お悩みに戻ると、その気がない相手を“その気にさせる”ということでいいのでしょうか? その方法が仮にできたとしても、相手には自分に対する性欲や愛情があるのだということを実感できないですよね。
人間って、興味あるものにはマンネリだとは感じません。そして人は毎日同じじゃないし、その時々で全然違います。
『今日は顔色悪いね』といえるだけの観察をしていることが愛情。それが失われると、自分を見てくれない、愛情を感じられないという気持ちになります。
自分が愛情を感じられていないのに継続的に相手には愛情を提供し続けるのは困難なので、一定の水準以下になったときに負のスパイラルを形成します。
願わくば、“興味関心をもって相手を見る”ことで、自分が何か嫌なことをされたときでさえ、“そうせざるを得ない相手の気持ちがピンとくる”というところまで持っていけると理想です。
そういうプロセスがずっと継続して行われていることがふたりの求心力であり、その一環がセックスである、と考えると、関係が変わってくるかもしれません」(西澤先生)
相手をその気にさせるよりもまず、関心をもって相手を見ることがポイント。初心に戻って、相手を見ることこそが、パートナーとのセックスレスを回避し良好な関係をキープする方法かもしれません。
西澤 寿樹先生
株式会社はあと・くりにっく代表取締役。戦略コンサルティング会社コンサルタント、金融機関企画部門・システム部門を経てセラピストになる。国際交流分析協会公認交流分析家(心理療法部門)、臨床心理士、公認心理師、厚生労働大臣認定産業カウンセラー、日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー。共著に『コメディカルARTマニュアル』(永井書店)、共訳に『交流分析による人格適応論』などがある。