フランスのピエール・デュカン博士が、2000年に考案したデュカンダイエットは、現在ヨーロッパで最も人気のダイエット法のひとつです。
2011年にウィリアム王子と結婚したキャサリン妃が、結婚式前や出産後に行ったダイエット法としても有名です。
でも、このダイエット法で健康的なバランスのいいライフスタイルを保ち続けることはできるのでしょうか?
過去さまざまなダイエット法を調査してきた栄養士&ライターの筆者が、デュカンダイエットがなぜこれほどヨーロッパで流行しているのかを、探っていきます。
デュカンダイエットのやり方は、こちらの記事で。
デュカンダイエットは本当に効果があるの?
image via shutterstockアメリカの時事解説誌『USニューズ&ワールド・レポート』のランキングでは、デュカンダイエットは2019年のベストダイエット総合第41位、ベスト減量ダイエット第31位となっています。デュカンダイエットでは最初の1週間で最大4.5kg落とすことも可能と言われていますが、制限が厳しいため、長期的に続けるのは難しいかもしれません。
デュカンダイエットの主張、効果、健康への長期的な影響などを裏づける科学的研究はまだありません。しかし、短期的に見ると高タンパク・低炭水化物の食事には体重を減らす効果があることが、研究で証明されています。
カナダの学術誌『Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism』で2018年5月に発表された研究によると、デュカンダイエットのような低炭水化物ダイエットは、前糖尿病(糖尿病予備軍)の女性の心疾患のリスクを下げる効果があるそう。
しかしながら、高タンパクや低炭水化物のダイエットの効果を調査する研究では、デュカンダイエットで推奨される脂肪の制限が含まれていない場合がほとんどです。そのため、短期的にも長期的にもデュカンダイエットの効果を判断するのは難しいと言えます。
デュカンダイエットのような低炭水化物・高タンパク・低脂肪ダイエットが安全でダイエットに効果的と断言するには、もう少し詳しい調査と証拠が必要でしょう。
デュカンダイエットのデメリット
image via shutterstockデュカンダイエットは大幅な減量につながるため、太りすぎや肥満の人に特に効果が期待できます。しかし、とても厳格で制限の多いダイエット法で、特に最初の2段階は非常に厳しく制限されます。フルーツ、良質な脂肪、野菜など主要な食品群の摂取が制限されるので、栄養不足を引き起こしてしまう可能性もあります。
高タンパク・低脂肪ダイエットを長期的に行うと、腎臓を悪くしてしまう危険もあります。大量に摂取されたタンパク質を代謝するため、腎臓を酷使することになるからです。また、頭痛、倦怠感、便秘など低炭水化物ダイエットでよく起こる副作用が伴う場合もあります。
デュカンダイエットが心疾患や糖尿病などの慢性疾患の予防やコントロールにつながるかどうかは、はっきりしません。最初の2段階では、フルーツ、野菜、全粒穀物など、心臓や糖尿病にいいとされる代表的な食品が排除されています。
その一方で、ダイエット期間の後半にあたる、第3段階(コンソリデーションフェイズ)や第4段階(スタビリゼーションフェイズ)に入れば制限が緩和されるので、健康的な体重や健康全般を維持しやすいでしょう。
ダイエット法は健康にしたい
【厳選ダイエット術7つ】おすすめ食材やしっかり減量するためのルール
トップ認定管理栄養士にきいた、最も健康的なダイエット法はどれ?
Jessica Levinson/Dukan Diet: The High-Protein Diet Europeans Are Obsessed With
訳/Seina Ozawa