しかし、女性外来を開設する医学博士の赤澤純代先生によると、肌が乾燥する根本的な原因は、“毛細血管の血流不足”によるとのこと。放っておくと意外とキケンな乾燥肌の原因とその対策を、ご紹介します。
乾燥肌は身体が悲鳴を上げているサイン
そもそもなぜ肌は乾燥するのでしょうか。それは、皮膚のターンオーバーが乱れて、バリア機能が低下してしまうから。
肌の乾燥に大きく関わるのは、皮膚の一番外側にある「角層」部分。0.02mmととても薄いのですが、外部の刺激から守るバリアとして重要な役割を果たしています。
この角層のもとになる細胞は、次々と新しいものができては最終的に角質細胞となり、バリアとしての役目を終えると垢となってはがれていきます。しかし、一連のサイクル(=皮膚のターンオーバー)がうまくいかなくなるとバリア機能が低下し、肌内部の水分をどんどん蒸発。外部からの紫外線や大気汚染なども内側に侵入させ、乾燥肌が悪化してしまうのです。
じつは「肌がピリピリするな」というのも、外部からの刺激物によって肌の内側で炎症が起こっている証拠。放っておけば肌の老化が加速します。たかが肌荒れと思いがちですが、赤澤先生によると、医学的にみれば立派な皮膚障害とのこと。全身を覆う防衛臓器が傷んでいるととらえるべき危機的状況なのです。
乾燥肌の原因となる血流不足はなぜ起こる?
ではなぜ、皮膚のターンオーバーが乱れるのでしょうか。赤澤先生いわく、その原因は“血流の悪さ”。血流が滞ると細胞分裂に必要な酸素や栄養が十分に運ばれず、新しい細胞へとリニューアルされなくなってしまうのです。
しかし、残念ながら全身を巡る毛細血管も年齢とともに減少。20代と比べると60〜70代では、毛細血管は4割も減るといわれています。
そして、血流を悪くするもうひとつの原因が、“5度以上の寒暖差”。じつは気温の低さよりも“寒暖差”によって自律神経にストレスがかかり、血流を悪くする因子がはたらくのです。つまり、冬の寒さで血流が悪くなるのではなく、温かい室内と寒い屋外を出たり入ったりすることで、肌がごわついたり乾燥するということ。
血流状態のチェック方法と解決メソッド3つ
では、血流不足による乾燥肌を解消する具体的な方法は?
まずは、自分の血流状態をチェックしてみましょう。簡単にわかる方法は、ツメの両脇の皮膚の状態を見てみることだそう。もし、ツヤのあるしなやかな皮膚をしていたら、血流がよくターンオーバーも正常。反対に、皮膚が固く、ささくれなどができていたら、血流不足でターンオーバーが滞っている可能性が。日頃から血流のバロメーターとしてチェックする習慣をつけておくとよいかも。
日頃のケアとして大切なのが、古い角質をキレイに取り除くこと。冬は乾燥するので角質をとらない方がいいというのは大きな誤解。不要な角質が残っていると新しい細胞をつくらなくていいものと勘違いしてターンオーバーが遅くなるので、角質ケア用のローションでやさしくふきとりましょう。
そして、意外と効果てきめんなのが、頭皮マッサージなのだとか。夕方、肌に元気がないなと感じたら、頭皮全体を指の腹でしっかりマッサージしてみましょう。肌が潤ってなんとなく透明感がアップするのがわかるはず。これだけでも乾燥が軽減されるので、手軽でおすすめ。
さらに、朝こそしっかり保湿を。じつは、血流量は夜に比べて日中に低下。とくに冬は乾燥や寒暖差によるダメージが多いので、朝のスキンケアで水分と油分をたっぷり補うことが大切です。
逆に夜は、グロースファクター(成長因子)が分泌され細胞を修復する時間なので、抗酸化や抗炎症作用のある成分を含んだスキンケアを選ぶと、効率よく肌が回復します。
赤澤先生によると、血流不足を解消しない限り、どんなクリームを塗っても乾燥肌から卒業はできません、とのこと。バリア機能と血流が美肌を決めるということを認識し、適切なケアを心がけたいものです。
赤澤純代 医学博士
2002年、金沢医科大学循環器内科助手時代に、石川県初の女性外来を開設。その後、組織再編で現在の金沢医科大学 集学的医療部 総合診療センター 女性総合外来となる。外来診療を行いながら、女性特有の体や心の問題に対し、ライフステージに合わせてやってくる変化とうまく付きあいながら、年を重ねていくための処方箋を楽しみながら研究し、実践し、提案している。
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[情報提供:マキアレイベル]