食べ物に含まれるビタミンや栄養で健康管理ができるように、食べ物は人の気分をも左右するという考え方があります。これは「Mood Food」と呼ばれ、人の気分や健康にプラスの影響を与える食べ物をメニューに取り入れるレストランが、ヨーロッパで見受けられます。
気分や体調に合ったメニューが揃う場所
気分は食べ物を導き、食べ物が気分を導く
「THE CURE RESTAURANTより翻訳引用」
パリ9区にあるレストラン「THE CURE」は、その名のとおり、人を「cure=癒す」効果があると言われるメニューを取りそろえています。
このレストランのオーナーは、以前は弁護士として活躍していたステファニーさんです。より意義ある人生をと、「Mood Food」の考えを軸にこの店を開きました。
医師の父を持ち、小さい頃から体によいものを食べるようにと教えられてきた影響もあり、ストレスや疲れなど、その日の心の状態を和らげてくれるメニューを人々に提供したいと考えたそうです。
メニューは、栄養士のアドバイスを受けながら、シェフとともにシンプルで受け入れられやすい料理を工夫。新鮮な素材を毎日手づくりで提供するため、季節によってメニューの中身は変わります。
鬱々とした気分のとき、リラックスしたいとき、疲れきってしまったときなど、人が抱きがちな気分にあったメニューが9種類そろっています。
時間がないパリジャンには持ち帰りサービスも人気心のバランスに働きかける「Mood Food」のヒント
体が重たくやる気が出ないときは、肝臓・腎臓のデトックスを
なんとなく体の不調を感じている人には、ステファニーさんは「Menu Détox(デトックス・メニュー)」をおすすめします。
「肝臓と腎臓に働きかけ、体内に溜まった毒素をデトックスすれば体の不調もとれ、気分もスッキリします。『デトックス・メニュー』では、ビタミンB2・C・E、ベータカロチン、亜鉛、セレニウムといった栄養素をバランスよく摂取できるようにしました」(ステファニーさん)
お酒や脂質を多く摂ったと思ったら、肝臓に毒素がたまり、負担がかかっている証拠です。また、血中の塩分や毒素をろ過する腎臓の働きがにぶると、何となくだるかったり気分がすぐれなかったりします。そのためには、この2つの臓器をいたわり、デトックスしてあげることが重要になってきます。
冬の「デトックス・メニュー」の食材には、アブラナ科のケール、キャベツ、ムラサキキャベツ、ブロッコリー、ニンジン、アーモンド、ウコン、ショウガが使われています。
最近どうも疲れやすい……と思ったら、これらの食材を料理にとりいれてみては。
ヘトヘトに疲れたら、マグネシウムと鉄分が不足しているかも?
疲れきって力が出ないと感じるときは、「Menu TNT(TNT・メニュー)」が用意されています。
「ひどい疲れには、鉄分、複合炭水化物、プロテイン、ビタミンC、マグネシウムを補ってあげることが不可欠です」(ステファニーさん)
複合炭水化物は、小麦製品(パスタ、パン)、穀類、玄米、豆類、根菜類などに含まれており、体の元となるエネルギー源を作ってくれます。
また、マグネシウムは体に不可欠なミネラルのひとつ。大豆製品、木の実、穀物、魚介類、海藻などに豊富に含まれており、骨、歯、筋肉、脳・神経にある成分です。
神経情報の伝達や体温・血圧調整に働きかけ、これが不足すると生活習慣病にもかかりやすくなると言われています。
ステファニーさんの冬の「TNT」メニューには、もやし、豆腐、エンドウ豆、小麦、クルミ、カリフラワー、じゃがいもが使われています。日本人におなじみの食材が名前を連ねるのも興味深いところです。
果物に豊富に含まれるビタミンC、プロテイン、複合炭水化物などはなんとなく摂取していることがありますが、鉄分やマグネシウムは意識して摂るようにしたいものです。
今回紹介した2つのメニュー以外にも、イライラしたときに選ぶ「禅メニュー」、冬を迎える前の「WICメニュー」、春になってスポーツを始めるための「EPSメニュー」などユニークかつ愛情たっぷりのアイデアメニューがそろっています。
家で手軽に! 疲れた体を癒すやさしいレシピ
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[THE CURE]