前の記事では、ニューヨークにあるBeFit Therapyでトレーナーをしている、スポーツ臨床専門医のブライン・ガーニーさん、シカゴにあるReact Physical Therapy創立者で理学療法士のデイヴィッド・リーヴィーさんから、フォームローラーを使うメリットを教えてもらいました。
今回は、ガーニーさんやリーヴィーさんおすすめの、「痛み別・フォームローラーエクササイズ」を試してみましょう。
それぞれ、30〜60秒ほどローラーを転がして、凝っている場所や痛みのある場所に当たったら、一旦動きを止めて、ローラーの周りで筋肉がリラックスするようにします。ローリングの後は少なくとも30秒ストレッチを行いましょう。
01. ひざが痛い場合
ひざの関節の痛みは、太ももの外側にある腸脛靭帯(ITバンド)が硬くなっていたり、大腿四頭筋(太ももの正面)が凝っていたりするとよく起こります。
ITバンドや大腿四頭筋をフォームローリングする方法:
膝の外側のちょうど上あたりにフォームローラーが当たるようにして、横たわります。フォームローラーは、身体に対して直角に置くようにしてください。ローラーがひざから腰にかけてITバンドに沿って転がるように身体を上下に動かします。
次にローラーで大腿四頭筋をほぐします。凝り固まった場所に当たったら、いったん動きを止めましょう。ひざを曲げたり伸ばしたりすると、筋肉の奥深くまで作用します。
大腿四頭筋と股関節屈筋のストレッチ:
カウチか壁を背にしてひざまずきます。左ひざを床につけたまま、左足を後方に上げ、カウチか壁にもたせかけます。右足は前に出し、足の裏を床にぴったりつけ、右ひざを曲げて太ももが床と平行になるようにします。この姿勢をキープして数回呼吸をしましょう。左の大腿四頭筋と股関節屈筋が伸びているのを感じてください。反対の足でも同じように行います。
02. 腰が痛い場合
腰の痛みは、実際には身体の正面が原因かもしれません。股関節屈筋(腰と足がつながる場所の筋肉)が凝っていると、腰がひきつれて、その結果、腰回りが痛むということがしばしば起こります。
腰の痛みにターゲットを絞るなら、実際には、フォームローラーよりもラクロスに使うボールのほうが向いています。なぜなら、緊張している組織の奥深くまで作用するから。リーヴィーさんもガーニーさんも、腰をフォームローリングすることは推奨していません。
ラクロスボールで腰をローリングする方法:
うつぶせになり、ボールを腰の前側の股関節の下に置き、体重をかけます。小さく円を描くようにボールを転がし、痛い場所に当たったら動きを止めて、ボールで筋肉に圧を加えます。ひざを後ろに曲げ、ひざから下をゆっくり曲げ伸ばしするのもよいでしょう。
03. 肩や首が痛い場合
「首の痛みの多くは、胸椎の可動性が失われていることが原因」と言うのはガーニーさん。つまり背中上部が凝っていて、首に負荷がかかっている可能性があるということ。
背中上部をフォームローリングする方法:
フォームローラーが背骨のちょうど肩甲骨の下あたりで直角に交わるようにして、床にお尻をつけて横になります。両手で頭の後ろを支え、背骨を後ろに向かって伸ばし、また最初の姿勢に戻ります。この前後の動きを交互に繰り返します。
胸をストレッチする:
両腕を横に広げて、部屋の戸口の中央に立ちます。戸口を手でつかんで身体を支え、両肩正面から胸にかけてよく伸びていると感じるまで、身体を前に倒します。
04. アキレス腱が痛い場合
ふくらはぎが凝っていると、その上や下あたりに痛みを起こすことがよくあります、とガーニーさん。ひざに痛みがあったり、足首やアキレス腱が痛くなったりするのはそのせいかもしれません。ガーニーさんは、この種の痛みを治すにはラクロスボールの使用をすすめています。
ふくらはぎをローリングする方法:
ラクロスボール2個をテープでつなぎます。ボールをアキレス腱のあたりから、ふくらはぎの筋肉に向かって転がします。ボールとボールの間の溝は、アキレス腱の周囲にぴったりフィットするはず。
ふくらはぎのストレッチ:
両手は肩の真下あたりに置くようにしてプランクの姿勢になり、頭から足先まで一直線になるよう保ちます。それから腰を天井に向かって押し上げ、身体が逆さのVの字になるようにします。左足は床につけたまま、右足を持ち上げ、左のふくらはぎの上に置きます。左のふくらはぎがよく伸びているのを感じている間、右足はリラックスした状態をキープしましょう。そのまま数回呼吸し、反対側も同様に繰り返します。
05. 臀部が痛い場合
臀部やハムストリング(ひざの後ろ)が凝っている可能性があります。フォームローラーで凝り固まったハムストリングを柔らかくするのは難しいのですが、リーヴィーさんは、梨状筋(大臀筋の後ろの臀部奥深くに位置する小さな筋肉)をほぐすことが役に立つとすすめています。
梨状筋をフォームローリングする方法:
固めのフォームローラーの上にひざを曲げて座り、足の裏は床にぴったりつけ、身体を楽にして体重をかけます。痛みのある臀部の側に体重を移動させましょう。臀部のまわりを円を描くようにローリングして、凝っているスポットを見つけたら動きを止め、ひざを内側と外側に広げたり閉じたりします。
大臀筋のストレッチ:
仰向けに寝ます。痛いほうの臀部の膝を曲げて、反対側の足は床にまっすぐ伸ばしたままにします。曲げたほうの足を反対側のふとももの上に置き、痛い側の足を抱えて両足を胸の方に引き寄せます。
筋膜をほぐす、整える
Laurel Leicht/5 Foam Roller Exercises to Ease All of Your Aches and Pains
訳/Maya A. Kishida