第2回では、ひきつづき内科医である石原新菜先生に、「冷え」についてもう少し詳しく解説して頂きましょう。
「冷え性」といっても、実は種類がある
冷えは「末端冷え」「下半身冷え」「内臓冷え」の3つに分けられます。
「末端冷えは若い人にも多い、初期の冷え性。体の中心の熱を保つために末端が冷える症状です。下半身冷えは更年期に起こりやすい冷え。生理が止まり、循環しなくなった血液が上半身に上がり、のぼせたりイライラしたりすると東洋医学では考えます。
最も深刻なのが内臓冷え。熱を自分で作れなくなり、体の深部が冷えています。内臓のはたらきが悪くなり、さまざなま病気の原因にもなります」(石原先生)
「冷え」を自分で気づいていない人もいるようです。
以下の項目を早速チェックしてみましょう。あてはまるものが最も多いのが、あなたの冷えのタイプです。
末端冷え
□手足が氷のように冷たく、しもやけになることも
□足先が冷えてなかなか寝つけない
□手先が冷えるわりに、体温は36度~36.5度前後ある
□月1回の月経量は多いほうで、生理痛や生理不順がある
□顔色は青白く、ニキビなどの肌荒れがある
□どちらかというと痩せている
□ときどき立ちくらみする
□運動はあまり好きではない
□冷房は苦手
□入浴はシャワーだけ
下半身冷え
□下半身は冷えているのに、上半身はほてってしょうがない
□突然、顔や背中から大量の汗が出る
□お腹が張って便秘しがち □体温は36度台
□イライラして眠れない □口が渇くと、つい冷たい飲み物を飲んでしまう □上半身がほてるので、やはり冷房はつけたい
□まだ閉経していない
□上半身に比べて下半身は細い
□ニキビなどの肌荒れのほか、クマが目立つ
内臓冷え
□手足がほてって眠れない
□疲れやすく、風邪をひきやすい
□冷えの自覚症状はないのに、35度台の低体温
□皮膚がかゆい
□冷房が好きで、冷たい飲み物をよく飲む
□比較的、薄着
□胃痛のほか、下痢と便秘を繰り返す
□膀胱炎にかかりやすい
□極端なダイエットに走ったことがある、または現在している
□熱くて湯船に入っていられない
いかがでしたか。万病のもとといわれる冷え。そもそもなぜ冷えてしまうのでしょうか。
冷えとは、濡れた水着を着続けている状態
第1回で、体内に入った栄養が血液により全身の細胞に届けられ、エネルギー(熱)が作られるとお伝えしました。
「このとき、血液中の水分も細胞に取りこまれるのですが、冷えていると水分が細胞にうまく取りこまれず、細胞の外や体のあちこちに溜まってしまいます。
これは、濡れた水着を着続けているような状態。余分な水分はさらに冷えを呼び、悪循環になるのです」(石原先生)
冷たい水に常に覆われているような状態なのですね。
冷えを放置するとどうなるの?
さらに冷えは、代謝を下げるだけでなく免疫力も下げてしまうのだそう。
「体温が1度下がると、なんと免疫力が30%も低下します。冷えが万病のもとといわれるのもわかりますね。
風邪をひきやすくなったり、アレルギーが発症しやすくなったり。ガン細胞も低体温を好みます。むくみや下半身太り、二重あごなどの水太りにも。血液も汚れはじめ、高血圧や動脈硬化の原因に。肩こりや頭痛も血流の悪さが原因です。
人間の体は、36度5分〜37度くらいの体温で、最もよくはたらくようにできているのです」(石原先生)
さらに、冷えはメンタルにも影響するのだとか。
「血液の流れが悪くなると、気の流れも悪くなります。するとエネルギーが不足し、頑張れなくなる、やる気がなくなる、鬱の原因にもなります」(石原先生)
冷えは放っておけません。 第3回では、すぐにできる改善テクをご紹介します。
代謝アップを目指したい
体温が1度違うと、1週間で3キロ太る? 低体温&冷えと代謝の関係
石原新菜(いしはら・にいな)
内科医。イシハラクリニック副院長。医師の父(石原結實先生)と世界各地の自然療法を視察し、自然医学を学ぶ。現在は、漢方薬処方を中心とする診療を行う。わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄が人気を博し、テレビ、ラジオ、雑誌など、幅広く活躍中。著書に『「冷え」をとれば9割治る!』(海竜社)、『きれいな人は温めている』(大和書房)などがある。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。2児の母。オンラインサロン「Dr.石原ニーナの温めサロン」も。