テネシー州ブリストルに住むシーシー・クラインさんは、カリブ海のシント・マールテン島を訪れるクルーズ旅行中、頭が痛くなりはじめました。そして間もなくビーチに倒れ込んだのです。「脳動脈瘤」のせいでした。
家族のバカンスはたちまち悪夢のような状況に。「シーシーはまったく何ともなかったのに、いきなりのことだったのです。まっすぐ海に向かっていったかと思ったのに、そのまま気を失ったんです」と、姪のリンジー・ライマーさんは語ります(地元ブリストルのTV局、WJHL)。
image via shutterstock家族によると、「死に瀕した状態」に見えたシーシーさん。さらに悪いことに、数日間そのカリブの島から出られなかったのです。アメリカできちんと治療してもらえるはずだったのに。
というのも、健康保険が切れていたため、治療を受けるために自国への搬送が難しかったのです。家族は、寄付をつのるクラウドファンディング「GoFundMe」のアカウントを立ちあげ、高額な医療費の足しにしました。今でもシーシーさんの回復を必死に祈っているのです。
当初は脳卒中かと思われたシーシーさんですが、入院してすぐに医師が下した診断からは「動脈瘤」が破裂したためだとわかったのでした。2016年の調査によると、脳動脈瘤がどんなものなのかよく知らない人は、アメリカ人の90%におよび、そのためサインや症状にも気づけません。
この病気の重要な兆候を見ていきましょう。
脳動脈瘤とはどういうもの?
ニューヨーク大学ランゴーン医療センターの神経外科医、ハワード・リイナさんが『Prevention』誌で以前に語ったところによると、脳動脈瘤は脳内の血管の壁にできた弱い部分のこと。
血流が脳の中を通ると、血管壁のこの弱い部分が外側に押されてふくらみます。そして、このふくらみが破裂する恐れがあり、破裂すると脳組織の中に血液がもれ出すのです。もっとコワイことに、多くの人は脳動脈瘤を抱えたまま普通に過ごしていて、破裂して血液がもれ出すまで気づきもしません。破裂しないままの場合も多くあります。
「手元のデータによると、動脈瘤がある人は人口の6〜9%です」(リイナさん)。
脳動脈瘤の症状は?
image via shutterstock脳動脈瘤の症状に気づくことができれば、救命につながります。
明らかなサインは、本当にひどい頭痛。人生で最悪の頭痛と考えてください。たいていは目の奥に集中します。破裂する前の数日〜数週間、軽い頭痛がする場合もあり、これは基本的に小血管から血液がもれて、頭蓋の中の圧力が高まっている状態です。
そのほかの症状としては、首のこわばり、顔のチクチク感、光に過敏になる、手足に脱力感を覚える、視界がぼやける、物が二重に見える、極度の疲労感などで、けいれんのような発作が起きることさえあり得ます。動脈瘤が破裂すると、銃声や破裂音が聞こえると言う人もいます。
脳動脈瘤が破裂したらどうすればいい?
image via shutterstockあなたでもほかの誰かでも、このような症状がひとつでも当てはまるなら、すぐに救急車を呼ぶか、救急救命室に直行することが大切。
すぐに助けを求めて、脳動脈瘤の破裂により上がった頭蓋内の圧力を下げる処置を受けることがきわめて重要です。残念ながら、リイナさんによると、患者の30〜50%は動脈瘤が破裂するとすぐに亡くなり、3分の1は何らかの障害が残ります。最終的に、患者の3分の1は「正常な機能に戻ります」(リイナさん)。
脳動脈瘤が破裂してから4日間、島に足止めされたシーシーさんは、アメリカに戻ってから2回の手術を受けましたが、まだ危機的状況のままといいます。
体の不調、見逃さないで
Leah Groth/This Woman’s Throbbing Headache Was Actually a Brain Aneurysm訳/STELLA MEDIX Ltd.