いまや「100歳以上まで生きるのは稀」とは言えないくらい。1990〜2000年にかけて、100歳以上の人口は51%も増えたのです。
どうやってこのような飛躍ができたのでしょうか。大きいのは健康、教育、病気予防と治療の進歩。でも、何気なく行っている毎日の習慣や、過去におかれていた環境も、人生の長さや健康に関係しています。これからも長く生きられるというサインと、軌道にのるためのコツをお教えいたします。
閉経後に(比較的)おなかが平らになった人
アメリカ国立加齢学研究所の調査によると、中年のときにおなかの出ている女性は、早死にするリスクが20%高くなるそう(BMIが正常であっても)。中年期になると、ホルモンの変化でおなか周りに余分なお肉が増えて、スリムなウエストを維持するのがより大変になるのです。
ウエストが90センチ以上の場合(男性の場合、100センチ以上)、次のようなステップを試してみます。
筋肉と代謝をたもつため、毎週2〜3回の20分間の筋力トレーニングセッションを行います。 炎症を防ぐために毎日オメガ3脂肪酸を含む食事(サケ、クルミ、アマニなど)をとります。さらに、病気を防ぐ抗酸化物質を含むフルーツや野菜を毎日最低7品目とります。 心臓を守り、おなかに脂肪がつきづらくする不飽和脂肪酸(植物性の油や魚に含まれる油)のような脂肪から日々のカロリーの25%をとるようにします(1600キロカロリーの食事なら44グラム相当になります)。10代のとき、体重に問題がなかった人
アフリカ系アメリカ人137人を生まれてから28歳までを追跡調査した『ジャーナル・オブ・ペディアトリクス』誌の研究によると、14歳のときに太りすぎだと、成人期に2型糖尿病になるリスクが増えるとわかりました。
アメリカ心臓協会によると、糖尿病になると、心臓病になるリスクがそうではない場合の2倍から4倍になります。
オートミールのなかのラズベリーが好きな人
アメリカ人のほとんどは1日に14〜17gの食物繊維をとっています。オランダの研究によると、わずか10gを足すだけで、心臓病で死亡するリスクが17%減るとのこと。食物繊維は、総コレステロール値とLDL(悪玉)コレステロール値を低下させて、インスリン感受性を改善して、体重を減らしてくれるのです。
ちょっとひと手間:1杯のラズベリー(8 g)をあなたのオートミール(乾いた1/2カップには4 gの繊維があります)にのせれば、たった1食で食物繊維12 gをとることができます。
そのほかに食物繊維が豊富な食べ物:100%のブランシリアル1/2カップ(8.8グラム)、加熱したレンズ豆1/2カップ(7.8グラム)、加熱した黒豆1/2カップ(7.5グラム)、サツマイモ中サイズ(4.8グラム)、梨小1つ(4.3グラム)。
カロリーをいつも計算している人
セントルイスの研究者の報告によると、1日のカロリーを1400~2000キロカロリーに制限している男女は“ハートが若い”というのです。文字通り心臓の機能が15歳程度も若いそう。
(典型的な西洋の食事は、1日2000~3000キロカロリーで、約25%少ないことになります)
「食べる量を減らすだけではなく、カロリーあたりの栄養を最大にすること」と、研究の責任者で医師、博士、ワシントン大学医学部准教授のルイージ・フォンタナさん。
「すすめられるのは、野菜、全粒粉、無脂肪乳、赤身肉にこだわること。白いパン、ソーダ、キャンディを避けることです。栄養の乏しいカロリーは減らし、栄養豊富なものをとるようにすると、健康になれるのです」とフォンタナさん。
お茶が大好きな人
緑茶と黒茶には濃縮されたカテキンが入っています。血管をしなやかにして、心臓を守ってくれます。日本人の男女4万500人以上を対象とした研究によると、毎日5杯以上の緑茶を飲む人は、心臓病や脳卒中で死ぬリスクが最も低かったのです。
紅茶を飲む影響を調べたほかの研究の結果においても同じでした。
心臓の健康を保つために必要なお茶は毎日わずか1、2杯。いれたてのものにします。ペットボトルなどのお茶(スーパーマーケットの売り場にあるような)は同じ効果は期待できません。
タフツ大学の栄養科学と政策の教授、博士のジェフリー・ブルムバーグさんによると、「茶葉に水を加えると数日でカテキンが分解してしまうのです。いくつかの研究によると、牛乳を加えると、お茶の心血管系を守る効果が消える可能性もあります。ですから、加えるならレモンとハチミツにします」。
コーラを避けている人(ダイエットコーラも)
ボストンの研究者によると、毎日1杯以上コーラを飲んでいると、メタボリックシンドロームや高血圧、インスリン値上昇、腰の脂肪の付きすぎなどリスクが倍増するとのこと。それは、普通のコーラでも、ダイエットコーラでも。
しかも、心臓病と糖尿病にもなりやすくなるのです。血圧とコレステロール値を下げて、糖尿病を防ぎ、喫煙しない場合、健康寿命が6年~9年半も延びる可能性があるというのです。
コーラをカラメル色にしている添加物が悪い可能性があるようです。動物実験によると、メタボリックシンドロームのリスクを高めるとわかったのです。
「ソーダ好きの人は、舌の味蕾(みらい)がいつも天然甘味料にも、人工甘味料にもさらされています。そのため、甘い食べ物を好んだり欲しがったりするようになり、体重の増加につながってしまうのかもしれません」と、研究の代表者である、ボストン大学医学部教授で、医師のワサン・S・ラマチャンドランさん。
もっとよい選択:カフェインが必要ならお茶に切りかえます。もしシュワっとした感じが欲しければ果実を少ししぼったスパークリングウォーターに。
紫のものをよく食べる人
コンコードグレープ、ブルーベリー、赤ワインなどの深い紫は「ポリフェノール」によるものです。研究によると、ポリフェノールは心臓病のリスクを減らし、アルツハイマー病予防の働きもあるとされています。ポリフェノールは、血管をしなやかに、健康に保ってくれるのです。
「心臓の冠動脈に良いものは、脳の血管にも良いのです」と、シンシナティ大学認知障害センターの責任者で、博士のロバート・クリコリアンさん。
本格的な研究に先立っておこなわれた動物研究によると、普段の食事に色の濃いブドウを足すと、脳の機能を改善する可能性があるようです。さらに、最近の人を対象にした研究によると、毎日1杯以上のブルーベリーをとると、脳細胞間のコミュニケーションが改善され、記憶力が高まることもわかってきました。
ハンバーガーが好きではない人
アメリカがん研究協会の有名なレポートによると、小さなポーション(約70グラム)の牛肉、豚肉、羊肉をときどきたべるくらいなら大したことはないのですが、毎週およそ500グラム以上の赤身肉を食べていると大腸がんのリスクが高くなってしまうのです。同じレポートによると、1日にとる加工肉(ホットドッグ、ベーコン、惣菜肉など)がおよそ100グラム増えるごとに大腸がんのリスクは42%増えていくともされます。
赤身肉や加工肉がなぜ有害なのか専門家にもよく分かっていないのです。ただし、肉が焼かれたり、スモークにされたり、硝酸塩などの防腐剤が加えられたりすると、発がん物質が発生すると推定されています。
「野球の試合では、ときどきホットドッグを食べるかもしれません。でも、それを習慣にしないようにしましょう。赤身肉を焼くならば、最初に下味をつけ、小さく切ります。それから何度もひっくり返しながら焼くこと。それらの工夫をすることで発がん性物質の発生防止につながるのです。オーブンで焼くときにも温度は200度以下にします」と、アメリカがん研究協会の栄養アドバイザー、登録栄養士のカレン・コリンズさん。
1日40分走っている人
カリフォルニア州の科学者によると、週に合計5時間走っている中年の人は長生きする傾向があるようです。年齢を重ねても、身体機能と認知機能が良好なのです。
ランナーとそうではない人を21年間にわたって追跡したのですが、「驚いたのは、ランナーの心臓病が少なく、がん、神経疾患、感染症なども少なかったこと」と、研究の責任者を務めたスタンフォード大学医学部准教授で、医師のエリザ・チャクラヴァーティさん。
「エアロビクスは免疫系を若く保ってくれるのです。ランニングが好きでなければ何か息のあがるような運動を1日20分やると健康につながります」と、エリザさん。
歩くことが多い人
男女2603人を対象とした最近の研究によると、体脂肪率にかかわらず1日およそ30分歩いている人は長生きするとわかったのです。
別の最近の研究によると、太りぎみの女性であっても、毎日わずか10分の運動にとりくむだけで心臓の健康が保てるそう。お昼休みに散歩したり、子どもがサッカーの練習をしている間にグラウンドの周りを歩いてみたりして、運動をするようにしてみるとよさそう。