バクテリアは「ばい菌」の別の呼び名だと思っている人は、その考えを改めたほうがよいでしょう。プロバイオティクスは最近注目されているキーワードで、腸内で有益にはたらく生きた細菌を指します。2012年には、400万人が何かしらのプロバイオティクス製品を使ったという、アメリカ国立衛生研究所(NIH)のデータもあります。
でも、プロバイオティクスとは実際にどういったものなのでしょうか。確かに免疫システムに悪影響を及ぼすような微生物の種類もありますが、プロバイオティクスは免疫力を高めることもできるのです。「善玉菌」は、病気の原因となるバクテリアへの抵抗力を高めたり、イースト菌の繁殖などの感染を予防したりしてくれるとバスケットボールチーム、オーランドマジックの栄養士、タラ・ギダス・コリングウッドは説明します。
image via Shutterstock2018年の『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』誌の論文によると、プロバイオティクスで腸内細菌の種類を増やすことで、下痢や一般的なカゼの原因である上部呼吸器感染症を予防ができるということが分かっています。別の論文では、プロバイオティクスのメリットは、腸に限らないとしています。専門誌『Brain, Behavior, and Immunity』で発表された2018年の研究では、プロバイオティクスは、うつ病、体の炎症を抑えるなどにも効果があると結論づけました。
プロバイオティクスはサプリメントとしても摂ることができますが、発酵食品や乳製品にも自然に含まれています。ただし、ひとつ注意しなくてはいけないのは、プロバイオティクスは生きていて、熱に弱く死んでしまうので、市販の缶詰などではその効果を得られないことがあるとコリングウッドさんは言います。
もし試してみたいと思ったら、まずはこちらのプロバイオティクスを含む食品にトライしてみましょう。
01. ケフィア
ケフィアはプロバイオティクスの宝庫です。低脂肪のケフィアカップ1杯分で12種類もの乳酸菌が含まれています。乳酸菌のうちのひとつ、ラクトバチルス菌は下痢の予防や治療に効果があるとされています。またアメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、ビフィズス菌は下痢や便秘を改善すると言われています。
ケフィアは発酵食品なので、ケフィアにもともと含まれている糖分は活性化されたバクテリアに食べられて、乳糖は99パーセントなくなっています。「牛乳やヨーグルトがだめな人でもケフィアは大丈夫なことが多いのです」とコリングウッドさんは説明します。
しかも1カップあたりカルシウムが316ミリグラム、タンパク質が9グラムも入っています。これは大きめの卵ひとつ分より多いです。
ケフィアはそのままで食べても、生のフルーツで甘さを足しても、スムージーに加えてもいいでしょう、とコリングウッドさんは言います。
02. ギリシャヨーグルト
ケフィアヨーグルトと同じで、ギリシャヨーグルトにはラクトバチルス菌などたくさんのプロバイオティクスが含まれています。ギリシャヨーグルト約200グラムでなんとタンパク質20グラムも摂ることができます。
さらに、細胞を健康に保ってくれるビタミンBの一種、リボフラビンが豊富で、骨を丈夫にしてくれるカルシウムや、肝臓や心臓などの機能を助けるカリウムなどのミネラルも豊富だとコリングウッドさんは説明します。
朝ごはんやおやつにギリシャヨーグルトとフルーツはぴったりですが、実はもっと使いまわしが効く食材です。コリングウッドさんのおすすめは、ディップのベースとして使ったり、スープ、ソース、スムージーなどに加えたりすることだそう。
03. フレッシュザワークラウト
自然に発酵した、加熱されていないザワークラウトも、プロバイオティクスを含んでいます。『Food Bioscience』に発表された2018年の研究によると、ザワークラウトはラクトバチルス・ブレビスなどの乳酸菌を含むそうです。2014年におこなわれた、子供を対象とした小規模な研究によると、この菌はインフルエンザにかかりにくくなるそうです。
ザワークラウトはキャベツからできているので、1カップあたり約3グラムの食物繊維も摂ることができます。さらにカリウム、ビタミンC、ビタミンBも含んでいます。そして、「またアブラナ科に多く含まれる植物由来の栄養素も多く、これらには抗ガン作用があるとも言われています」ともコリングウッドさんは話します。
ただひとつのマイナス点は、ザワークラウトは塩分がなかなか多く、1カップで950ミリグラムも入っていることです。これはだいたい一日の推奨量の40パーセントなので、食べるときはほどほどにしましょう。
ザワークラウトはそれだけでもおいしい副菜ですが、バーガーやサンドイッチのトッピングにも使えます。近くにファーマーズマーケットがない場合は自分で作ってもよいでしょう。
04. フレッシュピクルス
ザワークラウトと同じようにフレッシュピクルスもプロバイオティクス源としておすすめです。大きめのピクルスひとつで、食物繊維を2グラム近く、カリウムも31ミリグラム近く摂ることができます。
ただ、缶詰のものではなく新鮮なものを選ぶようにしましょう、とコリングウッドさんは言います。そして食べすぎには注意! 大きいものひとつで塩分1600ミリグラムを含み、これは一日の塩分摂取量の約半分です。
そのまま食べてもいいのですが、バーガー、ツナサンドやポテトサラダに歯ごたえを与えるために入れてもいいでしょう。ピクルスの汁も飲めます。
05. 味噌
大豆を発酵させた味噌もプロバイオティクス源です。植物性のタンパク質の多く、たとえば豆類やヘンプと比べると大豆は完全に近いとコリングウッドさんは言います。つまり、体内で作ることのできない9種のアミノ酸をすべて含んでいるのです。
味噌大さじ1杯でタンパク質2グラム、塩分634ミリグラム含んでいます。
味噌があれば、深みと塩味を与えることができます。味噌汁だけでなく、スープ、野菜料理に加えるなど幅広く使うことができます。そして種類と色もさまざまあり、味も異なります。赤味噌、白味噌、その中間などありますが、味がマイルドなのは白味噌です。
06. コンブチャ
このしゅわっとしたドリンクがこんなにも人気になったのはプロバイオティクスが豊富だというのもひとつの理由です。コンブチャは紅茶キノコとも呼ばれるとおり、紅茶に砂糖を入れて甘くし、その後、「SCOBY」と呼ばれるゼリー状のタネ菌を加えて発酵させます。
でも、紅茶は発酵させずとも健康への効果があります。紅茶の葉にはポリフェノールだけでなく、ビタミンCやビタミンB2などの抗酸化成分が多く含まれていると研究では示されています。
07. テンペ
テンペは大豆を発酵させたもので、ビフィズス菌や、ラクトバチルス・ラモノサス株を含むと、2018年の『Food Bioscience』の論文では示しています。約90グラムでカリウム346ミリグラムとタンパク質17グラムも含んでいます。これはギリシャヨーグルト約200グラムと同じ量です。
テンペは肉の代替として使われるので、炒め物やサラダなどでタンパク質源として使ってみてください。
08. キムチ
キムチはキャベツ、唐辛子、ニンニクと大根で作られていてラコトコカスキンやステポトコカス菌を含んでいます。研究によるとベータカロテンやビタミンC、食物繊維などの栄養素も豊富です。食物繊維は1カップはで約2.4グラム含んでいます。
キムチは副菜としてもおすすめですが、ホットドッグやサンドイッチ、ラーメンなどに加えてもよいでしょう。
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訳/Noriko Yanagisawa