麦茶といえば、日本の夏の風物詩。汗をかいたアルミ製やかんにたっぷりの冷たい麦茶を想像すると、それだけで蒸し暑さもどこかに吹き飛んでいくような心地になります。そんな夏の定番ドリンクの麦茶、実はおいしいだけじゃないってこと、ご存じですか? 今、改めて注目が集まる麦茶の魅力に迫ります!

古くから日本人に親しまれる麦茶

すっきり香ばしく、さわやかな麦茶は、暑い夏にぴったり。水代わりにゴクゴク飲みたくなりますね。1日分をたっぷり作り置きして、冷蔵庫に冷やしているかたも多いのではないでしょうか。

300年以上前から親しまれているという麦茶は、日本人の「暑さ対策飲料」の定番でした。江戸時代に出版された『本朝食鑑』では、「気分を穏やかにし、血を涼にする」と書かれています。当時は、「麦湯」といって、熱い麦茶が定番。「麦湯店」という、今でいうところのカフェのようなお店が出て、人気を集めたんだとか。冷やして飲むようになったのは、冷蔵庫が普及しはじめた昭和30年代から。時代を超えて、ずっと私たちの暮らしに根づいてきたことがわかります。

麦茶はノンカロリー、ノンカフェイン

ノンカロリー・ノンカフェインで飲みやすい麦茶は、後味もすっきり。さらに汗で失われるカルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルを補給できるのも魅力です。

そのままでも少量のミネラルが入っている麦茶ですが、近年の酷暑の影響で、伊藤園や石垣食品から発売されている“ミネラル入り”の麦茶に注目が集まるようになりました。

麦茶をスポーツ時の水分補給に愛飲しているかたも。月1回以上の頻度で運動している人を対象に行った、「スポーツ時の水分補給に関する意識調査(20〜60代の男女を対象)」によると、スポーツドリンク(37.2%)、ミネラルウォーター(16%)に次いで、麦茶(11.8%)も3位にランクイン。

血液サラサラ、持久力アップにも期待

河村循環器病クリニックの河村剛史院長は、医学的な見地からスポーツ時の“ミネラル入り”麦茶の飲用をすすめています。

「ランニングやウォーキングなど、健康を目的にスポーツを楽しむときに注意したいのが、水分補給時の糖分の過剰摂取。急性の糖尿病に似た症状、いわゆるペットボトル症候群になる危険性があるためです」

健康増進のためのスポーツ時はもちろん、アスリートのコンディション飲料としても優秀だそう。

「“ミネラル入り”麦茶がもつ血流改善効果によって血液がサラサラに、筋肉への血流量・酸素輸送量が増えることで、持久性運動能力の向上が期待できます。また、血圧の上昇を抑えるため、ムダなエネルギーを消費せずにすむのもアスリートにとってはメリット。アスリートには、日常的に体調を整えるための『コンディショニング飲料』として、“ミネラル入り”麦茶を継続飲用するのをおすすめしています」

実際、大学駅伝の強豪、東洋大学陸上競技部の駅伝チームは、選手の体調を整えるために、日常的に“ミネラル入り”麦茶をとり入れているそう。チームを率いる酒井俊幸監督は、こう語ります。

「日常生活でのコンディションづくりがレースの結果を大きく左右します。“ミネラル入り”麦茶は、ミネラルが補給ができ、ノンカロリー・ノンカフェイン。安心して選手にすすめられます」

室内でも要注意! 熱中症対策にも

マグネシウムを含む“ミネラル入り”麦茶は、熱中症予防にもすぐれた効果を発揮することが知られ始めています。ノザキクリニック院長の野崎 豊先生は、屋外での活動時だけでなく、夜間や睡眠中の熱中症にも警鐘を鳴らします。

「体内で発生した熱は、血流によって皮膚に集まって体外に放出されます。これにより、体温を一定に保つことができるわけです。ところが、水分やミネラル不足により血液がドロドロになると、皮膚に血液が集められず、熱を放出できなくなってしまいますこれが熱中症の原因です。体温調節機能が未発達な乳幼児、体温調節や発汗機能が低下しているお年寄りは、とくに注意が必要。室内や睡眠中でも、熱中症にかかってしまうこともあります」

野崎先生が注目するのは、“ミネラル入り”麦茶が持つ血液サラサラ効果です。

「我々の研究により、“ミネラル入り”麦茶が持つ血流改善効果が、熱中症予防や血栓対策に一定の効果がありそうだということがわかってきました。刺激物であるカフェインも含まないため、子どもから高齢者、妊婦にも安心です」

ジメジメした日本の夏では、気づかないうちにじっとり汗をかいて、脱水ぎみになってしまうリスクも。日中はこまめに麦茶を飲む「点滴飲み」を心がけ、ミネラルと水分を補給しましょう。睡眠時の熱中症対策には、就寝前と起床時の飲用が効果的です。

スポーツのおともに、熱中症対策や夏の健康リスク対策に、おいしくさわやかな麦茶がこの夏も大活躍しそうな予感です!

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