これは大げさにいっているだけでしょうか?
ところがアメリカ科学振興協会(AAAS)が運営するニュースサイトに掲載された、ある研究の公式な報道発表も「1日に1分走ると、女性では骨の健康改善に関連」と、ほぼ同じタイトルが!
研究論文のタイトルはもうちょっとわかりにくいのですが、全体的には意外にも同じような内容。これはきちんとした研究結果ですから、研究で何がわかったのか、そしてどうしてなのかを探ってみる価値がありそうです。
1秒ごとの動きから骨への影響を調べる
イギリスのエクセター大学とレスター大学の研究者によるその研究は、疫学の専門誌、『インターナショナル・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー』誌で報告されました。「UKバイオバンク」というプロジェクトの膨大なデータから、身体活動をモニタリングした結果と骨の健康に関する情報のいずれも調べることができた10万人のデータを利用したものです。このプロジェクトは、さまざまな研究に役立てる目的で、イギリス全土から50万人(40〜69歳)の参加者を募って健康状態などのデータを収集・追跡しています。
このうち閉経前と閉経後の健康な女性を対象として「身体活動量計」という装置を手首につけてもらって測定した身体活動のパターンを分析して、骨の健康度が予測できるかどうかを調べました。
もちろん、同じような疑問を調べた研究は以前にもたくさんあります。意外なことに、激しい運動の量と骨の強さが関連しなかった結果も。その理由のひとつとして考えられるのは、大部分の活動量計が出すデータは比較的長い時間、一般的には15〜60秒の平均値なので、いちばん激しい動きが「慣らされて」しまうこと。心臓と血管の健康を調べる研究では、心拍数の上昇が続くかどうかが問題になりますから、平均値のデータは適しています。でも、骨の健康では、強度の高い短い動きが骨のリモデリング(生まれかわり)を刺激すると考えられています。ですから、今回の研究では1秒ごとの最大加速データを測定しました。
この場合の「加速データ」とは、その瞬間にどれくらいの速さで動いたか(どれくらいの加速度だったか)です。このデータを調べることで、身体が受ける力(衝撃)がわかります。テストによると、この設定では、1.6 kmを12分で走るスピードだと重力のおよそ75%に相当する衝撃があり、9分36秒のスピードだと重力とほぼ同じ衝撃を受けることに。研究では、「3D(上下・左右・前後)活動量計」を1週間装着してもらったデータから、この2つの基準を上回る衝撃があった長さ(合計秒数)を計算しました。
強い衝撃を身体に受けた女性では骨が健康に
そこで、冒頭の見出しとなるわけです。重力とほぼ同じレベル以上の衝撃が少なくとも1日に1分あった閉経前の女性は、骨密度や骨の健康に関するほかの尺度が統計的に確かによくなりました。少なくとも2分あった人は、さらに大きく改善。
閉経後の女性では、重力の75%という低い方のレベルでも同じ改善が見られました。つまり、大まかに言って、年配の女性はジョギングするだけで、若い女性がもっと速いランニングで得られるのと同じ効果が得られるということに。
それは歳をとるにつれて身体の力学が変化して、一歩ごとにより激しい衝撃が得られるせいかもしれません。あるいは、歳と共に骨が弱くなるので、強くするために必要な刺激が少なくて済むのかも。この2つの理由を裏付ける証拠はそれぞれ少しずつありますが、どちらも決定的ではありません。
骨を強くする刺激を与える3つの基本的な方法
今回の発見は大きな驚きなのかというと、そうでもないのです。骨を強くするために刺激を与えるには、3つの基本的なやり方が知られていて、ひとつは、単に立っている時間を増やして、ウェイトトレーニングをするというもの。この方法は骨を強くする上で特に効果があるとはもう見なされていませんが、よく歩く人は骨が強いという証拠があります。
もうひとつはレジスタンス・トレーニング。筋肉を強くすると骨にかかる張力が増えて、骨が強くなります。
そして3つ目の方法が衝撃を与えるという方法で、いちばん強力な刺激になるようです。1日数回、できるだけ高くジャンプするだけで、骨に強力な効果が。実際的には、40〜100回の衝撃のどこかで、骨に与える影響が最大になると考えられていて、多くジャンプするほどよいということではありません。研究によると、未成年ではジャンプ10回を1日3回、成人男性ではジャンプ10回を1セットとして週に3回といった簡単な運動で、よい効果が得られるそう。
この研究では活動量計のデータを秒ごとに詳しく分析したため、必ずしもジャンプに限った運動をする必要はなく、ランニングでも十分に強い衝撃が得られると確認されました。これは、例えばサイクリストよりランナーの方が、骨密度が高い理由のひとつでしょう。
もちろん、今回の結果は、毎日1分だけ走ればよいという意味ではありません。ランニングにはほかの効果がたくさんあります。でも、速く走ると衝撃が大きくなるのですから、週に数回、いつものランニングに短時間の疾走を含めるとよいかもしれません。
話がうますぎる見出しでしたが、おおむね本当とわかりました。1、2分でも十分に違いが生まれるようです。
Alex Hutchinson For RunnersWorld.Com/Will 1 Minute Of Running A Day Really Strengthen Your Bones?
(ID:2294134)
"骨の強度"っていう一側面であって、間接への影響とかは考慮されてないデータですよねそれ。
"骨が強くなる"のと、"足に良い"ってのは別だと思うんだけど・・・何で一貫して同一視してるのかわからない。