染料や生薬として重宝された「紫草(ムラサキ)」
紫草の花現在、絶滅危惧種に登録されている「紫草(ムラサキ)」は、琵琶湖の東に位置する滋賀県東近江市の花に指定されており、万葉の時代からこの地域で栽培されている植物です。額田王が詠んだ和歌「あかねさす 紫野行き 標野行き 野守りは見ずや 君が袖ふる」に登場するあの紫です。
根の部分である「紫根」が紫色をしていることから「紫草」と名づけられています。古くから「冠位十二階最高位」の「濃紫(こきむらさき)」の染料として使われ、高貴な染物であるほか、ラテン語で「ボラギノール」と呼ばれ、やけどや傷薬の特効薬として使われる漢方薬でもあります。
紫根紫根には、抗炎・抗菌・解毒・解熱作用があり、紫根エキスには、皮膚の再生に働きかけ、肌をなめらかにし、血行をよくしてシミの改善や美白にもつながる効果が期待できるそう。さまざまな肌トラブルから守ってくれる、お守りのような植物と言えそうです。
そんな「ニホンムラサキ」の原種は絶滅の危機にあります。50年前から市民活動として残す運動をし、その一環で誕生したのが「MURASAKI no ORGANIC」。耕作放棄地を活用することで、限りなくワイルドクラフトオーガニックを実現しています。
すべての工程を地場産業として手掛けたスキンケアシリーズ
<左から>ムラサキノ フェイスウォッシュ / 2,970円(税込),ムラサキ トナー / 3,780円(税込),ムラサキノ セラム / 4,050円(税込),ムラサキノ オイル / 4,860円(税込),ムラサキノ ハンドクリーム 2,970円(税込)※ハンドクリームのみ6月中旬発売紫草を栽培することから、すべての工程を地元で手がけ、手間暇がかかっているのですが、長く愛用してもらえるようにと、オーガニックコスメとしては価格がぐっと抑えられています。地場産業として、絶滅危惧種を育てながら、地元の人もハッピーになる素敵な試みですね。
ラインナップは化粧水、乳液、美容液、洗顔とハンドクリームの5アイテムとシンプル。ニキビなどのトラブル肌も、紫根の抗炎作用でターンオーバーをサポートし、なめらかな肌に導きます。これからの季節に気になる日焼けによるシミ・そばかすなどもターンオーバーがスムーズに行われることで明るい印象へと導いてくれます。
紫根自体は、もっとあかね色ですが、抽出するとほんのりピンク色に。すてきな色に惹かれ、発表会で紫根の香りを試したら、「良薬口に苦し」ではありませんが、お薬らしい香りにちょっと驚きました。ただ、安心してください。スキンケアにはマンダリンオレンジやローズ油などが配合され、リラックスできる香りが広がります。美容液であるオイルも軽いテクスチャーで、暑くなるこれからの季節も使いやすく、洗顔後のつっぱり感もないのが乾燥肌の私としてもうれしい使い心地でした。
「紫草」は、その美しさから“美しい”や“高貴なもの”の枕詞として和歌で使われてきました。「紫草」のように「女性の美しさの枕詞になってほしい」との想いから生まれた「MURASAKI no ORGANIC」。万葉の時代から受け継がれた植物のパワーをいただいて、しっかりケアしようと思います。