もちろん、すべて嘘とは言いません。飲み水にレモンジュースを加えると、確かに健康によい効果も。第一に、レモンジュースは抗酸化成分のビタミンCが豊富。レモン1個のジュースで、1日に必要なビタミンCの30%以上が取れます。
「レモンジュースのいちばんよいところは、抗酸化成分です」と、アメリカの有名な総合病院、クリーブランド・クリニックの「ウエルネス研究所」で栄養関連のマネージャーを務める管理栄養士のクリスティン・カークパトリックさん。
「ビタミンCの含有量が多いので、免疫力を高め、鉄の吸収をよくするほか、一部のがんのリスクを下げるためにも役立ちます」。2015年に行われた研究によると、レモンジュースはウイルス性胃腸炎の予防にも効果があるそう。
第二に、ただの水よりレモン水の方がよく飲めるのであれば、十分に水分を補給する結果になって、活力がある、消化器系の調子がよいという効果が期待できます。
さらに、シカゴを拠点に活動する管理栄養士のマギー・ミハルチクさんによると、「普通の水に飽きたら、レモン水のかすかな甘酸っぱさが爽やかに感じられて、味蕾(舌などにある味を感じる小さな器官)を目覚めさせてくれます」
でも、レモン水をめぐるもっと突飛な主張となると......そんなに期待しないで。信じない方がよい5つの迷信を次にご紹介します。
迷信1:減量に役立つ
レモンには、リンゴにも含まれていて満腹感をもたらす「ペクチン」という食物繊維が含まれているので、レモンジュースを飲めば満腹感が感じられて、減量に役立つという主張があります。でも、レモンを絞ったジュースには、(入っているとしても)ごくわずかのペクチンしか残っていません。
「一般的に言って、食物繊維には消化をゆっくりにする、消化プロセス全体を助けるという重要な作用がありますが、残念ながら、レモンの絞り汁にはまったく含まれていません」(ミハルチクさん)。
食物繊維の効果を期待するなら、オーツ麦や豆類などの食物繊維たっぷりの食品を食事に加えて、お腹を一杯にする方がよさそう。でも、ソーダのような加糖飲料の代わりにレモンジュースを飲むなど、減量のための「代用品」としては利用できます(「特効薬」としてではなく)。
「カロリーは低いので、減量するための全体的なカロリー制限には使えるかもしれませんが、効果はそれだけです」と、アメリカの大きな総合病院、メイヨー・クリニックが提供している健康プログラムで栄養士を務める、管理栄養士のジェイソン・エウォルトさん。それでも、エウォルトさんによると、動物実験ではレモンの成分が減量に役立つかもしれないという結果が確かに出ているそう。ただし、レモン水が人間や体重にどのように作用するのかを知るには、まだまだ研究が必要とのこと。
迷信2:病気を予防する
この理論は、酸性のレモンジュースが体内でアルカリ性の物質に変わるという事実を根拠にしています。でも、ほとんどの専門家が同意しているように、食べ物のpH(酸性度)は健康に影響しませんし、関節炎やがんなどの病気にもつながりません(そう主張する食事法もありますが)。逆に、レモンジュースで酸を取りすぎると、歯によくないかも。
「レモンジュースのような強い酸が絶え間なく歯に接触していると、エナメル質が侵食されます」と、カリフォルニア州サン・ルイス・オビスポの管理栄養士、リビー・パーカーさん。そして、「レモンジュースを飲んだ直後は、歯をブラッシングしないように気をつけて。普通の水で口の中をさっとすすいでからに」。
レモンジュースのような酸性のものが接触した直後に歯をブラッシングすると、エナメル質がさらに侵食されて、虫歯になりやすくなります。歯を健康に保ちたければ、レモンジュースはほどほどに楽しんで。
迷信3:デトックス効果がある
レモンジュースを飲むと、体内の毒素が浄化されて病気が一掃されると信じている人もいますが、それは研究で裏付けられていない主張。カークパトリックさんによると、「有名な説のようですが、ほかの食べ物にも含まれているビタミンCを多く含むこと以外、レモンジュースが普通の水よりも毒素を浄化するという科学的証拠はありません」。
実際のところ、デトックスダイエットやリキッドクレンズ製品がどれほど宣伝しようと、ことさら身体を「浄化」する必要はありません。「身体に必要なデトックスは、腎臓と肝臓がすべてやってくれます」(ミハルチクさん)。
迷信4:代謝をスピードアップする
朝レモン水を一杯飲むと、一日中、新陳代謝がよくなるという人もいます。本当によさそうですか? でも残念ながら専門家は同意していません。
「そのような関連性は聞いたことがありませんね。カイエンペッパーのような一部の食品は、熱を作り出す作用を通じて新陳代謝を一時的にスピードアップしますが、レモンが同じことをするという研究結果は目にしていません」(カークパトリックさん)
でも、レモンを入れた方が普通の水よりたくさん飲めるなら、量による効果はあるかもしれません。ミハルチクさんによると、「飲むと役に立ちます。でもそれは、中に入れたレモンではなく、水の作用による効果。新陳代謝の機能を維持するには水が必要なのです。新陳代謝を効率的かつよくはたらく“カロリー燃焼機械”と見なした場合、水は燃焼に使われるガスになります」
迷信5:奇跡のようなアンチエイジング効果
レモンジュースは抗酸化成分が多いかもしれませんが、若返らせてはくれません。
「確かにレモンジュースには、コラーゲン(皮膚を支えてシワができないようにしているたんぱく質)の生成を助けて皮膚の健康に作用するビタミンCがわりあい豊富に含まれます。でも、ビタミンCを十分に取りたければ、ほかにも多くの食品があります」とエウォルトさん。
皮膚の健康のためには、果物、野菜、ターキーのような脂身の少ない肉や鮭、それに種子(すべて、コラーゲンの生成と保持を助ける栄養素を含みます)が入ったバランスのよい食事を取る方がよさそう。
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