「40代に入ると、たくさんの心臓病のリスク要因が浮上しはじめます。高血圧や、高コレステロール、肥満、糖尿病などのリスクです(いずれも心臓病を引き起こす原因)。すべて一緒にあらわれはじめます」と、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院心血管センターの国際心臓血管プログラム、エグゼクティブ・ディレクターのディーパク・バットさん。
「まだ若いなら、心臓の健康を保つためにはまだまだ遅くはありません。もっとも悪い習慣のボロが出てくる40代、50代、60代であってもまだ間に合います」とバットさん。ここでは心臓を健康に保っておくために変えておきたい6つの対処法をご紹介します。
心臓を傷めるもの:体重が重すぎ
40歳になると、体重はゆっくりと、確実に増え、ウエストサイズも増えていきます。「これは、新陳代謝が遅くなっていることが原因。若い頃と同じことを続けるなら、体重が増加しはじめるかもしれません」とバットさん。
心臓を守ってくれるもの:毎日体重計に乗る習慣を
将来の体重の増加に驚かないためにも、今から毎日体重計に乗るようにします。「毎朝、朝食やシャワーの前に、裸で体重をチェック。体重を継続的に知ることができて、その変化を見比べられます」とバットさん。日によって変動はありますが(食事、水分補給、ホルモンなどに影響されるため)、何週間も増加し続けているなら、食事を調整することを考えます。
「目標は、理想体重±およそ7キロの範囲内におさめること」と、アイダホ家庭医学研修施設長のテッド・エパーリーさん(医学博士)。
心臓を傷めるもの:いつもおかわりしている
地中海食が心臓の健康によいことには多くのエビデンスが集まっています。栄養士からは25品目の食品を取ることがすすめられています。でも、なにを食べていようと、食べる量に気を付けることは大切。そうすることで体重の増加を避けることができます。「カロリーの低い食品は良い選択。繰り返しになりますが、40歳をすぎると新陳代謝が遅くなりはじめます。食べ過ぎは、徐々に重大な体重増加につながってくる可能性があるのです。ウエストサイズがそれほど増えていなくても、心臓の血管を詰まらせるリスクをもたらしているかも。おかわりは控えて、食べる量をほどほどにするのが心臓とウエストラインを守ってくれます」とバットさん。
心臓を守ってくれるもの:食べる量に気を付ける
経験則としては、次のように記憶しています。たんぱく質1回分の量は85グラム、手帳くらいの重さ。穀類の1回分の量は2分の1カップ、テニスボールくらいです。野菜は1カップ、野球のボールくらいです。脂肪については、バターなら小さじ1杯まで。オリーブオイルは大さじ1、ナッツバターなら大さじ2以下です。もし、食事の後も空腹感があるようなら、10分間待ちます。それでも空腹感が続いているなら、続きを食べる。ここで重要なのは、「確かに空腹だ」とわざわざ自分自身に伝えることです。余分に食べるのは、本当に空腹のときにだけに。食べ過ぎないようにして、果物や野菜など低カロリーのものを選ぶという姿勢を続けることが大切です。
心臓を傷めるもの:お誘いに「いいえ」のお返事
ときにはひとりでいることも大切かもしれませんが、いつも誘いを断っていては、思わぬ悪影響が及ぶことも。「心臓の健康にとって友人は大切。年を取るにつれて、社会的に孤立することが心臓に深刻な影響を与えるのです」と、メリーランド大学医学部心臓血管医学教授のマイケル・ミラーさん。2016年に『ハート』誌に発表された研究によると、孤独や社会的な孤立が、喫煙と同じくらい悪影響を及ぼすことがわかりました。冠動脈性の心疾患や脳卒中のリスクになります。社会的関係の欠如は心臓病のリスクを29%増加させるということ。専門家は友達や家族と過ごすことがなぜ健康によいのかを調べているところですが、論文の著者らはストレスの抑制につながることで、心臓の健康によい影響を与えるのではないかと説明しています。
心臓を守ってくれるもの:友情を保つ努力を
「男性は特に、40歳代になると友人と疎遠になりがち。そうならないように注意が必要。存在を確かめ合える人が近くにいるといいですね」とステインさんも言います。
心臓を傷めるもの:ジムで自分を追い込みすぎている
「理想的には週に3~4回、1回40~45分の運動を」と、ニューヨーク大学ランゴンヘルスの医学部教授、リチャード・ステインさん。というのは、あまりに強い運動ばかりしていると、やりすぎになっている可能性もあるということ。「過激な運動が多いと、年を取ってから心臓を痛めるかもしれないという研究もあります」とミラーさん。
心臓を守ってくれるもの:自分自身の限界を知ること
「起きてすぐにマラソンは控えます。20歳のときは、できた可能性があっても、40歳をすぎたらウォームアップとクールダウンに5~10分はかけること。年を取ると、体は寒い屋外に置きっぱなしの車と同じよう。エンジンをあたためるのに時間がいるのです」と、ミラーさん。激しい運動をする前には、まず歩いて、身体をよくストレッチするようにします。
心臓を傷めるもの:リラックスする時間を取れていない
ストレスを逃れる術はありません。「ストレスは生活の一部なのですが、ストレスにどのように反応するかで大きな違いが出てきます」とバットさん。ほかの心臓の専門家もここは共通。「ストレスは良くないものなのですが、ストレスになす術なく、ストレスをコントロールできないことこそが、長期的には有害に」とステインさん。
心臓を守ってくれるもの:瞑想
「ストレスに立ち向かうのに、瞑想が役に立ちます」とバットさんとステインさん。「スピリチュアルなものでもそうでなくても、瞑想は、ストレスに対して健康的に反応していくことができるようになります」とバットさん。
心臓を傷めるもの:喫煙
「禁煙するには、トライし続けること。統計的に、禁煙に成功した人は、平均して7〜10回トライしています」とステインさん。喫煙は心臓にとっては最悪。「禁煙は早ければ早いほどよいものです」(ステインさん)。
心臓を守ってくれるもの:とにかくすぐに禁煙
医師と相談して、自分の必要や個性に合わせた対応を。行動療法、ニコチン置換療法、投薬、あるいはそうした治療の組合せなど、最も自分に適した戦略を立てます。
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