ストレスとの向き合い方で変わる
でも、ストレスもそれぞれ。英語で悪いストレスはディストレス(distress)と言いますが、ネガティブなストレスを抱えると、免疫力が低下して、健康を損なってしまうのです。普段の生活や生殖機能に影響も。テストの不安で頭の中が真っ白になっていたり、テニスのラリーでうんざりしたりしていれば、ディストレスに足を引っ張られてしまいます。
一方、英語でよいストレスはユーストレス(eustress)と言いますが、このタイプのストレスを受けると、むしろ気分が爽快になってきて、心も強くなり、生殖機能も向上。ストレスがポジティブでも、ネガティブでも、コントロールはできるもので、よいストレスと悪いストレスの違いは、状況をどのようにとらえるかだけ。ポジティブに受け取ることができれば、ストレスはエネルギーにつながり、いい仕事をできるようになり、行動的になれます。
ストレスを乗り越えて、目標に向かっているような人は、困難なプロジェクト、締め切り、リスクを楽しんでいるほど。緊張感さえ気にも止めず、飛び込んでいこうとするくらいです。
例:人前で話すことが怖いカレンさんの場合
とても強いストレスを抱える場面として、人前で話すことを考えてみます。人前に出ると、心臓がドキドキして手のひらに汗いっぱい。そんな人でもほん少しの工夫でストレスをポジティブなものに変えていけます。
カレンさんは、まさに人前で話すことが怖いとぽつり。皮肉にも、実際に話し出すとむしろ上手に話すことはできて、楽しく、思ったことを話せるのに。プレゼンテーションの数日から数週間前、当日のことを不安に感じて、パニック発作に陥ってしまうこともしょっちゅう。なのに、プレゼンテーションを始めて3分もたったら、もうOK。手のひらに汗をかくのは、はじめの2分までにすぎません。
ストレスをポジティブに受け止められたのは、次のように考えたからです。
プレゼンテーションの数日から数週間前、話すことをポジティブに考えるように心がけました。話を聞く人が自分を受け入れてくれて、話に共感してくれるところを想像するようにしたのです。 不安のとらえ方を転換。もともとはプレゼンテーションをすると、心臓の鼓動が速くなり、手のひらに汗をかいてしまっていたのです。ですが、不安感をありのままに受け入れると、むしろ不安から安心を感じるほどに一変。より緊張感を保ち、気持ちを高められたのだと考えられました。ストレスと抱え込むかどうかの違いは?
ストレスを抱え込んでしまうかどうかは、解釈の仕方次第。同じ出来事に遭遇したふたりがまったく異なる反応をするなら、それは心構えとその出来事の解釈の仕方によるものです。ストレスについての理解を深めて、どう反応するかを知って、前向きに対処できるようになれば、ストレスに負けなくなるのです。
ストレスに思い通りに反応できるようになると、もっと快適。ときどき手のひらに汗をかいたり、胃がきりきりしたりしても、病院に行くことはありません。もしストレスにいつまでも悩んでいるなら、どうしても健康のリスクに右往左往。たとえば、高血圧、心臓の動悸、不眠や風邪を繰り返しているとすれば、やはりいつまでもつづくストレスのせいなのでしょう。自己判断で薬を飲んだりたくさん食べたり飲んだりしてストレスを治そうとすれば、もっと危険な状態になることも。
ストレスをうまく力に変える方法とは?
ストレスをネガティブなものから、ポジティブなものに変える5つの方法をご紹介します。
1.不安を恐れない
むしろ不安を受容。困難な状況になって、心臓の鼓動が早くなるのを感じて、手のひらに汗をかき始めたら、不安は当たり前と受け止めて、心を安心させます。本当は大丈夫じゃなかったとしても、アドレナリンが出て、エネルギーや感情が高まるのを感じて、受け入れてください。
2.ポジティブな予測を維持する
プレゼンテーションやそのほかのパフォーマンスに取り組むときに、ポジティブなイメージを心に想像。見ている人も受け入れてくれて、ほめてくれる様子を思い浮かべます。常にそのようにポジティブな予想を持っておくことで、より大胆な自分でいられて、思い通りに過ごすことが可能に。下調べや準備は怠らないようにして、本番でうまくできるようにすること。普段から取り組むことで、課題も分かりますし、自信にもつながります。ポジティブな予測はなにも呪文ではなく、自分自身の能力に基づくものなのです。
3.自分自身に、ポジティブに言い聞かせる
やってみてほしいのは、自分に対して前向きに言い聞かせること。「大した問題じゃないから、私は対処できる」「それより面倒なことも乗り越えた」「何かを学んでいこう」「どんなふうに成長できるかな」と。何度もやっていると、前向きな考え方を身につけられます。
4.完璧主義はやめる
上手くやろうと完璧主義になりがち。完璧じゃないからといって失敗ではないのです。失敗を考えてばかりいると、新しいことに取り組むのも億劫になり、もったいない。
5.呼吸を味方にする
呼吸をすることで、ストレスは軽減。いつでもできますし、ゆっくり、胸いっぱいに呼吸をしますと、ストレスにうまく対処できて、気持ちもコントロールできます。
ジェフリー ・ ロスマンさんは、『マインド・ボディ・ムード・ソリューション』の著者で、マサチューセッツ州のキャニオンランチのディレクターです。
Jeffrey Rossman, PhD, for RodaleWellness.com/5 Ways To Make Stress Work For You