五感で「免疫」を知るアート展
たとえば、同じような状況の中で、風邪やインフルエンザにかかっている人と、そうでない人がいます。その違いは、カラダの中の最大の防御システムである免疫の力。つまり免疫力の差です。感染力のある細菌やウイルスを持っている人に接触しても、免疫力が高い人ならば風邪を撃退できるって、不思議ですよね。
そんな、知っているようで知らない。そして難しく感じられがちな免疫を、異なるジャンルのアーティスト5組、石井正信さん(イラストレーター)、清川進也氏さん(音楽作家)、DAISY BALLOONさん(バルーンアーティスト)、勅使河原一雅さん(映像作家)、吉田 愛さん(建築家)とコラボレーションし、五感で楽しめるように再構築したのが、『君と免疫。展』です。
(株)明治が「お客様の健やかな毎日をサポートしたい」という願いのもと、「免疫」のメカニズムを楽しく学ぶプロジェクト『Do Wonders(ドゥ―・ワンダーズ)』を始動。その第1弾として、この展覧会が開催されることになりました。
それぞれの世界観を通して免疫にふれる
なかでも興味深いのが勅使河原さんが手掛けた、体内に入り込む不思議な映像作品『混沌の王国』。文字にするとドキッとします。
「免疫世界での自己・非自己における『境界』と、私が今まで見つめてきた『境界』とを、重ね合わせてみようと思う。」(勅使河原さん)
人の世界の境界と免疫世界での境界は、どのように重なるのでしょうか。
DAISY BALLOONさんは、インスタジェニックなバルーン作品『bridge』を発表。2つの異なる免疫防衛ラインを往来する樹状細胞の「架け橋」のような活動に着目したとか。
「進化の本質とは、もともとも自分たちが所有しているものを活かしながら、新たなものを取り込み、再構築していくことでひとつの貢献をおこなっていく、そういうものだと私たちは信じています」(DAISY BALLOONさん)
他者との本質的な融合に目を向け続けるDAISY BALLOONらしい眼差しによって生み出された世界観に注目です。
音楽作家の清川さんは免疫を表現するために、もっとも原子に近い楽器として、自然物を加工して生まれた木琴を選びました。
「木琴という原始的な打楽器を用い、免疫という人の根本に、エネルギーを届けられないだろうか。」そう考え、また人の免疫を活性するという明るいメロディーとして、エルガーの「威風堂々」をセレクト。木々を打ち奏でる原始的なその音を、ぜひ体感したいです。
そして吉田さんが手掛けたのは、『無意識と意識が介在する庭』。
「普段意識の外側にあるけれど実は人間を活かしている自然という存在に気付くことのおもしろさを、例えばインテリアは建築の一部であり建築は都市の一部であるというようにミクロとマクロの視点を横断しながら物事を考えることで無意識に意識を向ける、そういった普段建築を通して考えていることに置き換えて表現したいと思った」(吉田さん)
無意識は人の目で意識されるとどうなるのでしょうか。
最後にご紹介するのは、この展覧会の告知グラフィックでもある石井さんの『幻想免疫図鑑』。免疫を「個別の意思」のある生物ととらえ、「肉体の内側に広大な世界が広がり生命が溢れている、奇妙な感覚。そこで躍動する生物たちのイメージを紙に落とし込んだ。」とか。緻密で繊細なタッチから湧き出る躍動感。見れば見るほどにドキドキする作品です。
この5組のアートを通じて、わたしたちの体のなかで今も守ってくれている、普段は見ることのできないそのメカニズムを紐解いていく。そんな前代未聞の免疫アート展で、人間にとって必要不可欠な「免疫」の世界に触れてみたいと思います。
「君と免疫。展」
会場:SO-CAL LINK GALLERY(表参道)
住所:東京都渋谷区神宮前4-9-8
交通:東京メトロ「表参道駅」徒歩3分
※駐車場のご用意がございませんので、公共交通機関をご利用ください。
会期:2018年2月24日(土)10時~19時、2月25日(日) 10時~17時
観覧料:無料
参加アーティスト: 石井正信、清川進也、勅使河原 一雅、DAISY BALLOON、吉田愛