痛みは我慢しないが基本です
お腹の張りや重苦しさを感じるくらいなら生理的なものですが、なかには寝込んだり、鎮痛剤を飲まないと日常生活に差し支える人もいます。生理は本来、それほど強い痛みはないものです。
もしも、毎月鎮痛剤を飲まないといけないような痛みや日常生活に差し支えるような痛みがあるなら、“月経困難症”という病気の可能性が高いです。ある時期から痛むようになってきたり、痛みがどんどんひどくなる人は、“子宮内膜症”や“子宮筋腫”“子宮腺筋症”などが原因の場合もあります。また、不規則な生活や冷え、慢性的な疲労、ストレスなどが原因という場合もあります。
鎮痛剤を飲むような生理痛が毎回あったら婦人科へ
月に4~5日、鎮痛剤を飲んで痛みが治まるのなら飲みましょう。痛みを我慢し、プロスタグランディンという痛み物質が体内にたくさん放出されてしまうと、痛みをこじらせ鎮痛剤も効きにくくなります。月に数日、規定量の鎮痛剤を飲む程度なら習慣性にはなりません。
既定量の鎮痛剤を飲んでも効かない人はもちろん、毎月、鎮痛剤を飲むような痛みのある人、痛みがひどくなっていっている人は、婦人科を受診しましょう。我慢していると、子宮内膜症や子宮筋腫がある場合は病気が進行してしまうこともあります。
婦人科では、月経困難症には低用量ピルなどのホルモン剤で治療します。低用量ピルは、子宮内膜を厚くするのを抑えて、生理の出血量を少なくして、生理時の子宮の収縮も少なくて済み、痛みも軽くなるのです。不妊症、子宮体がんを予防する効果もあります。
また、生理痛は、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」ほかの漢方薬が効く場合もあります。婦人科で相談してみるといいでしょう。
セルフケアならカイロや温湿布で温めて
おへその下と腰を使い捨てカイロや温湿布で温めます。また、ちょうどお尻の真ん中にある仙骨(背骨の一番下にある平らな骨)を温めるのもおすすめです。温湿布には、痛みを緩めるラベンダー、クラリセージのアロマオイルを1~2滴たらすのもいいですね。
甘いものは控えてハーブティーを
生理のときは疲れるので、つい甘いものに手が伸びてしまいます。でも、甘いものはビタミン、ミネラルを奪ってしまい、そのときは元気になった気がしても、あとで逆に体が疲れます。うしても食べたいときは、黒砂糖やドライフルーツにしてみては。プルーン、デーツ(なつめ)などがおすすめです。
痛みのあるときには、カフェインも避けたほうがいいので、コーヒー、紅茶、緑茶のかわりにハーブティーを飲みましょう。ハチミツを少したらせば、スイーツの代わりにもなります。フィーバーフュー、ラズベリーリーフ、カモミールなどがおすすめです。
お風呂へ入りましょう
生理痛のときは、体を温めて、血行を促進し、メンタルにもいいので湯船に入りましょう。生理時でも、清潔な一番湯に入れば問題ありません。体を温める入浴剤はおすすめです。好きな入浴剤やアロマオイル(精油)を入れて、胸から下をお湯に入れてゆっくり温まります。
冷えがひどければ、バスソルトをお風呂に入れてみるのもいいでしょう。生理痛も和らぎます。オールマイティに効くのは、ゼラニウムやラベンダーのアロマオイル(精油)。お風呂に1滴入れてみて。ほかには、サイプレス、ローズマリー、ジュニパーベリーのアロマオイルもいいですね。
増田美加(ますだ・みか)さん女性医療ジャーナリスト。 2000名以上の医師を取材。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/
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