自分の体をきちんと知ろう!をテーマに、増田美加(女性医療ジャーナリスト)さんによる連載「カラダケア戦略術」前回、MYLOHAS世代の冷えのぼせのチェック法とそのメカニズムについてご紹介しましたが、今回は、冷えのぼせの対策をご紹介します。自分が冷えのぼせかどうかはこちらの記事をチェックしてみてください。 冷えのぼせで、決してやってはいけないこと

冷えのぼせの人が、決してやってはいけない入浴法や温め方があります。かえって逆効果の対策をしないように、注意してください。また、冷えのぼせの人は、不眠がちのことが多いので、寝る前のリラックス法や漢方薬での改善法も紹介します。

長時間の入浴は危険!

冷えのぼせの人は、体の芯が温まる前にのぼせてしまう傾向があります。冷え症を解消しようとして、無理して湯船に長い間、つかると、のぼせてめまいを起こすこともあるので注意が必要です。冷えのぼせの人も、入浴は心と体をリラックスさせる作用があるので、もちろんNGではありません。上手に入りましょう。

お風呂は、ぬるめのお風呂につかるようにします。気持ちいいと感じるお湯の温度は、38~40℃くらい。肌に触れたときに、ホッとする温度です。ぬるいと感じたら、追い炊きで徐々に42℃くらいまで温度を上げていきます。最初から熱すぎるお湯は避けてください。

温める場所と冷やす場所に注意!

冷えのぼせの人は、頭部は熱く、手先足先は冷えていて、体の中で冷えとほてりが混在しています。ですから、ほてりを感じたときに冷やす部位と、冷え症を改善するために温める部位が異なるのです。

ほてりを感じたときに、一時的に冷やして熱を逃がすには、顔、頭部、わきの下など、を冷やします。
決して冷やしてはいけないのは、おなか、腰、お尻、足首です。ここは、常に冷やさないように温めるようにしてください。

ファッションは重ね着スタイルで

温度調節がいつでもできるように、脱ぎ着しやすい薄手のものを重ね着するのがおすすめです。
冷えのぼせの人がNGなのは、首のつまったトップス。のぼせたときに汗を逃がせなくなり、汗で体を冷やしてしまいます。熱を逃がしやすくするために、トップスは首の開いたものを。寒いときは、ストールなどで首元を覆って温度調整します。
冬の暖房のきいた室内では、汗をかきやすく、大汗をかくとそのあと冷えてしまいます。汗冷えしないよう、吸汗速乾インナーなどはおすすめです。

寝るときのソックスはNGです

もうひとつ、冷えのぼせの人は、足元をしっかり温めることが大切。ソックスやレギンス、レッグウォーマーなどを上手に使って、足元の冷えを防ぎます。ガードルなど締めつけの強い下着は、逆に血流が悪くなりますので、避けましょう。

寝るときに足が冷えるからといって、決して、ソックスを履いて寝てはいけません。足指と指の間に汗をかいて、それが下半身を冷やす原因になるのです。足指は出して、レッグウォーマーで足首を温めたり、5本指ソックスのように足指の間の汗を吸収するものを履いて、冷やさないようにすることが大切です。

効率のいい冷え解消ポイント

冷えのぼせの人のセルフケアで重要なことは、毛細血管まで血流をよくして、全身を温めることです。効率よく温めるポイントは、首のうしろ、おなか、お尻、足首です。
冬は特に、首のうしろを温めることで、副交感神経が優位になり、自律神経のバランスが整い、全身を効率よく温めることができます。
寝る前に、首のうしろを温めると、良質の睡眠にもつながります。蒸しタオルや市販の温熱製品で上手に温めましょう。

寝る前に副交感神経を優位にする技

交感神経の緊張をやわらげ、リラックスして眠りにつくために、眠る直前の5分間、腹式呼吸をするのも効果的です。
あお向けに寝て、おなかに軽く手をのせて、ゆったりとした腹式呼吸を10回ほど行いましょう。

また、寝る前には、リラックスできる環境を整えることが大切。自律神経のバランスを整えることにつながります。
好きな香りのアロマを焚く、肌触りのいい寝具やパジャマを選ぶなどもおすすめ。
夜寝る前は、パソコン、スマホを控えます。神経の興奮状態が続いてしまい、副交感神経が優位にならないと、冷えのぼせを改善しにくくなります。

漢方薬は、冷えのぼせ改善が得意技

西洋医学では、病名がつかない女性の不調は、漢方薬の得意分野です。特に冷え症や冷えのぼせは、体質に合わせた多くの処方があります。最初は、医師にあなたの「証」(体質・タイプ)を見極めてもらって、自分に合った漢方薬を処方してもらってください。

 冷えのぼせに、よく処方される漢方薬の例は...

「人参養栄湯」(にんじんようえいとう)
 体力の低下が著しく、疲れ、寝汗、手足の冷えがあって温めたい人に。

「温経湯」(うんけいとう)
 不眠、更年期障害、足腰の冷えがあって、月経不順やほてりもある人に。

「桂枝茯苓丸加薏苡仁」(けいしぶくりょうがんかよくにいん)
 比較的体力があって、ときどき下腹部痛、肩こり、頭重などがあり、のぼせと足冷えなどを感じる人に。

「補中益気湯」(ほちゅうえっきとう)
 消化機能が衰え、疲れと体力低下が著しく、多汗、食欲不振、夏やせなどがある人に。

「十全大補湯」(じゅうぜんたいほとう)
 体力が低下気味で疲れ、寝汗、手足の冷え、食欲不振などがある人に。

>>カラダ戦略術をもっと読みたい

増田美加(ますだ・みか)さん
女性医療ジャーナリスト。
2000名以上の医師を取材。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

image via Shutterstock

RSS情報:https://www.mylohas.net/2017/12/066550bodystrategy14.html