小さい胸は遺伝や体質のせいではない、と断言する南さん。豊かな巨乳は遺伝によるところが大きいけれど、小ぶりの胸を気にする方のほとんどは、お肉が胸から逃げてしまっているのだとか。諦めている人も、胸を今より大きく美しく見せるための方法があるのです。まず、胸が小さいわりに、二の腕が太かったり背中にお肉がついたりしている人は、まずブラジャーを正しく着けることから見直しましょう。
そしてもうひとつ大切なのが、姿勢。
「胸の土台となる胸郭(肋骨などからなり、心臓や肺、食道を守る部分)は、下がすぼまっているのが正しい形。でも、肩も首も前に落ちて、両方の肩甲骨が外側に開いて......となると胸部分の筋肉が衰えて下垂し、肋骨は横に広がってしまいます。女性でも骨格は逆三角形がベストなのですが、胸が小さいという方に限って胸郭が釣り鐘のように下が広がっているケースが少なくありません」
と南さん。逆に胸郭が裾すぼまりの形になれば、胸は上がるしウエストには自然とくびれが出現して大きく見せることができるそう。
「豊かな巨乳は作れないけれど、今より大きく上を向いたような美乳は作れます!」
とかねてから断言している南さん。
「美乳の条件とは、まずプルンと上向きであること。円錐型か半球型が理想的です。そしてもうひとつ、大切なのがバストトップの位置。鏡の前でひじを曲げてみてください。そのとき、肩とひじの中間にバストトップがくると美しく見えます」。
ブラなどをつけない自然な状態で、バストトップがこの高さにある人はとても珍しいのだそう。バストが小さいという人でも重力の影響で多かれ少なかれ下がっているので、きちんとしたケアが必要。まずはブラをつけたときにバストトップがその位置にくるよう、肩ひもの長さを調整してみて。
「美乳の決め手は、トップとアンダーに差があること。バストトップのサイズを気にするのはナンセンス!」(南さん)。
確かに、バストトップが90センチあっても、アンダーバストが80センチだったら「太った人」に見えてしまいます。
「バストトップのサイズが小さく感じられても、アンダーが細ければキレイに見えるんです。目安としては、トップとアンダーの差が15センチあること。さらに、ウエストがバストトップより25センチくらい細いと、"ボン・キュッ・ボン"の魅力的なボディ、いわゆる"くびれライン"になります」。
胸が垂れる原因は「姿勢」にあった若いほうが変化が早いのは確かだけれど、南さんの指導を受けて60代の女性でもメリハリボディに変化しているというからスゴイ。
「胸が下がる、肉が散って小さくなる最大の原因は姿勢。そして残念ながら、現代人の生活はパソコンを使ったりスマホを見たり、猫背になる要因に溢れていますよね。そういった生活習慣を続けていれば、20代だって胸が下垂します。肩コリを放置しない、重い荷物を持たない、パソコン姿勢を長時間続けない、猫背を正すといった積み重ねでバストアップできますよ」。
胸だけをいじっていても美乳にはなりません。上を向いた大きな胸を目指す秘訣は、胸郭を正す姿勢だったのですね。
「このお腹の肉がバストについてくれれば...」なんて言っている方も、下で紹介するエクササイズを実践して歪みから正せば大丈夫!
エクササイズSTEP1脚を肩幅に広げ、膝裏を伸ばす。片手で恥骨をひっこめてそのまま体に沿いながらお腹全体を引き上げたら、下腹部に手を添える。逆手で胸の上部を、まずは外側から内側へ5回肉を移動させるように流す。さらに、下から上へクルクル回転するように引き上げる。
エクササイズSTEP2
腕を肩まで上げ、指先を肩甲骨に下ろす。右手を下腹部から離し、左手のひじをつかみ強い力で5回持ち上げる。そのまま右手を下ろしてお腹に戻す。
エクササイズSTEP3
右手は下腹部に戻し、左手は指だけ肩先に触れながらひじを後ろに回す。腕を内側から外側に向けて回しながら、手をキツネの形にして終了。逆側もSTEP1〜3を同じように行う。
胸のサイズや形を崩す、生活習慣のNGとは
「土台となる胸の面が高く広く保たれていると見た目もキレイで大きく見えますし、美しい胸が育ちますよ」(南さん)。
ところが私たちの日常には、それを妨げるような生活習慣が山ほどあるのだそう。
「デスクワークのときにありがちなのが、首が前に落ちた猫背の姿勢。大切な胸の土台となる筋肉がつぶれてしまうので、"首をまっすぐ上に、長く保つ"よう意識しましょう。歩くときも前かがみにならないよう、"体の重心は後ろ側"を守ること。それから、電車などでの居眠り、デスクで突っ伏して寝るなどは論外! 居眠りしているときは筋肉が脱力するので、座り姿勢だと椎関節に負担がかかって全身のボディラインが崩れます」。
ダメおっぱいを育てているのは日々の自分のクセと心して!
美乳にはブラジャーの選び方が重要正しいブラで胸が変わるといっても、選び方がよくわからない......。そんな人のために、南さんにいいブラの基準を聞いたところ、
「まず大切なポイントは、前後が水平ではなく背中側が下がっているものを選ぶこと。また、アンダーバストのベルトは華奢で細いほうがかわいいのですが、バストを支えるなら太めのベルトを選ぶべき。補正下着は、バストの位置を記憶させてくれる役割があります」
とのこと。付け方にもちょっとした工夫が必要で、肩ひもを外側(肩の側)でつけると、前肩がなおりバストが上がり、首も長く美しく見えるんだそうです。
出産してボディラインが崩れても元に戻せる!「私も授乳のときよく飲ませていた側の胸だけが変形し、ものすごい左右差がありましたよ。しかも、授乳が終わったら胸はしぼんでしまい、お腹周りのお肉だけが残ってトドみたいな体型に」
と笑う南さん。ところがその後一念発起してケアした結果、バストは89センチ、ウエストは58センチという見事なラインを取り戻したそう。
「産後で大変な時期でも、カップ付きキャミは胸の肉が散るのでNG。正しい下着をつけること、そしてエクササイズすることで胸の形や大きさは驚くほど変わります」
お話を伺ったのは...南 雅子(みなみ・まさこ)さん
美容家。『整体エステGAIA』主宰。エスティシャンとして20年活躍後、整体、カイロの資格も取得し、美しさと健康を同時に叶えるオリジナルプログラムをスタート。自身も産後にそのテクニックでウエストはサイズダウン、バストはアップという奇跡を叶えた猛者。理論に裏打ちされ、確実に効果を出すメソッドが人気となり、バストアップからX脚、O脚矯正、くびれ作りなどを希望する顧客が殺到。『美おっぱい呼吸』(洋泉社刊)など著書多数。
取材・文 ⁄ 高見沢里子