高島市は琵琶湖北西に位置する市。百貨店「髙島屋」の創業者の出身地ということから「髙島屋」の名が付けられているのは市内では有名な話。そんな高島市は湧き水が豊富で、古くから発酵食文化が育まれてきました。高島市は年間を通じて湿度が高く、昔から発酵に適した風土と気候であったと言われています。市内には日本酒や醤油、味噌の醸造元があり、鮒鮨や漬物など、発酵の食の知恵が代々家庭で受け継がれていて、地域全体が「発酵のまち」となっているのです。
この地域では生活に欠かせない「秋葉の湧き水」。安曇川沿いの小さな集落にあり、みんな水を汲みにやってきます。
北欧のような水辺のグラデーション。奥にはその昔使われていた船の桟橋の跡が。
目を疑う美しさ! 満足しきれなくて何枚も写真を撮ってしまいます。
お世話になったお家でいただいたご飯は、地元で採れた野菜や琵琶鱒などを使った発酵の知恵が活かされたものばかり!
高島市ではお米も作っています。春先に水を張ったばかりの田んぼは絵のように美しい。(Photo Toshiaki Hirai)
高島市に住むフードコーディネーターさんが作った発酵料理の御節。(Photo Toshiaki Hirai)
集落での味噌作り。地域一体となって味噌作りをするところも少なくありません。(Photo Toshiaki Hirai)
高島市の針江区には湧き水が多く、地域住民は生水(しょうず)と呼び、昔から大切に利用してきたそう。集落の中を巡る水路や、湧き水を生活用水として利用した川端(かばた)と呼ばれるあまり聞きなれないシステムが各家にあります。ほとんどの川端は家の敷地内にあるため、琵琶湖周辺の豊かな自然や水辺の暮らしを見学できる「かばた見学ツアー」に参加してきました。
家と家の間を美しい水路がたくさん! たまに鯉が優雅に泳いでいることも。
これが川端! 各家庭の庭先にこういった小屋のようなものの中にあることが多い。形はそれぞれの家によって異なります。
湧き水を利用し、ここで野菜や果物を冷やしたり洗ったり。使用した食器を洗う場合は、残飯が泳いでいる鯉の餌になるそう。なんて素晴らしいシステム!
自然と共存するという生活が高島市にはありました。琵琶湖の恵みを活かした生活が根付いている高島市は食だけでなく水の文化、美しい景色、地域の人との触れ合いなどを求めて、今では日本中、海外より多くの人々が訪れています。
[高島の食と人]