安藤忠雄といえば、日本を代表する建築家の一人。独学で建築を学び、コンクリート打ち放しと光と影をあやつる設計を中心に既成概念を打ち破るような斬新な建築を次々と世に送り出してきました。
いまも日本だけでなく海外でも活躍し続けている建築界の巨匠。幼少期から長い年月を過ごした生家での厳しい住環境や、中学生時代に増築工事で天井をはがしたときに差し込んだ光が、普段見慣れた薄暗い室内を一変させたことに衝撃を受けた経験が、後の代表作へと色濃く反映されているそう。
長いアプローチ。水の音が小さく聞こえるけど、まだ水は見ることはできず。人々の期待感を高めます。
壁を越えると視界が開け、水面が目に飛び込んできます。すっきりとした佇まいが小さな美術館のようでもあります。
十字が四つ向かい合っているガラス張りの箱。この中を通って礼拝堂へ。
四つの十字の箱から円弧状の暗い階段を降りていくと、礼拝堂につながります。目の前に再び湖が広がり、十字架が現れる。「結婚式の最中に、迷い鹿が親子で湖に現れることもあるんですよ」とスタッフの方が教えてくれました。
「水の教会」は森に囲まれ、季節によって様々な表情を見ることができます。春から夏は緑に覆われ、冬は一面銀世界に。黒い十字の大きな一枚扉が開かれると、そこは大きな一つの絵のようにも見えます。静かに風に揺れる水面がとても美しく、水や風、鳥の鳴き声などを聞きながら、自然と交感することができるのです。視覚だけでなく、五感に訴えかけてくるものを感じます。教会なのにまるで美術館のよう。
黒の十字の大きな1枚の扉は、自動でゆっくりと左へスライドして開かれます。
扉が開くと解放感と美しさに言葉を失います。やさしく降り注ぐ光が水面に反射し、とてもきれい。
いままでもいくつか安藤忠雄建築を訪れていますが、共通しているのが「いつもドキドキさせられる」こと。見る人の感情をコントロールし、驚きと感動を引き出してくれます。じつは「水の教会」以外にも、安藤さんは「光の教会」と「風の教会」を作っています。教会三部作を全て訪れてみたいと思いました。
「水の教会」見学の詳細はこちらから
[水の教会]