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ちいさな命と、わたしの意識 【カヒミ カリィの The plate of my life 】

2017/06/28 21:00 投稿

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我が家に小さなカモのヒナ達がやってきました。学校のプロジェクトで、休日が重なった長い週末の間だけ、娘が世話をすることになったのです。
ペットがいたらいいけれどNYの家で飼うのはやっぱり難しいね、とよく話していたので、家族一同大喜びです!数日前からダンボール箱でケージを作ったり、カモの飼い方を調べたりして準備万端で可愛いお客さんを迎えました。理科の先生から「ピンポン玉程の量を一日5回あげてね」とエサを貰ったので、早速与えてみるとものすごい勢いで食べ始め、なんと30秒ほどでお皿はカラッポになってしまいました。そして「ピーピー、クワックワッ!(お腹がスイタヨ〜〜)」と大きな声で泣き続けるのです。ピンポン玉の量じゃ全然足りないんじゃない?という事になり、追加で与えてみるとやっと落ち着いたようです。

すると今度は、ケージに敷いたばかりの新聞紙があっという間に汚れているではありませんか。「お母さん、ちょっとこの子たちプープし過ぎじゃない?」と娘。実は同じクラスのママから噂は聞いていたのですが、5分置きくらいにフンをするのです。ヒナだからか臭いは大したことなくまだ良いのですが、きれいに掃除したケージがあっという間に汚れてしまうので掃除が大変。そして、やっとひと段落したと思ったら、なんとまたお腹が減った、と鳴き出すのです。一夜目はそんな感じで数時間おきにお世話をしたので、私と夫は寝不足になってしまいました。

生き物の子育ては皆んな一緒なんだなと、なんだかしみじみです。数ヶ月前に行った動物園のサルのお母さんも、グルグルと動き回る子供の尻尾を握ったまま、ボーッと遠い目をしていたし......。我が娘が生まれたばかりの頃、授乳やオムツ換えで朦朧としていた自分を思い出しました。

翌朝、皆んなで朝ごはんを終えると、娘が楽しみにしていたスイミングです。お風呂にぬるい水を張って入れてあげると、すごく嬉しそうに泳ぎだしました。まだ小さいのにとっても立派で潜ったりまでするのにはビックリです。その姿があまりに可愛いので眠気もすっかり忘れました!その日、NYの気温はすでに37度を超える暑さだったので、夫が子供用のプールを近所で買ってきて娘とヒナ達は一緒に水浴びする事にしました。

私は台所の窓から皆を見守りながらヒナ用のエサ作りです。学校で貰ってきたエサではどうにも足りなそうだったのでペットショップにも立ち寄ったのですが、NYの都会でカモを飼う人は少ないからかどこにも売っていませんでした。そこでインターネットで検索すると、
ロールド・オーツ、押し麦、ヘンプ・シード、かぼちゃの種やたんぽぽの葉などが良いのだそう。偶然にもどれも我が家の棚にある食材だったので、あと数日なら事足りそうだと思い、youtubeでファーマーがエサをブレンドしている映像などを参考にして作ってみる事にしたのです。裏庭で十分に遊んでますますお腹が空いたヒナ達は、美味しそうに私が作ったエサを食べてくれてホッとしました。茶色い子と黄色い子だったので、娘はそれぞれ『チョコチップとポップコーン』と名付けるとますます可愛くなったよう。ヒナ達も慣れてきて抱かれても嫌がらなくなったので、きっとわたしをママだと思っているんだよ!と満足げです。
ところで実はこのヒナ達が来る数日前にも、もっと小さなお客さんが訪れたのです。NYの郊外にあるアップステートという緑豊かなところに住んでいる友人家族が、野生のタンポポの葉っぱと自宅で育てている鶏の卵をお土産に持ってきてくれて、美味しいサラダと夢のように美味しい半熟卵を作ってくれたのですが、そのタンポポの葉っぱに着いていた"はらぺこあおむし"のような幼虫が、そのお客さんです。
数年前にこのブログでも紹介した事があるのですが、前に蝶を卵から育てた事があって素晴らしい経験になったので、娘と一緒に、その小さな幼虫を育ててみる事にしたのでした。

普段、公園などでそんな虫を見つけても特別なんとも思わないというか、気持ち悪いと思う人もきっと多いくらいだと思うのですが、不思議な事に飼育し出すと印象がガラリと変わって、ちょっとした動きさえ面白く感じ、可愛くさえ見えて来るのは不思議だと、毎回思います。飼育というより実験に近い気持ちで始めていたけれど、いつのまにか情が湧いて来るというか。

都会に住む私や娘にとって、それはとても貴重な体験になっています。今回、特に興味深かったのは、カモのヒナ達に名前を付けたあたりから、夫も娘もだんだん鶏肉を食べる気になれなくなってきたという事でした。私は以前、長い間ベジタリアンだったのと料理をする担当なので一番そんな気分になっていたのですが、意外にも肉好きな2人も同じように......。それで、その事を夫が友人達に話したのですが、すると興味深い話がザクザクと出てきました。

あるグルメな友人は、彼女が大好きなSean Brockさんというシェフのドキュメンタリーで知った、とても興味深い話をしてくれました。
そのドラマの中に特別なスペインの豚の子孫を育てている女性が出て来るのですが、この人の豚肉は全然格が違うのだそう。その人は絶対に名前をつけて育てないと、心のこもった世話ができないと言っているのです。食肉用に動物を育てている人たちは、大抵は名前をつけないで育てていますが、そうすると絶対に心のこもったお世話はできないと。また、食肉から死を切り離して接していたらその「生」に感謝できるわけがないとも言っています。

それから、また違う友人はいのちをいただく みいちゃんがお肉になる日』という絵本の話をしてくれました。熊本の食肉加工センターに勤めている方とその息子さん、そして食肉になる牛を育ててきた方とそのお孫さんのお話。やはり本当のお話で、とても興味深いのでよかったらチェックしてみてくださいね。

そして、アップステートに住んで知る友人家族も、やはりとても貴重な経験をしていて話をしてくれました。去年、自宅で企画した夏祭りの時に、ヒナから育てていた鶏2羽をしめて料理したのだそう。やはりヒナから育ててきた鶏だったので、とても複雑な思いに駆られて、ベジタリアンになるかなど色々と考えたけれど、今もベジタリアンにはなっていないという事。そしてその以前に、生きた豚を一匹しめて丸焼きにした経験もあるのだけど、その豚は飼っていたものではなかったせいか、鶏を絞めた時とは、気持ちが全然違った、と言っていました。私自身は育てていた動物だけでなくて、蚊などの虫くらいしか生き物を殺した事がないので全く想像がつきません......。

そんな事を考えていたら、あっという間に週末は終わり、チョコチップとポップコーンは無事、学校に戻っていきました。たった4日間ほどでしたが、写真を観ると成長が感じられて胸がいっぱいになります。そして大切に育てていた青虫は、新しく与えた葉っぱが合わなかったのか、残念なことに死んでしまったのです。普通なら、公園の片隅や道端で虫の死骸を見つけてもこんな気持ちには全くならないというのに、こうして小さな命に気持ちをフォーカスし観察しただけで、こんな風に心が揺れるなんて、自分自身驚いてしまいました。

先週、我が家にはそんな風にして、ちっちゃな命達が静かにドアをトントントンと叩くように訪れ、私達家族にとても特別な贈り物を置いて、またすぐに去っていったのでした。

そんな命について違う視点から意識をした事で、自分自身を意識し直すきっかけになった、とても貴重な一週間でした。

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