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女性ホルモンのバランスが崩れる原因と対処法

2017/06/28 07:00 投稿

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自分の体をきちんと知ろう!をテーマに、増田美加(女性医療ジャーナリスト)さんによる連載「カラダケア戦略術」。Vol.1では、女性ホルモンを整える方法をお届けしました。Vol.2では、女性ホルモンのバランスはどうして崩れるのか? 崩れたときの対処法をご紹介します。 驚くべきホルモンのフィードバック機能


エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)というふたつの女性ホルモンは、卵巣から分泌されています。その卵巣に「ホルモンを出して!」と指令を出しているのは、脳の視床下部というところです。脳の視床下部は、その下にある下垂体というところに命令を出します。すると下垂体は、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)という仲良しのふたつの性腺刺激ホルモンを分泌します。このふたつが卵巣に働いて、エストロゲンとプロゲステロンを分泌させているのです。

このホルモンの指令には、フィードバック機構があります。エストロゲンやプロゲステロンの分泌量を脳が見張っていて、卵巣からホルモンがあまり出ていないと、「もっと出すように!」と指令を出したり、たくさん出ていると、「少し控えるように!」と指令を出して、調整しているのです。すごいですよね!

ホルモンは、非常にデリケート


この女性ホルモンの分泌をコントロールしている脳の視床下部、下垂体では、人の体に大切な甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、成長ホルモンなどの内分泌系のホルモンもコントロールしています。この脳の視床下部、下垂体は、とってもデリケートです。脳にストレスが加わると、視床下部、下垂体の指令塔はたちまち狂い始めます。ホルモンタワーである大元が狂うと、女性ホルモンの分泌が狂い出します。それだけでなく、ほかの甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、成長ホルモンも連動して狂ってしまうのです。そうなると大変!

ホルモンは、血液中にほんの微量に存在するだけのものなのですが、全身にさまざまな変調が起こり、体だけでなく心にも肌にも、変調をもたらします。このように、ホルモンは非常にデリケートで微妙な調節をしつつ働いているのです。
ストレスが女性の体にいかによくないかがわかります。ちょっとしたストレスで、生理が遅れることを経験した人は多いと思いますが、それが女性ホルモンのバランスが乱れた証拠なのです。

プロゲステロンが急激に増える時期にゆらぎ不調が起こる!


女性ホルモンのバランスが乱れて、生理がずれても、すぐに回復すれば、心配することはありません。(*1) 気になる生理不順の目安は下記へ。
特に20代30代は、女性ホルモンの一生の波で言えば、絶好調の時期。生物学的にみても、妊娠、出産に向いていて、女性ホルモンは最高の分泌量。病気にかかりにくく、体力も気力も充実していて多少の無理もへっちゃら。でもいくら、絶好調の年代でも、女性ホルモンには、一生の波だけでなく、毎月の波もあります。それが、女性の体と心がゆらぎやすい理由です。ですから、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの毎月の波が一定になれば、体と心の"ゆらぎ不調"は、ほとんどなくなります

特に、女性がゆらぎ不調を起こしやすいのは、生理前1週間のPMS(月経前症候群)の時期。この時期に不調が多いのは、排卵後、プロゲステロンの分泌が急激に増え、エストロゲンとのバランスが崩れることが原因です。疲れる、だるい、イライラする、ニキビ、肌荒れ、乳房痛、むくみ、落ち込み、体重増加、頭痛、腹痛などなど......、一人ひとり異なる多種多様な不快症状が現れます。PMSに悩む女性はその数、生理のある時期の日本女性の70%にのぼるという数字が示されていて、その中でも6.5%の日本女性が社会生活に影響がある中程度以上の不調があり、治療対象になるとの報告があるくらいです。
では、女性ホルモンのバランスが乱れたらどうしたらよいでしょうか?

女性ホルモンのバランスを整える薬


この毎月の女性ホルモンの波を一定にするお薬があります。
それが、低用量ピルです。低用量ピルは避妊薬ですが、エストロゲンとプロゲステロンを一定にして排卵を止め(卵巣をお休みさせるので卵巣の病気予防にもいいのです!)、生理をコントロールすることができます。月経困難症の治療薬としても使われています。低用量ピルで生理前のPMSの不調の多くも改善できます。
低用量ピルは、女性ホルモンの波によって起こる、さまざまな女性の不快症状を改善できる便利なお薬です。妊娠したい時期が訪れたら、服用をやめればすぐに妊娠も可能です。
現在の低用量ピルは、ホルモン量が低めに抑えられているため、重篤な副作用はほとんどありません。飲み初めに、マイナートラブルとして、多少の吐き気、むくみ、不正出血、頭痛、乳房の張りを感じる人も中にはいますが、1~2ヵ月で消失します。低用量ピルで太ることもありません。

また、漢方薬も、女性ホルモンの波にともなって起こる不調対策は、得意分野です。疲れる、冷える、だるい、むくみ、イライラ、頭痛、ニキビなどにもよく効く漢方薬はさまざまあります。漢方薬は女性ホルモンの分泌は変えないので、毎月の女性ホルモンの波に上手に乗って、不調をうまく乗り越えたい人にはおすすめです。

低用量ピル、漢方薬いずれも、婦人科の先生に相談してみることをおすすめします。

セルフケアでもゆらぎ不調対策を


もちろん、セルフケアでも女性ホルモンの波によるゆらぎ不調に対処する方法はいろいろあります。当たり前のことですが、バランスの取れた食事、睡眠、適度な運動、そして、ストレスケアです。もしも、PMSの不調がいつもよりつらいと感じたら、それは女性ホルモンの乱れによるゆらぎ不調が起こっている可能性が大。すぐにできることとしては、リラックスして休んでストレスケアすること

30代半ばを過ぎると、最初のエイジングを感じる時期でもあります。更年期に向かって女性ホルモンが徐々に低下していくからです。ほうれい線が気になる、シミ、たるみが気になる、むくみやすい、冷える、疲れる、だるい、イライラする、気分が落ち込みやすい、不眠、体重が増えやすい......などなど、心と体、肌の症状がさらに気になり始めます。だからこそ、女性ホルモンのバランスが大事。ゆらぎ不調を上手に改善することがエイジングケアにもつながります!


(*1)気になる生理不順の目安は?
正常な生理周期は、25日~38日。先月と生理周期がずれても、6日以内なら正常ですから、「生理が遅れた」「早まった」といってもこの範囲なら心配することはありません。生理期間も、6日以内なら正常です。
ここから多少ずれる程度なら心配ありませんが、生理が1ヵ月に2回ある、2ヵ月以上こない、経血量がいつもと違って極端に多かったり少なかったりする、いつまでもダラダラ続く、などがあったら婦人科を受診する目安。卵巣や子宮の病気が隠れているかもしれません。

Photo by Getty Images

増田美加(ますだ・みか)さん
女性医療ジャーナリスト。
2000名以上の医師を取材。予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ http://office-mikamasuda.com/

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