A1.基本的にはクレンジングがマストです
メイクには油分が含まれるので、きちんと乳化させる必要があります。そのためにも、基本的にはクレンジングすべき。「特に夏場は下地もファンデーションもお粉も崩れにくい処方になっていますから、洗顔料では落ちにくいことが。オイルでもジェルでもクリームでもいいのですが、メイク汚れを落とすためのクレンジングは使うほうがベターです」(慶田先生)
ただ、最近のミネラルコスメなど「洗顔料だけで落ちる」というタイプのメイクはクレンジング不要なことも。また、石けんで落とせる日焼け止めにお粉を重ねただけ、というような日は洗顔料でもOK。どんなメイクをしたのかに合わせて、クレンジングを使うか判断しましょう。
Q2.濡れた手でクレンジングってダメ?A2.乳化しなくなるので基本的にはNG
お風呂場でさっとメイクを落としたいけれど、そういえば「濡れた手でクレンジングはダメ」という噂も......。慶田先生によれば「クレンジングは、メイク汚れ(油分)をクレンジング剤(油分)に溶かし出し、それを乳化させて落とす仕組みです。ですから、始めから手が濡れていると乳化しにくくなり、汚れ落ちが悪くなります」。濡れた手でもOKという製品は違う仕組みなのでお風呂場で使っても大丈夫だけれど、基本的には乾いた手で使うのがおすすめだそう。無精せず、洗面所などでメイクをクルクルしてからお風呂場へ!
A3.何を選ぶかより、泡のクオリティにこだわって
「石けんが肌に優しいと思っている方も多いのですが、昔ながらの石けんは肌がアルカリ性に傾きます。肌は本来弱酸性ですから、石けんはマイルドというわけではないんです。それよりは、洗浄成分がアミノ酸系だったり、肌への負担が減る保湿剤入りのもののほうが肌に優しいですね」(慶田先生)。
そして、どんな洗顔料を選ぶかもさることながら"泡立て"にこだわるべきなのだとか。「泡立てれば洗顔料は100倍にも膨れ、肌に触れる量が少なくてすみます。たっぷりの泡なら肌をこすって傷める心配も減ります」。泡立てが苦手な方はフォームで出てくるポンプを選んだり、泡立てネットを使うなど便利アイテムを活用して。
Q4.きちんと洗えていない人が多いって本当?
A4.本当です。「正しく洗う」って案外難しいもの
皮膚科では、診察の前にメイクをすべて落とし、素肌になることが多いもの。そのとき「チェックのためにダーマスコープ(肌の拡大鏡)で見ると、メイク汚れが残っている方が案外多いんですよ」と慶田先生。頬や額など広い面だけをクルクルしていて、目もと、口もと、生え際に汚れが残っているケース。あるいは、クレンジングを伸ばしたらすぐすすいでいるため、汚れがクレンジングとなじんでいないケース。はたまた、メイクを落とそうとグイグイこすって肌に負担をかけているなんてパターンも要注意です。
「洗い残しがある方が3〜4割、逆に洗いすぎで必要な潤いを肌に残せていない人が1〜2割くらいでしょうか。メイクは油性ですから、肌に残ると酸化して負担となりますし、それが刺激となって毛穴が詰まり、ニキビになることも。いろいろな見解がある中で一概に何が正しいとは言い切れませんが、理想の洗顔方法としては優しい圧で顔のすみずみまでクレンジングをゆきわたらせ、軽くクルクルしてなじませてから20回くらい丁寧にすすいで」(慶田先生)
Q5.「朝は洗顔しないほうがいい」って本当?A5. 朝も洗顔するほうが潤いがアップします
洗いすぎは肌によくないからと「朝は洗わない」「ぬるま湯ですすぐだけ」「化粧水でふきとり」なんて人もいるけれど......。慶田先生いわく、「基本的には朝も洗顔をおすすめします。というのも、夜に塗った化粧品も時間が経てば酸化します。乾燥が気になる肌ならぬるま湯ですすぐだけでもいいですが、皮脂をきちんと分泌している肌なら洗顔料を使ってOKです」。
驚くべきことに、洗顔をしたほうが肌の水分量は上がるのだとか。「肌表面の皮脂汚れが落ちないと、角層のバリアが乱れます。そのため潤いを抱え込めなくなってしまうケースが。洗わない=乾燥しない、ではないんです」。皮脂膜は洗顔後1〜2時間で回復するしスキンケアで保湿できるので、洗顔による乾燥は気にしなくて大丈夫!お肌のバリア成分が失われてしまうと回復に数日かかるので、マイルドな洗浄剤で擦らず優しく短時間で洗いましょう。
Q6.高い洗顔料やクレンジングのほうが効果が高いの?A6.値段が高い=効果も高い、というわけではありません
「必ずしも安いから悪いとは限りません。それに、高いクレンジングや洗顔料をケチってちょっとしか使わなければ、肌をこすることになってしまいます。リーズナブルなものでもたっぷり使い、指が肌に直接触れないようにするほうがおすすめですね」と慶田先生。ただし、洗浄剤はとても高い原料なので、肌に優しい処方にしようと思うとコストがかかるそう。「たとえばアミノ酸系や弱酸性の洗顔料はどうしても原価がかかります。肌への負担を心配するのであれば、数百円のものより数千円のものを選ぶほうがベター」。
銀座ケイスキンクリニック 院長 慶田朋子先生
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。「切らないハッピーリバースエイジング®」をモットーに、患者目線で美しく健康な肌を育てるための診療に携わる。自身もアトピー体質ながら、正しいスキンケアと知識で克服し美肌になった経験が。論文執筆やメーカーとの共同研究も多く手がけ、美容成分や最新の化粧品にも精通している。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)
(取材・文⁄高見沢里子)