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梅雨どきもアロマで快適に。日本で、イタリアで活躍するアロマ調香デザイナー・齋藤智子さんインタビュー

2017/06/03 19:00 投稿

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最近、ホテルやイベントスペース、ショップなど、アロマオイルの香りが漂う場所が増えています。こうした、香りで心地よい空間を演出しているのが「アロマ調香デザイナー」です。4月に紹介した清澄白河「リカシツ」のワークショップで講師を務めた齋藤智子さんは、じつはアロマ調香デザイナーとして幅広く活躍しています。今回は、香りで空間をデザインするという仕事のことや、和精油を使った梅雨時をすがすがしく過ごすためのカビ対策や安眠につながるアロマの使い方などを伺いました。 ミラノでも大好評! 空間に合わせた香りづくり

――齋藤さんがされている、「アロマ調香デザイナー」というお仕事について教えてください。

まず、個人のお客様向けとして、天然のアロマオイルを使い、お客様の希望や好みに合った香水やルームフレグランスを作る仕事をしています。それから、企業からの依頼で、空間のイメージに合わせてオイルをブレンドし、香りを作るという仕事も多いです。これまでには、サロンやクリニック、ショールームでのイベント、コンサートのグッズ販売をしているエリアなど、さまざまな場所の香りを手がけてきました。

サロンやクリニックだと患者さんの心がリラックスするような感じに、ショールームのときは、女性向けのイベントだったので女性が好むようなものに仕上げ、コンサートのグッズ販売エリアでは、並んで待っている人たちの気持ちが盛り上がるような香りを作りました。

――アロマと聞くと、まずは「癒し」を思い浮かべがちですが、齋藤さんのお仕事では目的に応じていろいろなことが求められますね。

そうですね。今年4月に、世界最大規模のインテリア国際見本市「ミラノサローネ」で、パナソニックのブースで使用する香炉の香りを担当したんです。日本のエレクトロニクスと伝統工芸を融合したインスタレーションで、ヒノキや柚子、松、ビャクダンといった植物のアロマオイル・和精油をベースに6種類作りました。

――大変そうですが、やりがいも大きかったでしょうね。

私もミラノの会場に行って、いろいろな国の方とお会いしましたが、「いい香りですね」と言っていただいたり、興味をもって話を聞かれたりしたときは、本当にうれしかったです。

イメージを言葉にし、香りに変換するには?

――齋藤さんがこの仕事を始めたきっかけは何だったんですか?

5年ほど前にフレグランスコンテストに入賞したことです。もともとアロマセラピーについては学校で勉強していたんですが、このコンテストで評価されたことが自信になり、楽しさも感じていたので、香りの道を極めたいと思ったんです。

じつは私にとって、香りは幼いころから身近な存在でした。父が京都の生まれで、私も祖父母が住む実家によく行っていたのですが、お寺からいつもお香のいい香りが漂っていたのを覚えています。自然と私もその匂いが好きになり、自分の家にもお香を取り入れたりしていました。その後、さまざまな経験をし、アロマという香りの世界で仕事をするようになったのは、小さいころの経験とつながっているように思います。

――ミラノサローネで和精油を使ったことも、そういう思い出と関連がありそうですね。

はい。日本人であるという想いも込めて、ベースを和精油にしました。それから、香炉を手がけたのが、京都で伝統工芸から新しいものを生み出そうとする方たちだったので、その点でも過去とのつながりを感じ、とても思い入れのある仕事になりました。

――ところで、空間に合わせた香りのブレンドは、どんな風に考えるのか教えていただけますか。

希望を伺ったあと、それを言葉にしてみるんです。たとえば「森にいるような香り」なら、森の風景を思い浮かべてみて木々の緑や、湿った土があるなあ......と思う。そして、それを香りに置き換えて考え、透明感のあるユーカリや土の香りがするパチュリなどを使おうということになるわけです。

だから、なんとなく雰囲気だけで作るのではなく、クライアントに対して「こういう理由でこの香りにしました」と、しっかりプレゼンができるようにしています。

――この仕事をするうえで一番大事なことは何でしょう?

「香りを押し付けてはいけない」ということです。人によっても、それから日によっても、香りの好みは変わるもの。ですから、天然のアロマオイルを使い、ふんわりと香る、心地よさを提供したいと思っています。個人のお客様向けのときには、いくら効果が期待できるオイルだとしても、相手が嫌いと感じた香りは使わずにブレンドします。人のからだは正直ですからね。

梅雨時に役立つ、注目オイルは「和精油」。アロマ水で拭き掃除を

――これから梅雨の時期に入りますが、ジメジメした季節を少しでもすがすがしく過ごす方法を教えていただけますか。

まず家の中ですが、カビ対策としてよく知られているのが、ティートゥリーやレモンのオイルを使うことです。でも、じつは今、和精油も注目されているんですよ。

クロモジは抗菌作用、ヒノキは抗臭作用が期待できるので、こうしたオイルをバケツに張った水に数滴垂らし、雑巾で家の中を拭くといいですよ。クロモジのほうはリラックスできる香りなので、その点でもおすすめです。

それから、香りが強いのですが、クローブはとても効果的だと言われています。ユーカリやティートゥリー、柑橘系のレモンなどのオイルと混ぜると柔らかい香りになるので、これも試してみてほしいですね。クローブは1滴垂らすだけで十分です。

気持ちを元気にするという点では、やはり柑橘系のものがいいでしょう。血流を促し、内臓の働きも活発にしてくれるようです。柑橘系は元気になるイメージが強いですが、一方でリラックス作用もあると言われています。寝るとき、枕元にオレンジとラベンダーを垂らしたティッシュを置いておくと、心地よく眠れますよ。両方合わせて4,5滴ぐらい使うといいと思いますよ。

――なるほど。和精油はぜひ試してみたいと思います。最後に、アロマ調香デザイナーとして、どんなことを目指しているかお聞かせください。

今はたくさんの人がアロマオイルの存在を知り、興味を持っていますが、これからは心地よい香りをチョイスできる人が増えてくれればいいなと思います。そのために、私も活動していけたらうれしいです。

お話を伺った方:齋藤智子さん

一般社団法人プラスアロマ協会 代表理事・アロマ調香工房atelier S.主宰/京都で14代続く家に生まれ、伝統的な香り文化に魅かれてアロマの世界へ。セラピストとして経験を積み、精油ブレンドの第一人者アネルズあずさ氏に師事。「本物の薫りだけが人の心を動かす」をテーマに天然精油にこだわり調香を行う。これまでに創作した香りは5,000種以上。調香のプロを育成する傍ら、国内外でアロマ空間プロデュースやオリジナルの香りづくりを手掛ける。2017年のミラノサローネでは、‟Milano design award"受賞展示「GO ON×Panasonic Design」の調香(ami-koro)を担当し好評を博した。

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